公認理師資格試験 過去問解説 問4 達成動機について
- 2023.01.03
- 公認心理師(第5回) 資格試験
- 社会及び集団に関する心理学, 第5回公認心理師試験
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第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問4 高い目標を立て、それを高い水準で完遂しようとする動機として、 最も適切なものを 1 つ選べ。
① 親和動機
② 達成動機
③ 外発的動機
④ 生理的動機
⑤ 内発的動機
出典:第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
となります。
選択肢の解説
①親和動機
親和動機 affiliation motive は
他の人と友好的な関係を成立させ、それを維持したいという社会的動機のことである。
出典:心理学辞典|有斐閣
と定義されます。
親和動機の高い人は、
- 他者とよく電話などコミュニケーションを図ろうとする
- 他者からの承認を求める
- アイコンタクトが多い
などの行動的な特徴を示すようです。
海外では後述する「達成動機」と負の関係(正反対)なようですが、日本の場合は文化的に親和動機がそもそも高いため、必ずしもそのような関係とはいえません。
選択肢の文とは合致しませんね。
②達成動機
達成動機 achievement motivationは
ある優れた目標を立て、それを高い水準で達成しようとする動機づけ
出典:心理学辞典|有斐閣
と定義されます。
つまり達成動機は「困難な目標を計画し、その目標に向けた取り組みができる」といった動機づけになります。
問題文の記述とほとんど合致していますので、選択肢②「達成動機」が問題の回答となりますね。
③外発的動機 ⑤内発的動機
外発的動機と内発的動機に対する明確な定義は難しいようですが、以下の文献での記載が参考になります。
内発的に動機づけられる行動というのは「行動そのものが目的化している」のに対して、外発的に動機づけられる行動というのは「行動そのものは手段である」という具合に目的か手段かで分類する方法である。(中略)本人自身により開始されるような行動の背後には内発的動機づけがあると考え、本人以外の要因によって行動が開始される場合には外発的動機づけがあると考えるのである。
出典:速水敏彦(1995). 外発と内発の間に位置する達成動機づけ, 心理学評論, 38(2), 171-19.
まとめると以下のようになります。
- 外発的動機:行動は何かを得るための手段、本人以外の要因によって行動が開始される
- 内発的動機:行動自体が目的となっている、本人自身の要因で行動が開始される
内発的動機づけの概念が導入されるまでは、「人間は不都合な状態がない限りは自ら進んで行動や学習をしない(つまり、生理的欲求以外の行動は外的な強化によって形成される)」とされており、そのアンチテーゼとして提唱されたようです。
選択肢③⑤はいずれも本問題の回答としては不適切といえます。
④生理的動機
生理的動機とは、生命を維持して種を保存するための生まれつき有している動機のことをいいます。
「睡眠」「食欲(飢えー渇き)」「排泄」などが含まれています。
もともと動因driveという用語で説明されていました。
まとめ
- 親和動機:社会的動機のひとつ。他者と友好的な関係を築き維持しようとする動機
- 達成動機:優れた目標を立てて、目標達成のために取り組むという動機
- 内発的動機:好奇心など行動自体が目的となっている動機
- 外発的動機:金銭的な報酬など行動が何かを得るための手段となるような動機
- 生理的動機:「睡眠」「飢え」「渇き」「排泄」など生体の生命維持に必要な動機
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