公認理師資格試験 過去問解説 問12 高次脳機能障害における遂行機能障害
- 2023.01.26
- 公認心理師(第5回)
- 第5回公認心理師試験, 脳・神経の働き
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第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問12 高次脳機能障害における遂行機能障害の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。
① 話題が定まらない。
② 自発的な行動に乏しい。
③ 行動の計画を立てることができない。
④ ささいなことに興奮し、怒鳴り声をあげる。
⑤ 複数の作業に目配りをすることができない。
出典:第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
選択肢の解説
遂行機能障害とは
遂行機能とは「物事や行動についての計画を立てたり、順序立てて実行する能力」を指します。
つまり、目的を定めて、その目的に向かって、一連の行動を計画して実際にこなすということを遂行機能というわけです。
遂行機能障害に関連する脳部位は前頭葉とされており、脳損傷や萎縮によって生じます。
①話題が定まらない
「話題が定まらない」に関しては、「記憶障害」や「注意機能障害」など複数の機能障害が要因として考えられます。
少なくとも遂行機能障害に典型的とはいえないため、不適切な選択肢となります。
②自発的な行動に乏しい
「自発的な行動に乏しい」は高次脳機能障害のなかでは、「社会的行動障害」に含まれます。
社会的行動障害では、意欲や活動性の低下が見られることがあり、人や周囲に関心がなくなることで無為に過ごすことが目立ちます。
よって選択肢②「自発的な行動に乏しい」は遂行機能障害の説明として不適切といえます。
③行動の計画を立てることができない
「行動の計画を立てることができない」は遂行機能障害の代表的な症状といえますね。
よってこちらの選択肢が正答となります。
④ささいなことに興奮し、怒鳴り声をあげる
こちらの選択肢についても、「社会的行動障害」で説明がつきます。
感情のコントロールが低下することで自己制御が難しくなります。
そのため、些細なことに興奮して怒鳴ってしまうことが目立つようになります。
よって選択肢④「ささいなことに興奮し、怒鳴り声をあげる」は遂行機能障害の説明として不適切といえます。
⑤複数の作業に目配りをすることができない
「複数の作業に目配りすることができない」は判断が難しい選択肢といえます。
複数作業を同時に行うことができないといった所見は「遂行機能障害」に特徴的といえますが、「注意機能障害」でも説明が可能です。
「目配りすることができない」といった表現から、注意の切り替えができないという意味を含んでいると考えられるため、ここでは「注意機能障害」を意味していると考えられます。
よって選択肢⑤「複数の作業に目配りをすることができない」は最も適切とは言い難いと考えられます。
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