公認心理師資格試験 過去問解説 問133 睡眠薬の副作用

公認心理師試験

第3回公認心理師試験・午後問133は、高齢者に用いる睡眠薬について、副作用リスクの観点から比較的適切な薬効群を選ぶ問題です。

正答は③「オレキシン受容体拮抗薬」と④「メラトニン受容体作動薬」です。

高齢者では、薬物代謝や排泄の変化、薬剤への感受性の高まり、転倒・骨折リスクなどを踏まえて睡眠薬を選ぶ必要があります。特にベンゾジアゼピン系を含むGABA作動性の睡眠薬では、過鎮静、認知機能低下、運動機能低下、転倒、骨折、せん妄などに注意が必要です。

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【問133】高齢者に副作用の少ない睡眠薬

問133 高齢者に副作用の少ない睡眠薬として、適切なものを2つ選べ。

① バルビツール酸系薬剤
② フェノチアジン系薬剤
③ オレキシン受容体拮抗薬
④ メラトニン受容体作動薬
⑤ ベンゾジアゼピン受容体作動薬

正答:③・④

第3回公認心理師試験の午後問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式資料で確認できます。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|公認心理師試験研修センター

③ オレキシン受容体拮抗薬が適切な理由

オレキシンは覚醒を維持する神経系に関わります。オレキシン受容体拮抗薬は、その働きを抑えることで睡眠を促します。

高齢者では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬で問題になりやすい筋弛緩作用、ふらつき、転倒、認知機能への影響などを考慮し、オレキシン受容体拮抗薬が選択肢となることがあります。

厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」でも、ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬について、過鎮静、認知機能の悪化、運動機能低下、転倒、骨折、せん妄などのリスクが示されています。

本問では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬よりも、オレキシン受容体拮抗薬の方が「副作用の少ない睡眠薬」として適切です。

ただし、オレキシン受容体拮抗薬も副作用がないわけではありません。翌日の眠気、傾眠、転倒につながる可能性、併用薬との相互作用などに注意が必要です。

④ メラトニン受容体作動薬が適切な理由

メラトニン受容体作動薬は、睡眠・覚醒リズムに関わるメラトニン受容体に作用して睡眠を促します。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬とは作用機序が異なり、筋弛緩や認知機能低下、依存などの問題が比較的少ないことから、高齢者の不眠症で検討される薬剤の一つです。

一方、ラメルテオンの添付文書では、高齢者では血中濃度が上昇するおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが示されています。また、翌朝以後まで眠気や注意力・集中力の低下が及ぶ可能性もあります。

「副作用が少ない」=「副作用がない」ではありません。

高齢者では、薬剤の種類にかかわらず、効果と副作用を評価しながら慎重に使用します。

① バルビツール酸系薬剤が不適切な理由

バルビツール酸系薬剤は、中枢神経抑制作用が強く、安全域が狭い薬剤です。

過量投与では呼吸抑制など重篤な有害事象につながる可能性があり、依存や耐性の問題もあります。

現在、高齢者の一般的な不眠治療で「副作用の少ない睡眠薬」として選ぶ薬剤ではありません。

② フェノチアジン系薬剤が不適切な理由

フェノチアジン系薬剤は、主として抗精神病薬に分類される薬剤です。

鎮静作用を示すものはありますが、高齢者では、過鎮静、起立性低血圧、抗コリン作用、錐体外路症状などが問題となることがあります。

したがって、単に「眠くなる作用がある」ことを理由に、高齢者へ副作用の少ない睡眠薬として選択するのは適切ではありません。

⑤ ベンゾジアゼピン受容体作動薬が不適切な理由

⑤が試験で重要な比較対象です。

ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬は、高齢者では、

  • 過鎮静
  • 認知機能低下
  • 運動機能低下
  • ふらつき
  • 転倒・骨折
  • せん妄
  • 依存

などに注意が必要です。

厚生労働省の高齢者向け医薬品適正使用指針でも、ベンゾジアゼピン系薬剤は高齢者で有害事象が生じやすく、特に慎重に投与する薬剤として整理されています。

また、いわゆる非ベンゾジアゼピン系睡眠薬でも、転倒・骨折などベンゾジアゼピン系と類似した有害事象の可能性があるとされています。

「ベンゾジアゼピン系ではない」だけで安全と判断しないことも重要です。

5つの選択肢を整理

選択肢 高齢者でのポイント 判定
① バルビツール酸系薬剤 中枢神経抑制が強く、安全性の問題が大きい 不適切
② フェノチアジン系薬剤 抗精神病薬であり、高齢者では複数の有害作用に注意 不適切
③ オレキシン受容体拮抗薬 本問では比較的副作用の少ない睡眠薬として選択 適切・正答
④ メラトニン受容体作動薬 本問では比較的副作用の少ない睡眠薬として選択 適切・正答
⑤ ベンゾジアゼピン受容体作動薬 過鎮静、認知機能低下、転倒・骨折、せん妄などに注意 不適切

現在の臨床では「薬の種類だけ」で決めない

問133は薬効群の比較を問う試験問題ですが、実際の高齢者の不眠治療では、薬剤名だけで「安全」「危険」を決めるものではありません。

高齢者ではまず、睡眠時間や生活リズム、昼寝、カフェイン、夜間頻尿、疼痛、睡眠時無呼吸症候群、併用薬など、不眠の背景を確認することが重要です。

薬物療法を行う場合にも、

  • 現在の身体疾患・精神疾患
  • 肝・腎機能
  • 併用薬と相互作用
  • 転倒歴
  • 日中の眠気
  • 認知機能
  • 服薬期間

などを踏まえて個別に検討します。

試験では③・④。実務では「高齢者だからこの薬なら安全」と一律に判断しない。

という二段階で理解すると、試験知識と現在の臨床を混同しにくくなります。

試験対策ではここまで覚える

  • 問133の正答は③オレキシン受容体拮抗薬、④メラトニン受容体作動薬
  • 高齢者ではベンゾジアゼピン系薬剤による過鎮静、認知機能低下、転倒・骨折、せん妄などに注意
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬にも転倒・骨折などのリスクがある
  • バルビツール酸系薬剤は安全性の問題が大きい
  • フェノチアジン系薬剤は睡眠薬としての第一選択ではない
  • オレキシン受容体拮抗薬・メラトニン受容体作動薬にも副作用や相互作用はある

問133の中心:高齢者の睡眠薬では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の有害事象に注意し、本問ではオレキシン受容体拮抗薬とメラトニン受容体作動薬を選ぶ。

まとめ

第3回公認心理師試験・午後問133の正答は、③「オレキシン受容体拮抗薬」と④「メラトニン受容体作動薬」です。

高齢者では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬による過鎮静、認知機能低下、運動機能低下、転倒・骨折、せん妄などのリスクが問題になりやすいため、本問では③・④が比較的副作用の少ない選択肢となります。

ただし、③・④にも眠気や相互作用などの注意点があります。実際の臨床では、不眠の原因、併存疾患、併用薬、転倒リスクなどを評価した上で個別に薬剤を選択します。

参考資料

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