公認心理師資格試験 過去問解説 問11 嚥下反射の中枢

公認心理師試験

第5回公認心理師試験・午前問11は、嚥下反射の中枢が存在する部位を問う問題です。

正答は①「延髄」です。

試験対策では、嚥下の反射的・パターン化された運動を組み立てる中枢ネットワークが延髄にあることを押さえるのがポイントです。

問11の正答は①「延髄」

選択肢は次の5つです。

  • ① 延髄
  • ② 小脳
  • ③ 中脳
  • ④ 辺縁系
  • ⑤ 視床下部

嚥下反射の中枢が存在する部位として最も適切なのは、① 延髄です。

なぜ延髄なのか

嚥下は、口腔から咽頭、食道へ食塊を送り込むために、多数の筋を一定の順序で協調させる複雑な運動です。

そのうち、咽頭期を中心とした反射的・パターン化された嚥下運動は、脳幹の延髄にある神経ネットワークによって組み立てられます。

このネットワークは嚥下のcentral pattern generator〈CPG〉と呼ばれます。

研究レビューでは、嚥下CPGを構成する主要な神経群として、

  • 背側延髄:孤束核〈nucleus tractus solitarius; NTS〉周辺を中心に、嚥下の開始・順序・タイミング形成に関わる神経群
  • 腹外側延髄:形成された嚥下パターンを各運動ニューロン群へ分配する神経群

が説明されています。

したがって、試験問題の「嚥下反射の中枢」という問いに対しては、延髄を選びます。

「嚥下はすべて延髄だけで制御される」という意味ではない

ここは少し丁寧に区別しておくと理解しやすくなります。

嚥下には、随意的に開始する要素や、感覚入力、呼吸との協調、上位中枢からの調節なども関与します。

そのため、嚥下という行動全体には大脳皮質や皮質下領域、小脳なども関与します。

ただし、本問が尋ねているのは「嚥下反射の中枢」です。反射的な嚥下運動の基本パターンを生成する中枢ネットワークは延髄にあるため、正答は①です。

① 延髄が正しい理由

延髄は脳幹の一部で、呼吸、循環、嚥下など生命維持に重要な機能に関わる神経回路を含みます。

嚥下では、咽頭や喉頭からの感覚入力を受け取り、複数の脳神経運動系へ出力を送りながら、一連の筋活動を時間的に協調させます。

このため①が正答です。

② 小脳が誤りの理由

小脳は、運動のタイミングや協調、運動学習などに重要な役割を持ちます。

嚥下にも小脳が関与することはありますが、嚥下反射の基本パターンを生成する中枢そのものとして問われているのは延髄です。

したがって②は正答ではありません。

③ 中脳が誤りの理由

中脳は脳幹の一部で、眼球運動、視覚・聴覚反射、運動調節などに関わる構造を含みます。

しかし、嚥下のcentral pattern generatorの主要な神経回路が位置するのは延髄です。

したがって③は正答ではありません。

④ 辺縁系が誤りの理由

辺縁系は、情動、動機づけ、記憶などに関わる複数の脳領域からなる機能的なまとまりです。

食行動や情動が嚥下に影響することはありますが、嚥下反射の中枢そのものではありません。

したがって④は正答ではありません。

⑤ 視床下部が誤りの理由

視床下部は、体温、摂食、飲水、内分泌、自律神経など、身体の恒常性維持に重要な役割を持ちます。

摂食行動に深く関与しますが、嚥下反射の基本的な運動パターンを生成する中枢は延髄です。

したがって⑤は正答ではありません。

5つの選択肢を比較する

部位 代表的な役割 本問の「嚥下反射の中枢」か
延髄 嚥下CPG、呼吸・循環など生命維持に関わる脳幹機能 〇
小脳 運動の協調・タイミング・運動学習 ×
中脳 眼球運動、視覚・聴覚反射、運動調節など ×
辺縁系 情動、動機づけ、記憶など ×
視床下部 摂食、体温、内分泌、自律神経など恒常性調節 ×

試験対策:「摂食」と「嚥下反射」を分ける

視床下部は摂食行動と関係が深いため、選択肢として迷いやすい部位です。

しかし、

  • 摂食・空腹・満腹などの恒常性調節 → 視床下部
  • 嚥下反射のパターン生成 → 延髄

と整理すると区別しやすくなります。

また、小脳は運動の協調に関わりますが、これも「嚥下反射の中枢」とは別です。

まとめ

  • 第5回公認心理師試験・午前問11の正答は① 延髄
  • 嚥下のcentral pattern generator〈CPG〉は延髄に存在する
  • 背側延髄では孤束核周辺の神経群が嚥下の開始・順序・タイミング形成に関わる
  • 腹外側延髄の神経群は嚥下運動の出力パターンを各運動ニューロン群へ分配する
  • 嚥下全体には大脳皮質、皮質下領域、小脳なども関与するが、嚥下反射の中枢として問われるのは延髄
  • 視床下部は摂食・恒常性調節に重要だが、嚥下反射の中枢ではない

参考資料

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