公認理師資格試験 過去問解説 問119 学級経営について
- 2023.01.25
- 公認心理師(第3回)
- 教育領域, 第3回公認心理師試験

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問119 学級経営について、不適切なものを1つ選べ。
① 学級集団のアセスメントツールには、Q-U などがある。
② 学級経営には、教師のリーダーシップスタイルの影響が大きい。
③ 学級づくりの1つの方法として、構成的グループエンカウンターがある。
④ 学校の管理下における暴力行為の発生率は、小学校より中学校の方が高い。
⑤ 問題行動を示す特定の児童生徒が教室内にいる場合、その児童生徒の対応に集中的に取り組む。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
となります。
選択肢の解説

①学級集団のアセスメントツールには、Q-U などがある
Q-U(Questionnaire-Utilities)とは、「学校生活意欲」と「学級満足度」の2つの尺度で構成されるアセスメントツールで、学級経営の際に重要な情報が得られます(「ネット上の侵害感(小学校高学年)」、「部活動(中学生)」の項目もあります)。
特に、「いじめ防止対策推進法(2013年9月施行)」において、いじめ早期発見のために学校が定期的な調査をするよう義務づけられたことを受けて、広く使われるようになりました。
また、「ソーシャルスキル尺度」を加えて、対人関係の問題もアセスメントできるようにしたhyper-Q-Uもあります。
以上のことから、選択肢①「学級集団のアセスメントツールには、Q-U などがある」は正しい記述といえます。
②学級経営には、教師のリーダーシップスタイルの影響が大きい
学級経営と教師のリーダーシップの関連性については、三隅(1978)がP M理論を利用して論じています。
教師の専門性は、一般に専門科目の知識・技能の指導に関わる目標達成機能(Performance Function:P機能)と、教室経営に関わる集団機能(Maintenance Function:M機能)に分けられる…(中略)…効果の高い順にPM型(P機能、M機能ともに大)pM型(M機能が大)Pm型(P機能が大)pm型(P機能、M機能ともに小)ということがわかった。
出典:保坂芳男(2014). 理想的な英語教師像に関する実証的研究(2)-PM理論を用いての生徒の学力差による構造比較-, 広島大学大学院教育学研究科紀要, 53, 181-186.
このように学級経営におけるリーダーシップはPM理論に基づいて検討されることが多いです。
- P機能:学級の目標達成(学業や目標への成果)
- M機能:学級の維持や強化(人間関係などまとまり)
学級経営において、学級がPとMのどちらが強いのか、その学級に対して教師がPとMのスタイルのバランスをどうするか、が重要といえます。
勿論、双方ともに高いPM型の学級や教師のスタイルが最も成果を上げやすいのですが、生徒自体の性質(例えば、達成動機など)によって、成果を上げやすい教師のスタイルが異なることもいわれています。
以上のことから、選択肢②「学級経営には、教師のリーダーシップスタイルの影響が大きい」は正しい記述といえます。
③学級づくりの1つの方法として、構成的グループエンカウンターがある
学級経営の最初の段階で、「学級内の人間関係づくり」のために、構成的グループエンカウンター(Structured Group Encounter)が行われることは広く一般的となってきています。
構成的グループエンカウンターに関しては、以下の解説をご参照ください。
よって、選択肢③「学級づくりの1つの方法として、構成的グループエンカウンターがある」は正しい記述といえます。
④学校の管理下における暴力行為の発生率は、小学校より中学校の方が高い
この選択肢については、「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等
生徒指導上の諸課題に関する調査」について|東京都教育庁指導部の図を見てみましょう。

生徒指導上の諸課題に関する調査」について|東京都教育庁指導部
こちらは令和3年度のグラフになっています。
令和元年度までは基本的に小学校よりも中学校の方が暴力行為の発生件数が高くなっています。
注意が必要なのは、令和2年度以降には徐々に小学校の方が暴力発生件数が増えているという点です。
第3回の公認心理師試験実施時点(令和2年12月)では、まだ小学校と中学校の暴力行為発生件数の逆転が起きていないため、選択肢④は正しい記述といえます。
ただし、今後の試験では、この記述は不適切なものとなりますので、注意しておきましょう。
⑤問題行動を示す特定の児童生徒が教室内にいる場合、その児童生徒の対応に集中的に取り組む
問題行動を示す特定の児童生徒が教室内にいる場合、その児童生徒に対して教育相談、生徒指導、スクールカウンセラーとの面談などの個別の対応を行うことは重要です。
しかし、1人の生徒の対応に集中的に取り組むことは、学級経営という観点でみると、うまく機能しないことが多いです。
その問題点をカバーするために、最近では、集団に対して望ましい行動を増やすことで不適切な問題行動を予防する(あるいは減らす)といった「ポジティブ行動支援」が注目されています。
よって、選択肢⑤「問題行動を示す特定の児童生徒が教室内にいる場合、その児童生徒の対応に集中的に取り組む」は不適切な記述といえます。
まとめ
- Q-U(Questionnaire-Utilities):「学校生活意欲」と「学級満足度」の2つの尺度で構成される学級のアセスメントツール
- hyper-Q-U:UQに「ソーシャルスキル尺度」が追加されたもの
- 学級経営には教師のリーダーシップスタイルの影響が大きい(PM理論)
- 暴力行為の発生件数は令和2年度までは小学校より中学校の方が多かったが、令和2年度以降は小学校の方が増加してきている
- 問題行動に対して集団に介入する「ポジティブ行動支援」がある
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