公認心理師資格試験 過去問解説 第6回 午前 問40|労働安全衛生法と衛生委員会

第6回公認心理師試験 午前問40 労働安全衛生法と衛生委員会の解説図 公認心理師試験

第6回公認心理師試験・午前問40は、労働安全衛生法が事業場の規模に応じて事業者へ課している義務を問う問題です。正答は ① 衛生委員会の設置 です。

この問題では、「職場のメンタルヘルスに役立つ取組」と「法律上、一定規模の事業場で設置が義務づけられているもの」を区別する必要があります。

EAP、心理相談体制、精神科医療機関との連携はいずれも職場のメンタルヘルス支援として有用な場合があります。しかし、労働安全衛生法第18条と労働安全衛生法施行令第9条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場に設置が義務づけられているのは衛生委員会です。

問題

問題の要旨: 労働安全衛生法が、事業場の規模に応じて事業者に義務づけているものとして正しい選択肢を選びます。

  1. 衛生委員会の設置
  2. 従業員支援プログラム〈EAP〉の導入
  3. ハラスメント相談窓口の設置
  4. 事業場内の心理相談体制の確立
  5. 事業場外の精神科医療機関との提携

※公式問題の趣旨を保ちながら要約しています。正答は ① 衛生委員会の設置 です。

正答は①|衛生委員会の設置

労働安全衛生法第18条では、政令で定める規模の事業場ごとに、事業者が衛生委員会を設置しなければならないとされています。

さらに労働安全衛生法施行令第9条で、その規模は常時50人以上の労働者を使用する事業場とされています。

ここが試験で最も重要な数字です。

衛生委員会 → 全業種で常時50人以上

と覚えておくと判断しやすくなります。

衛生委員会とは何をする組織か

衛生委員会は、職場の健康管理や健康障害防止について、労使が参加して調査・審議し、事業者に意見を述べるための仕組みです。

労働安全衛生法第18条では、主に、

  • 労働者の健康障害を防止するための基本的対策
  • 労働者の健康保持増進を図るための基本的対策
  • 労働災害の原因や再発防止対策のうち衛生に関する事項
  • その他、健康障害防止・健康保持増進に関する重要事項

を調査審議するとされています。

つまり、衛生委員会は「心理相談をする場所」そのものではなく、職場全体の健康・衛生に関する方針や対策を組織的に検討する場です。

なぜ公認心理師試験で衛生委員会が問われるのか

公認心理師は、医療・教育だけでなく産業・労働領域でも活動します。

職場のメンタルヘルス支援では、個人面接の技法だけでなく、

  • 労働安全衛生法
  • 産業医
  • 衛生管理者
  • 衛生委員会
  • ストレスチェック
  • 職場復帰支援
  • メンタルヘルスケア体制

など、組織として労働者の健康を守る仕組みを理解する必要があります。

試験では、「心理的支援として望ましいか」だけではなく、法令上の義務なのか、任意の施策なのかを区別して問われます。

衛生委員会は何人以上で必要か

常時使用する労働者が50人以上の事業場です。

業種は問いません。

ここは安全委員会との違いで混乱しやすいところです。

衛生委員会は、すべての業種で50人以上が基準です。

一方、安全委員会は、業種によって設置義務が生じる規模が異なります。

そのため、

衛生=健康に関する委員会=全業種50人以上

という形で整理すると覚えやすくなります。

衛生委員会と安全委員会の違い

衛生委員会

主に「健康障害の防止」「健康保持増進」を扱います。

対象となるテーマとしては、

  • 健康診断
  • 過重労働対策
  • メンタルヘルス
  • 作業環境
  • 衛生教育
  • 健康保持増進

などが挙げられます。

安全委員会

主に「労働者の危険防止」を扱います。

たとえば、

  • 機械設備による事故
  • 転落・墜落
  • 作業手順上の危険
  • 労働災害の再発防止

などです。

安全委員会の設置義務は業種と規模によって異なります。

安全衛生委員会

安全委員会と衛生委員会の両方を設置する必要がある事業場では、それぞれを別々に設ける代わりに、安全衛生委員会として一体的に設置することができます。

試験では「安全委員会」「衛生委員会」「安全衛生委員会」を混同しないようにします。

衛生委員会の構成

衛生委員会には、事業場の衛生管理に関わる複数の立場が参加します。

代表的には、

  • 事業の実施を統括管理する者等
  • 衛生管理者
  • 産業医
  • 衛生に関する経験を有する労働者

などが構成員となります。

労働者側の意見を反映できるようにすることも重要です。

公認心理師が必ず法定委員になるという制度ではありませんが、事業場によってはメンタルヘルス対策や職場環境改善に関して専門的意見を求められることがあります。

② EAPの導入が違う理由

EAP〈Employee Assistance Program:従業員支援プログラム〉は、従業員の心理的・生活上・職業上の問題を支援する仕組みです。

たとえば、

  • 心理相談
  • ストレス相談
  • 家族問題への相談
  • 管理職へのコンサルテーション
  • 復職支援

などを提供する場合があります。

EAPは企業のメンタルヘルス対策として有用ですが、労働安全衛生法が事業場規模に応じて一律に導入を義務づけている制度ではありません。

したがって本問の正答にはなりません。

③ ハラスメント相談窓口の設置が違う理由

ハラスメント防止のために相談体制を整備することは、事業主に求められる重要な措置です。

ただし、本問は「労働安全衛生法が定める、事業場の規模に応じた義務」を問っています。

ハラスメント相談体制は、労働施策総合推進法等に基づく職場のハラスメント防止措置の文脈で理解する必要があります。

つまり、「職場で義務づけられているから正解」ではなく、どの法律・どの要件に基づく義務かを見分けることが大切です。

④ 事業場内の心理相談体制の確立が違う理由

職場のメンタルヘルス対策では、労働者が相談できる体制を整えることは重要です。

しかし、すべての事業場に「心理職を置く」「心理相談室を設置する」ことを、事業場規模に応じて労働安全衛生法が一律に義務づけているわけではありません。

公認心理師、産業カウンセラー、外部相談機関などをどのように活用するかは、事業場の規模やニーズによって異なります。

⑤ 事業場外の精神科医療機関との提携が違う理由

精神科医療機関との連携体制があることは、必要時に専門医療へつなぐうえで有用です。

しかし、特定規模以上の事業場すべてに対して、外部精神科医療機関との正式な提携契約を義務づける規定が労働安全衛生法にあるわけではありません。

したがって、本問では①が適切です。

「法定義務」と「望ましい取組」を分けて覚える

産業領域の問題では、この区別が非常に重要です。

たとえば、

法律上の義務

  • 衛生委員会
  • 産業医
  • 衛生管理者
  • 健康診断
  • 一定の法定制度

企業が任意に導入することがある取組

  • EAP
  • 独自の心理相談室
  • 外部カウンセリングサービス
  • 精神科医療機関との独自連携

というように整理できます。

もちろん、任意だから重要ではないという意味ではありません。

試験では「役立つかどうか」ではなく、「その法律で義務かどうか」を問われることがあります。

50人という数字で関連制度を整理する

産業保健では「常時50人以上」という基準が頻出します。

衛生委員会のほか、産業医や衛生管理者の選任でも重要な基準になります。

ただし、制度によって対象業種や細かな要件が異なるため、「50人」という数字だけで機械的に判断せず、何の制度について問われているのかを確認します。

本問では明確に「労働安全衛生法」「事業場の規模」「事業者の義務」と書かれているため、衛生委員会が最も直接的です。

事業場と企業は同じではない

試験対策では「事業場」という言葉にも注意します。

労働安全衛生法では、企業全体の従業員数だけではなく、基本的には工場、支店、店舗、事務所など、一定の場所を単位とした「事業場」で考えます。

たとえば、会社全体で数千人いても、各事業場の規模に応じて法定体制を確認します。

「企業全体で50人」ではなく、設問でどの単位が問われているかを読むことが重要です。

公認心理師が押さえるべきポイント

公認心理師が産業領域で活動するとき、相談室だけを見ていては十分ではありません。

個人の不調の背景には、

  • 長時間労働
  • 人員配置
  • 職場の対人関係
  • ハラスメント
  • 業務量
  • 裁量の少なさ
  • 職場風土

など、組織的要因が関係することがあります。

衛生委員会は、個別相談とは異なるレベルで職場環境を検討する仕組みです。

そのため、産業領域では、

個人支援+組織的な健康管理の仕組み

の両方を理解することが大切です。

試験での見分け方

本問のような問題では、次の順番で考えます。

  1. どの法律が問われているか
  2. 「義務」なのか「推奨」なのか
  3. 規模要件があるか
  4. 選択肢の中に法令で明確に定められた制度があるか

労働安全衛生法+規模要件+委員会という組合せなら、衛生委員会を考えます。

覚え方は、

健康・衛生/全業種/50人以上 → 衛生委員会

です。

まとめ

第6回公認心理師試験・午前問40の正答は ① 衛生委員会の設置 です。

労働安全衛生法第18条により、一定規模の事業場では衛生委員会の設置が義務づけられており、労働安全衛生法施行令第9条では、その規模を常時50人以上の労働者を使用する事業場としています。

EAP、心理相談体制、精神科医療機関との連携も職場のメンタルヘルス支援として重要ですが、本問では「労働安全衛生法上の規模に応じた義務」という条件に合うかどうかが判断軸です。

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参考資料

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第6回公認心理師試験 午前問題・正答
  • 厚生労働省|労働安全衛生法 第18条
  • 厚生労働省|労働安全衛生法施行令 第9条
  • 職場のあんぜんサイト|衛生委員会

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