公認心理師資格試験 過去問解説 第4回 午後 問98|Alzheimer型認知症の病初期と近時記憶障害

第4回公認心理師試験 午後問98 Alzheimer型認知症の病初期と近時記憶障害の解説図 公認心理師試験

第4回公認心理師試験・午後問98は、病初期のAlzheimer型認知症でみられやすい所見を問う問題です。

正答は ⑤ 同じ話の繰り返し です。

Alzheimer型認知症では、初期から新しい出来事を覚える力が低下しやすく、近時記憶・エピソード記憶の障害として、「少し前に話した内容を忘れて同じ質問や話を繰り返す」といった形で現れることがあります。

第4回公認心理師試験 午後問98 Alzheimer型認知症の病初期と近時記憶障害の解説図

問題

病初期のAlzheimer型認知症の所見として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 徘徊
  2. 錐体外路症状
  3. 着脱衣の困難
  4. 遠隔記憶の障害
  5. 同じ話の繰り返し

正答は ⑤ 同じ話の繰り返し です。

正答⑤|同じ話の繰り返し

Alzheimer型認知症では、病初期から新しい情報の学習や保持が難しくなることがあります。

そのため、

  • 先ほど聞いたことをもう一度尋ねる
  • 同じエピソードを短時間に何度も話す
  • 直前の予定や出来事を忘れる
  • 物を置いた場所を忘れる

といった行動がみられることがあります。

これは単なる「年齢相応の物忘れ」とは異なり、生活の中で同じ失敗が繰り返され、本人や家族の生活に影響が出てくる点が重要です。

近時記憶と遠隔記憶

Alzheimer型認知症の初期には、一般に遠い昔の記憶よりも、最近起きた出来事を保持することの方が難しくなりやすいと考えられます。

近時記憶

数分前、数時間前、数日前など、比較的新しい出来事に関する記憶です。

遠隔記憶

何年も前の出来事など、長期間保持されてきた記憶です。

病初期には、昔の出来事を比較的よく語れる一方で、「今日何をしたか」「さっき何を話したか」を忘れるということがあります。

Ig Knowledgeでは第3回問22|Alzheimer型認知症でも、近時記憶障害や他の認知症との鑑別を整理しています。

① 徘徊|正答ではない理由

徘徊は認知症でみられる行動・心理症状〈BPSD〉の一つです。

しかし、病初期の代表的所見として最も適切とはいえません。

徘徊は、

  • 見当識障害
  • 場所が分からなくなる
  • 不安や焦燥
  • 目的行動の混乱

などが強くなった段階でみられることがあります。

したがって、病初期の記憶障害を直接反映する⑤の方が適切です。

② 錐体外路症状|正答ではない理由

錐体外路症状には、

  • 筋強剛
  • 振戦
  • 動作緩慢
  • 姿勢反射障害

などがあります。

Alzheimer型認知症の病初期を特徴づける所見ではありません。

認知症の鑑別では、パーキンソニズムや具体的な幻視、認知機能の変動などが目立つ場合にはLewy小体型認知症なども検討します。

③ 着脱衣の困難|正答ではない理由

衣服を適切に着ることが難しくなる背景には、

  • 失行
  • 視空間認知の障害
  • 手順の混乱
  • 判断力の低下

などが関係します。

このような日常生活動作の障害は、病気が進行した段階で目立ちやすくなります。

病初期の代表的変化としては⑤の方が適切です。

④ 遠隔記憶の障害|正答ではない理由

Alzheimer型認知症では最終的に遠隔記憶も障害されることがあります。

しかし病初期では、新しく覚えることや最近の出来事の記憶の方が先に障害されやすいと考えられます。

したがって、「遠隔記憶の障害」を病初期の最も典型的な所見とするのは不適切です。

なぜ同じ話を繰り返すのか

同じ話を繰り返す背景には、

「話したという出来事自体を新しく記憶として保持しにくい」

という問題があります。

本人にとっては、その話を「初めて話している」感覚であることもあります。

そのため、

「何回言ったら分かるの?」

と責めても改善しにくく、本人の不安や自尊感情の低下につながる可能性があります。

支援では記憶力だけを鍛えようとしない

認知症支援では、失われた機能を無理に訓練するだけではなく、

  • メモ
  • カレンダー
  • 予定表
  • 物の定位置化
  • 環境の分かりやすさ
  • 家族の声かけ

など、生活の中で認知機能を補う工夫も重要です。

第4回問65|軽度Alzheimer型認知症の非薬物的介入では、日常生活機能を補う支援について扱っています。

「同じ話をする=Alzheimer型認知症」ではない

同じ話を繰り返すことだけでAlzheimer型認知症と診断することはできません。

類似した訴えは、

  • 正常加齢
  • うつ病
  • せん妄
  • 睡眠不足
  • 薬剤の影響
  • 他の神経認知障害

などでもみられる可能性があります。

実際の臨床では、経過、日常生活機能、神経心理学的評価、身体医学的評価などを総合します。

試験での見分け方

本問では「病初期」という言葉が重要です。

  • 初期 → 新しい出来事を覚えにくい
  • 中期以降 → 見当識障害や失行などが生活上さらに目立つ
  • 進行期 → より広範な認知機能・生活機能の低下

という大きな流れを押さえると判断しやすくなります。

まとめ

第4回公認心理師試験・午後問98の正答は ⑤ 同じ話の繰り返し です。

Alzheimer型認知症では病初期から、最近の出来事を保持しにくい近時記憶障害が目立ちやすく、

同じ質問や同じ話を繰り返す

という形で現れることがあります。

試験では、

Alzheimer型認知症の初期=近時記憶・新規学習の障害

と整理しておきましょう。

参考資料

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第4回公認心理師試験 午後問題・正答
  • National Institute on Aging|What Are the Signs of Alzheimer’s Disease?

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