公認理師資格試験 過去問解説 問16 Ebbinghausの文章完成法

公認理師資格試験 過去問解説 問16 Ebbinghausの文章完成法

第5回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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問16 H. Ebbinghaus が文章完成法を開発した際に、測定しようとした対象として、最も適切なものを 1 つ選べ。

① 性格

② 病態

③ 対人知覚

④ 知的統合力

⑤ 欲求不満耐性

出典:第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ④ 知的統合力

選択肢の解説

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Photo by Suzy Hazelwood on Pexels.com

文章完成法 Sentence Completion Test:SCT は、未完成な文章を提示して、被検査者に続く文言を自由に回答させることで、被検査者のパーソナリティ特性を把握する心理検査です。

この文章完成法ですが、活用方法は異なりますが、記憶に関する実験的研究で忘却曲線を発見したH. Ebbinghaus エビングハウス が1897年に開発したとされています。

開発目的としては、知能の構造を明らかにすることだったようです。

しかし、彼の文章完成法は、課題の形式が文章を完成させるというものではあったが、反応の適切さが問題とされたものであり、現在の学力検査の問題作成法の一つである完成法(穴埋め問題)に近いものである。

出典:臨床心理学大事典|培風館

このように、文章完成法といっても、未完成な文章を心理学実験に初めて用いたという意味合いが強いようで、その着想は言語連想検査法からきているようです。

一般社団法人日本SCT学会にのサイトにも以下のように記載されています。

SCTは、1897年、エビングハウス(Ebbinghaus,H) によって知的統合能力を測定する道具として開発されたものと言われている。その後、アメリカで、1920年代よりペイン(Payne,A.F)、テンドラー(Tendler,A.D.)らによって開発が進められた。第二次大戦中からのビージォウ(Bijou,S.W.)、ロッター(Rotter,J.B.)、スタイン(Stein,M.I.)らによるアメリカ戦略事務局関連の業績は顕著で、戦後のサックス(Sacks,J.M.)、フォーラー(Forer,B.R.)らの研究がそれに続いている。

出典:一般社団法人日本SCT学会

以上のことから、H. Ebbinghaus エビングハウスが「知的統合能力」を測定するために、文章完成法の雛形を開発したことがSCTのルーツとわかりますね。

よって、選択肢④「知的統合能力」が本問題の正答となります。