公認理師資格試験 過去問解説 問26 「くも膜下出血」について

公認理師資格試験 過去問解説 問26 「くも膜下出血」について

第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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【問26】「くも膜下出血」について

問26 くも膜下出血の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
① 脳梗塞に比べて頻度が高い。

② 症状は 24 時間以内に消失する。

③ 緩徐に進行する頭痛で発症する。

④ 高次脳機能障害の原因ではない。

⑤ 脳動脈瘤の破裂によって起こる。

出典:第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

正答は ⑤

⑤ 脳動脈瘤の破裂によって起こる

選択肢の解説

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Photo by cottonbro studio on Pexels.com

くも膜下出血とは?

くも膜下出血 subarachnoid hemorrhage とは、脳血管障害(脳卒中)のひとつで、脳を覆っている組織の内側にある軟膜と中間に位置するくも膜の間の空間(くも膜下腔)に出血が起きる疾患です。

詳細は以下のサイトが詳しいのでご参照ください!

くも膜下出血(SAH)|MSDマニュアル家庭版

最大のリスク因子は「高血圧」による動脈硬化で、以下の要因もリスク因子となっています。

  • 不整脈
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • 肥満

①脳梗塞に比べて頻度が高い

くも膜下出血の疫学に関する話題となります。

くも膜下出血は世界的にも日本国内でも減少傾向にありますが、日本は世界で見ても疫学的に発症率が高いとされています。

また、脳血管障害のなかで唯一、男性よりも女性に多いことも特徴です。

脳梗塞とくも膜下出血に関しては、厚生労働省の以下の資料を見てみましょう。

画像出典:脳・心臓疾患等の現状|厚生労働省

資料を見てわかるように、脳血管障害の中でも脳梗塞のほうが頻度が高いといえます。

よって、選択肢①「脳梗塞に比べて頻度が高い」は不適切といえます。

②症状は 24 時間以内に消失する

くも膜下出血では「急性の頭痛」から症状がスタートしますが、その後の経過はどうなるでしょうか。

破裂による突然の激しい頭痛は、数秒以内にピークに達します。経験してきた中で最もひどい頭痛と説明する患者が多い頭痛に続いて、しばしば短い意識消失が起こります。一部の人は病院に到着する前に亡くなります。昏睡状態で意識不明のままになったり、最終的に亡くなる人もいます。目を覚ます人もいますが、患者は錯乱と眠気を覚えます。落ち着かなくなることもあります。数時間以内または数分以内に、再び眠気と錯乱が起こる場合があります。反応がなくなり、覚醒が困難になる場合もあります。
24時間以内に、脳の周囲の血液と脳脊髄液(髄液)が髄膜(脳を覆う組織層)を刺激して、項部硬直と持続的な頭痛が起こり、多くの場合は嘔吐、めまい、腰痛を伴います。

出典:くも膜下出血(SAH)|MSDマニュアル家庭版

上の説明にもあるように、急性の頭痛後、24時間以内に持続的な頭痛・嘔吐・めまい・腰痛などの症状が出現します。

よって、選択肢②「症状は 24 時間以内に消失する」は不適切といえます。

③緩徐に進行する頭痛で発症する

典型的には、脳内の動脈が破裂するくも膜下出血では、急性の激しい頭痛が生じるとされています。

この頭痛は性質から雷鳴頭痛と呼ばれることもあるようです。

急性の頭痛の直後に短時間意識消失を伴うことも多いです。

そのため、選択肢③「緩徐に進行する頭痛で発症する」は不適切な選択肢といえます。

④高次脳機能障害の原因ではない

脳血管障害はいずれも後遺症として「高次脳機能障害」に苦しむことが多い疾患です。

特に、くも膜下出血では脳動脈瘤が破裂することによって、前頭葉や側頭葉に出血が生じやすく、人格の変化(怒りやすくなる、気力がなくなる)などの社会行動障害記憶障害が生じる割合が高いとされています。

以上のことから、選択肢④「高次脳機能障害の原因ではない」は不適切といえます。

⑤脳動脈瘤の破裂によって起こる

くも膜下出血の直接的な原因は、脳動脈瘤の破裂です。

したがって、選択肢⑤「脳動脈瘤の破裂によって起こる」は正しい選択肢といえますね。