公認理師資格試験 過去問解説 問133 睡眠薬の副作用

公認理師資格試験 過去問解説 問133 睡眠薬の副作用

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

Advertisement

問133 高齢者に副作用の少ない睡眠薬として、適切なものを2つ選べ。

① バルビツール酸系薬剤

② フェノチアジン系薬剤

③ オレキシン受容体拮抗薬

④ メラトニン受容体作動薬

⑤ ベンゾジアゼピン受容体作動薬

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ③オレキシン受容体拮抗薬 ④メラトニン受容体作動薬

選択肢の解説

alcohol alcoholic background beer
Photo by Pixabay on Pexels.com

①バルビツール酸系薬剤

バルビツール酸系の睡眠薬は、いわゆるノックダウン型という鎮静効果の強いタイプになります。

1880年代という古くから使用されている初期の睡眠薬ですが、麻酔としても使用されることがあり、呼吸抑制という副作用があります。

強い催眠作用がありますが依存や耐性が生じやすく、薬の中止に伴いせん妄なども生じやすいとされています。

以上の特徴から、呼吸器疾患のある方には禁忌、高齢者・小児などへの投与は慎重にすることとなっています。

代表的な薬剤は以下の通りです。

  • 短時間作用型:ペントバルビタール(商品名:ラボナ)
  • 中間作用型:アモバルビタール(商品名:イソミタール)
  • 長時間作用型:フェノバルビタール(主な商品名:フェノバール)

よって、選択肢①「バルビツール酸系薬剤」は不適切な選択肢といえます。

②フェノチアジン系薬剤

フェノチアジン系薬剤とは、第一世代の抗精神病薬です。

抗精神病薬であるため、幻覚・妄想といった精神症状に対して用いられることが多いですが、非常に強い鎮静効果があることから、通常の睡眠薬では効果の出ない強度の不眠に対する薬剤として用いられることもあります。

ただし、代表的な副作用として抗コリン作用が挙げられています。

この抗コリン作用は、高齢者にとっては、記憶力低下・注意力低下・せん妄などの認知機能障害を引き起こす要因となるため、高齢者に適した薬剤とはいえません。

よって、選択肢②「フェノチアジン系薬剤」は不適切な選択肢といえます。

③オレキシン受容体拮抗薬

オレキシン受容体拮抗薬は比較的最近で始めた睡眠薬です。

オレキシンとは脳の覚醒を促す物質で、オレキシン受容体拮抗薬では、この覚醒を促すオレキシンをブロックすることで催眠作用を生じさせます。

強い鎮静効果がある薬剤ではないため、高齢者の使用にも適しているとされています。

また、オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントは「せん妄の予防効果」が実証研究で示されているなど、他の薬剤と比較して高齢者へのリスクが少ないものとなっています。

オレキシンが選択肢に含まれている問題です!

よって選択肢③「オレキシン受容体拮抗薬」は正しい選択肢といえます。

④メラトニン受容体作動薬

メラトニン受容体作動薬は、脳の松果体という部位から分泌されるメラトニンという睡眠を誘発するホルモンに作用する薬剤です。

こちらも鎮静効果が強いというわけではないため、高齢者にとっても副作用の出にくい薬剤となっています。

よって選択肢④「メラトニン受容体作動薬」は正しい記述といえます。

⑤ベンゾジアゼピン受容体作動薬

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、バルビツール酸系の次に開発された薬剤で、強い鎮静効果や依存・耐性の形成が特徴です。

そのため、呼吸抑制などの問題や、せん妄などの認知機能障害といった副作用が高齢者で出やすくなっています。

特に75歳以上の高齢者で副作用が出現しやすく、転倒などのリスクも増加するため、使用が推奨されていません。

よって選択肢⑤「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」は不適切といえます。