公認心理師資格試験 過去問解説 問120 慢性疲労症候群

公認心理師試験

第3回公認心理師試験・午後問120は、慢性疲労症候群について、症状の特徴を正しく理解しているかを問う問題です。

正答は⑤「体を動かすことによって軽減する倦怠感が特徴である」です。

現在は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群〈ME/CFS〉という名称が広く用いられています。ME/CFSでは、少しの身体的・認知的活動の後に症状が悪化する労作後の消耗〈post-exertional malaise:PEM〉が重要な特徴であり、「体を動かせば倦怠感が軽くなる」と一律に考えるのは適切ではありません。

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【問120】慢性疲労症候群

問120 慢性疲労症候群について、不適切なものを1つ選べ。

① 男性より女性に多い。
② 筋肉痛がよくみられる。
③ 睡眠障害がよくみられる。
④ 6か月以上持続する著しい倦怠感が特徴である。
⑤ 体を動かすことによって軽減する倦怠感が特徴である。

正答:⑤

第3回公認心理師試験の午後問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式資料で確認できます。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|公認心理師試験研修センター

⑤が不適切な理由:活動後に症状が悪化することがある

ME/CFSでは、単なる「疲れやすさ」だけでなく、身体的あるいは認知的な活動の後に、疲労やその他の症状が悪化する労作後の消耗〈PEM〉が重要な特徴です。

国立精神・神経医療研究センターのME/CFS研究班は、わずかな身体的・認知的活動の後に疲労、認知機能低下、咽頭痛、不眠などが悪化し、それが数時間、数日、ときにはさらに長く続くことがあると説明しています。

そのため、

「動けば倦怠感が軽くなる」のではなく、活動量が本人の許容量を超えると症状が悪化し得る

と理解することが重要です。

これは「一切身体を動かしてはいけない」という意味でもありません。活動の許容量には個人差があり、無理な負荷でPEMを引き起こさないよう、活動と休息のバランスを調整することが重要です。

①「男性より女性に多い」は適切

①は適切です。

厚生労働省の慢性疲労症候群患者を対象とした国内調査では、解析対象251名のうち男性56名、女性195名で、女性が約78%を占めていました。

この調査だけで一般人口における正確な男女比を決められるわけではありませんが、ME/CFSは女性で多くみられるという臨床的特徴と整合します。

②「筋肉痛がよくみられる」は適切

②も適切です。

ME/CFSでは、強い疲労だけでなく、筋肉痛、関節痛、頭痛などの身体症状がみられることがあります。

国立精神・神経医療研究センターの患者向け情報でも、頭痛、関節痛、筋肉痛などにより生活の質が大きく低下することがあると説明されています。

したがって、筋肉痛がみられるという②は適切です。

③「睡眠障害がよくみられる」は適切

③も適切です。

ME/CFSでは、

  • 不眠
  • 過眠
  • 十分に眠っても休んだ感じがしない

などの睡眠の問題がみられることがあります。

そのため、睡眠障害がよくみられるという③は適切です。

④「6か月以上持続する著しい倦怠感」は適切

④も、本問では適切です。

厚生労働省の調査報告書や国立精神・神経医療研究センターの患者向け情報では、ME/CFSは、日常生活が大きく損なわれるほどの強い疲労が半年以上持続する疾患として説明されています。

試験対策では、

長期間続く強い疲労 + 労作後の症状悪化 + 睡眠や認知機能などの症状

という全体像で理解しておくと整理しやすいでしょう。

「慢性疲労」と「慢性疲労症候群」は同じではない

名前が似ていますが、日常的な疲労が長引いているだけでME/CFSと判断できるわけではありません。

ME/CFSは、強い疲労やPEM、睡眠障害、認知機能の問題など、複数の特徴を含む臨床的な病態です。

また、強い疲労は、内科的疾患、睡眠障害、精神疾患、薬剤の影響など、さまざまな原因でも生じます。

この設問の選択肢だけから実際の個人をME/CFSと診断することはできません。

実際の診断では、症状の経過を確認し、他の疾患や病態を検討した上で専門的に評価します。

運動についての誤解に注意

古い解説では、慢性的な疲労に対して「少しずつ運動量を増やせばよい」と単純化されることがあります。

しかしME/CFSでは、本人のエネルギー許容量を超えた活動によってPEMが生じ、かえって機能が低下することがあります。

国立精神・神経医療研究センターの臨床医向け資料でも、無分別に運動プログラムを追加するとPEMや機能低下を招く場合があるため、活動量が本人の許容量を超えないよう注意することが示されています。

ME/CFSを「運動不足だから動けば改善する疲労」と理解しない

ことが、この問題の重要なポイントです。

5つの選択肢を整理

選択肢 ポイント 判定
① 女性に多い 国内調査でも女性が多数を占める 適切
② 筋肉痛 ME/CFSでみられ得る身体症状 適切
③ 睡眠障害 不眠・過眠・熟眠感の乏しさなどがみられ得る 適切
④ 6か月以上続く著しい倦怠感 長期間持続する強い疲労が特徴 適切
⑤ 体を動かすと倦怠感が軽減する PEMにより活動後に症状が悪化し得る 不適切・正答

試験対策ではここまで覚える

  • 現在は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群〈ME/CFS〉という名称が広く用いられる
  • 強い疲労が長期間持続する
  • 筋肉痛や睡眠障害などがみられ得る
  • 身体的・認知的活動後の症状悪化〈PEM〉が重要な特徴
  • 「動けば疲労が軽減する」と単純化しない
  • 無理な運動負荷によって症状が悪化することがある
  • 日常的な慢性疲労だけでME/CFSと診断できるわけではない

問120の中心:ME/CFSでは労作後の消耗〈PEM〉が重要であり、「体を動かすことで倦怠感が軽減する」という説明は不適切。

まとめ

第3回公認心理師試験・午後問120の正答は、です。

ME/CFSでは、長期間続く強い疲労に加えて、睡眠障害、筋肉痛、認知機能の問題などがみられ、特に活動後に症状が悪化する労作後の消耗〈PEM〉が重要な特徴です。

したがって、「体を動かすことによって軽減する倦怠感が特徴」という⑤は不適切です。

試験対策では、ME/CFSを単なる「長引く疲れ」と捉えず、活動後の症状悪化を含む病態として理解しておきましょう。

参考資料

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