公認理師資格試験 過去問解説 問145 事例問題 「学生相談のインテーク」
- 2023.07.19
- 公認心理師(第3回)
- 教育領域, 第3回公認心理師試験
第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!
【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!
問145
20 歳の女性 A、大学2年生。A は「1か月前くらいから教室に入るのが怖くなった。このままでは単位を落としてしまう」と訴え、学生相談室に来室した。これまでの来室歴はなく、単位の取得状況にも問題はみられない。友人は少数だが関係は良好で、家族との関係にも不満はないという。睡眠や食欲の乱れもみられないが、同じ頃から電車に乗ることが怖くなり、外出が難しいと訴える。
公認心理師である相談員が、インテーク面接で行う対応として、不適切なものを1つ選べ。
① A に知能検査を行い知的水準を把握する。
② A が何を問題だと考えているのかを把握する。
③ A がどのような解決を望んでいるのかを把握する。
④ 恐怖が引き起こされる刺激について具体的に尋ねる。
⑤ 恐怖のために生じている困り事について具体的に尋ねる。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
選択肢の解説
大学の学生相談でのインテーク面接に関する問題です。
インテーク面接についてはこちらの記事も参考になりますよ。
①A に知能検査を行い知的水準を把握する
Aは「大学の単位取得ができないのではないか」という訴えで学生相談室に来室していますが、教室に入れないことが主な訴えとなっています。
そのため、学業的な困難を訴えているというわけではありません。
また、大学という環境上、入学した時点である程度(ここでいうある程度とは、その大学で求められる水準という意味です)の知的水準は備わっているとも考えられます。
よって、選択肢①「A に知能検査を行い知的水準を把握する」はインテーク面接で行うことは妥当とは考えにくく、不適切となります。
今回の問題では不適切な選択肢を選ぶことが求められているため、こちらが解答となります。
②A が何を問題だと考えているのかを把握する
A自身は「電車を乗ることが難しく、外出ができない」「教室に入れない」「単位を落とすかもしれない」といった訴えをしていますが、事例でわかっている範囲では、思い当たるきっかけなどが不明な状態です。
今後介入をしていくにあたって、A自身がこのような問題に対してどういう捉え方をしているのかを把握することが必要となります。
よって、こちらの選択肢は適切といえるでしょう。
③A がどのような解決を望んでいるのかを把握する
インテーク面接において、A自身の展望(解決)を聞くことは最も重要な事項となります。
問題点をいくつか挙げている状態であるため、扱う優先順位などを決めるためにも大切な作業となるでしょう。
④恐怖が引き起こされる刺激について具体的に尋ねる
公認心理師でが今後Aの支援方法を選択するにあたって、もう少し具体的な情報が必要となります。
恐怖が引き起こされる刺激が具体的なものであれば認知行動療法や行動療法などの対応が選択肢となってきますし、具体的にしていく過程の中で、実は背景に妄想などの重篤な精神症状が隠れている可能性も否定できません。
よって、こちらの選択肢もインテーク時に必要と考えられますね。
⑤恐怖のために生じている困り事について具体的に尋ねる
こちらの選択肢も取り扱う内容の優先順位を立てるためには必要といえます。
学生相談での介入という状況であるため、適切な機関へのリファーも含めて具体的な見立てをしていく必要があります。
-
前の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問144 事例問題 「長時間労働者の面談指導」 2023.07.17
-
次の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問146 事例問題 「家族への心理教育」 2023.07.21
コメントを書く