公認理師資格試験 過去問解説 問107 精神保健福祉法に基づく入院
- 2022.09.25
- 公認心理師(第3回)
- 保健医療領域, 第3回公認心理師試験, 精神保健福祉法
第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!
【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!
問107 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく精神障害者の入院について、正しいものを1つ選べ。
① 応急入院は、市町村長の同意に基づいて行われる。
② 措置入院は、72時間を超えて入院することはできない。
③ 措置入院は、2名以上の精神保健指定医による診察を要する。
④ 緊急措置入院は、家族等の同意に基づいて緊急になされる入院をいう。
⑤ 医療保護入院は、本人と家族等の双方から書面による意思確認に基づいて行われる。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
となります。
選択肢の解説
今回の問題は、入院形態に関するものとなっております。
基本的な事項となるため、しっかりと押さえておきましょう。
①応急入院は、市町村長の同意に基づいて行われる
応急入院に関する概要は以下のとおりです。
応急入院(33条の7)
- 急速を要する入院であり、家族の同意が得られない場合
- 家族の同意✖️、本人の同意✖️、精神保健指定医の診察○
- 本人の同意がなくとも、72時間は応急入院指定病院に入院させることができる
応急入院は緊急時に精神保健指定医による診察にて72時間の入院をさせるというものです。
この手続きに際して、市町村長の同意は必要ありません。
ちなみに、精神保健福祉法に基づく入院において市町村長が関係してくる箇所は、
- 医療保護入院に際して家族がいない場合の同意者となる
となります。
よって、選択肢①の問題文の記述は不適切といえますね。
②措置入院は、72時間を超えて入院することはできない
措置入院に関する概要は以下のとおりです。
措置入院(29条)
- 精神障害に罹患している+入院させなければ自傷他害の可能性
- 精神保健指定医2名以上の診察で上記が認められる
- 都道府県知事の権限で強制的に入院させる
措置入院は、精神保健指定医2名以上の診察で、①精神障害の罹患、②入院させなければ自傷他害のおそれ、が認められた方を、都道府県知事の権限によって強制的に入院させるというものです。
措置入院には72時間という制限は特にありませんが、措置入院を簡略化させた緊急措置入院(29条の2)では72時間の制限があるということを覚えておきましょう。
以上のことから、選択肢②の記述は不適切となります。
③措置入院は、2名以上の精神保健指定医による診察を要する
こちらは選択肢②とオーバーラップする内容となっています。
措置入院に際しては、精神保健指定医2名以上の診察が必要です。
よって選択肢③が本問題の正答となります。
④緊急措置入院は、家族等の同意に基づいて緊急になされる入院をいう
緊急措置入院に関する概要は以下のとおりです。
緊急措置入院(29条の2)
- 都道府県知事の命令による強制入院(措置入院と内容は同じ)
- 精神保健指定医による診察(1名でも可)
- 72時間の制限あり
このように緊急措置入院では、都道府県知事による命令が優先されるため、同意に関する事項は含まれていません。
選択肢④の文中にある「家族等の同意に基づいて緊急になされる入院」は医療保護入院を指しています。
よって選択肢④は問題の回答として不適切となります。
⑤医療保護入院は、本人と家族等の双方から書面による意思確認に基づいて行われる
医療保護入院に関する概要は以下のとおりです。
医療保護入院(33条)
- 精神保健指定医による診察で、①精神障害かつ入院の必要性ありと判断され、②精神障害の症状によって任意入院ができないと判断されたもの
- 本人の同意✖️、家族の同意○ *家族がいない場合は、市町村長の同意
医療保護入院は、入院が妥当であると精神保健指定医が判断したにも関わらず、本人が症状によって入院の同意をすることができない場合に、家族等の同意にて入院させるというものです。
前提条件として、本人は精神症状によって、適切な判断ができず入院の必要性に同意できない状態となっていることから、本人の意思確認は必要ないこととなります。
ただし、家族等の同意を得る必要があるため、家族に対しては書面による意思確認をする必要があります。
よって、選択肢⑤は不適切となります。
まとめ
第3回公認心理師資格試験 問107は「精神保健福祉法に基づく入院」に関してでした。
以下が入院形態を簡単にまとめたものとなります。
-
前の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問106 薬物動態について 2022.09.08
-
次の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問108 労働基準法に基づく年次有給休暇 2023.01.01
コメントを書く