第6回公認心理師試験・午前問30は、心理検査の構成から検査名を見分ける問題です。正答は② 新版K式発達検査です。
決め手は、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」という3領域です。この3つの組合せを見たら、新版K式発達検査をすぐに想起できるようにしておくと得点しやすい問題です。
- 問題の要旨
- 正答②|新版K式発達検査
- 新版K式では発達年齢〈DA〉と発達指数〈DQ〉をみる
- 3領域をイメージで覚える
- 選択肢①|WPPSI-III
- 選択肢③|S-M社会生活能力検査
- 選択肢④|グッドイナフ人物画検査
- 選択肢⑤|遠城寺式乳幼児分析的発達検査
- 5つの選択肢を一気に比較する
- この問題で問われているのは「検査の目的」より「構造」
- 検査結果は数値だけで理解しない
- 30秒で見分けるなら
- まとめ
- 新版K式は「発達のプロフィール」を見る
- 直接検査か、日常生活の情報かを見分ける
- 発達検査と知能検査は同じではない
- 遠城寺式との混同を防ぐ
- 覚え方|K式の3領域を一つの流れで結ぶ
- 参考資料
- この記事の背景
- Yamashun|臨床心理士・公認心理師
- 公認心理師試験の過去問解説を続けて読む
問題の要旨
「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域から構成される心理検査を、WPPSI-III、新版K式発達検査、S-M社会生活能力検査、グッドイナフ人物画検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査の中から選びます。
公式正答は② 新版K式発達検査です。
正答②|新版K式発達検査
新版K式発達検査では、発達を次の3領域から捉えます。
| 領域 | 主に見る内容 |
|---|---|
| 姿勢・運動〈P-M〉 | 姿勢、身体のバランス、粗大運動などの発達 |
| 認知・適応〈C-A〉 | 知覚、認知、操作、推理、問題解決、環境への適応に関わる発達 |
| 言語・社会〈L-S〉 | 言葉の理解・表出、概念、コミュニケーションや社会的側面に関わる発達 |
国立特別支援教育総合研究所の資料でも、新版K式発達検査はこの3領域に分類した課題で構成され、領域ごとの発達の様子を見る検査として整理されています。
新版K式では発達年齢〈DA〉と発達指数〈DQ〉をみる
新版K式発達検査では、課題への反応から発達段階を評価し、領域別および全体について発達年齢〈DA〉や発達指数〈DQ〉を検討します。
ここで重要なのは、DQを単独で診断名に置き換えないことです。発達検査の数値は、検査場面での状態、行動観察、生活場面での適応、他の情報と合わせて解釈します。
厚生労働省の資料でも、乳幼児期の検査結果は機嫌や眠気などの影響を受ける場合があり、DQだけではなく検査時の様子なども併せて評価する必要があるとされています。
3領域をイメージで覚える
姿勢・運動〈P-M〉
「身体をどう保ち、どう動かすか」を見る領域です。姿勢保持、身体のバランス、粗大運動などがイメージしやすいポイントです。
認知・適応〈C-A〉
「見たものをどう理解し、どう操作し、状況に合わせて課題を解くか」を見る領域です。物の操作、模倣、知覚、推理など、非言語的な認知活動を含みます。
言語・社会〈L-S〉
「言葉や概念をどう理解・表出し、人とどうやり取りするか」を見る領域です。語彙、言語理解、表出、コミュニケーションなどが含まれます。
試験では、細かな下位課題まで暗記するより、まずP-M / C-A / L-Sの3領域を確実に結びつけることが優先です。
選択肢①|WPPSI-III
WPPSI-IIIは、幼児を対象としたウェクスラー式の知能検査です。
日本文化科学社の資料では、年齢帯に応じて、全検査IQ〈FSIQ〉、言語理解指標〈VCI〉、知覚推理指標〈PRI〉、処理速度指標〈PSI〉、語い総合得点〈GLC〉などを算出します。
したがって、「姿勢・運動/認知・適応/言語・社会」の3領域を特徴とする検査ではありません。
選択肢③|S-M社会生活能力検査
S-M社会生活能力検査は、子どもの日常生活における社会生活能力、すなわち自立と社会参加に必要な生活への適応能力を捉える検査です。
第3版では、身辺自立、移動、作業、コミュニケーション、集団参加、自己統制などの領域から構成され、保護者や担任教師など、子どもの日常生活をよく知る大人が回答します。
新版K式のように「姿勢・運動/認知・適応/言語・社会」の3領域を直接実施で評価する検査ではありません。
選択肢④|グッドイナフ人物画検査
グッドイナフ人物画検査は、人物画を描く課題を用いる非言語性の知能・発達評価です。人物の描画に表れた身体部位や構成などを採点して評価します。
この検査を見分けるキーワードは「人物画」です。3つの発達領域から構成される検査ではありません。
選択肢⑤|遠城寺式乳幼児分析的発達検査
遠城寺式乳幼児分析的発達検査も発達を領域別に捉えるため、新版K式と混同しやすい選択肢です。
国立特別支援教育総合研究所の資料では、遠城寺式は、移動運動、手の運動、言語発達、情意の発達、知的発達、社会的発達など複数の領域に分けて発達の状態像やバランスを見る検査として説明されています。
新版K式の「姿勢・運動/認知・適応/言語・社会」という3領域とは構成が異なります。
5つの選択肢を一気に比較する
| 検査 | 試験での識別ポイント |
|---|---|
| WPPSI-III | ウェクスラー式の幼児用知能検査。FSIQ、VCI、PRIなど |
| 新版K式発達検査 | 姿勢・運動/認知・適応/言語・社会 |
| S-M社会生活能力検査 | 日常生活の社会生活能力。保護者・担任等が回答 |
| グッドイナフ人物画検査 | 人物画を用いる非言語性の知能・発達評価 |
| 遠城寺式乳幼児分析的発達検査 | 乳幼児の発達を複数領域に分けてプロフィール化 |
この問題で問われているのは「検査の目的」より「構造」
心理検査の問題では、「何を測る検査か」だけで覚えると混乱します。新版K式と遠城寺式はいずれも発達を扱いますし、WPPSI-IIIも幼児期のアセスメントで使われます。
問30では、目的ではなく検査を構成する領域名が決め手です。
- 姿勢・運動
- 認知・適応
- 言語・社会
この3語を見た時点で新版K式に絞れるようにしておきます。
検査結果は数値だけで理解しない
新版K式では、領域別・全体の発達年齢や発達指数を得られますが、心理アセスメントでは数値だけで対象者全体を説明しません。
国立特別支援教育総合研究所の資料でも、各種検査で理解される子ども像は一側面であり、複数の検査や行動観察などを組み合わせて多面的に捉える重要性が示されています。
試験で検査名を覚える際にも、「この数値ならこの診断」と短絡するのではなく、検査は状態像を理解し、支援の手がかりを得るための一つの資料だと捉えておくことが大切です。
30秒で見分けるなら
次の対応を優先して覚えます。
- P-M / C-A / L-S → 新版K式
- VCI / PRI / FSIQ → WPPSI-IIIなどウェクスラー式
- 社会生活年齢〈SA〉・社会生活指数〈SQ〉 → S-M社会生活能力検査
- 人物を描く → グッドイナフ人物画検査
- 乳幼児の複数領域プロフィール → 遠城寺式
したがって、正答は② 新版K式発達検査です。
まとめ
第6回午前問30は、心理検査の領域構成を問う基本問題です。
新版K式発達検査は、姿勢・運動〈P-M〉、認知・適応〈C-A〉、言語・社会〈L-S〉の3領域から発達を捉えます。類似する発達検査や幼児用知能検査と区別するため、検査名だけでなく「領域名」「実施方法」「算出される指標」をセットで整理しましょう。
新版K式は「発達のプロフィール」を見る
新版K式を学ぶときは、全体のDQだけを覚えるより、領域ごとの発達プロフィールを見る検査だと理解すると整理しやすくなります。
たとえば、認知・適応領域と比べて言語・社会領域が低い、あるいは姿勢・運動領域に特徴があるなど、領域間のバランスを確認することで、対象者の得意なことや支援が必要な部分を考える材料になります。
ただし、領域差だけから特定の発達障害や診断を決めることはできません。検査中の反応、生活場面での行動、保護者や学校からの情報、必要に応じた他の心理検査などと統合して理解します。
直接検査か、日常生活の情報かを見分ける
選択肢を区別する別の視点が、誰が何に答える検査なのかです。
新版K式やWPPSI-IIIでは、検査者が対象児と直接やり取りし、課題への反応を観察・採点します。一方、S-M社会生活能力検査では、保護者や担任など、日常生活をよく知る人が子どもの普段の行動について回答します。
試験で「日頃の生活」「保護者や担任が回答」「社会生活年齢・社会生活指数」といった語が出ればS-M、「検査者との課題」「P-M / C-A / L-S」「DA / DQ」が出れば新版K式、と切り分けられます。
発達検査と知能検査は同じではない
新版K式は発達検査、WPPSI-IIIは知能検査として位置づけられます。両者とも子どもの認知発達を理解する場面で使われるため、目的が近く見えることがありますが、構成と得点体系が異なります。
新版K式では発達年齢〈DA〉・発達指数〈DQ〉と領域別プロフィールを確認します。WPPSI-IIIでは、ウェクスラー式の枠組みに基づき、全検査IQや言語理解、知覚推理などの指標を算出します。
「子どもの知的・発達的状態をみる」という大きなくくりだけで覚えず、発達検査なのか知能検査なのか、どの領域・指標を使うのかまでセットで押さえることが重要です。
遠城寺式との混同を防ぐ
問30で最も迷いやすいのは⑤の遠城寺式です。どちらも乳幼児期の発達を領域別に把握するために使われるため、「発達検査」というだけでは区別できません。
ここでは領域名そのものを手がかりにします。
- 新版K式 → 姿勢・運動/認知・適応/言語・社会の3領域
- 遠城寺式 → 運動、社会性、言語などをさらに細かく分けた複数領域
つまり、問題文に3領域がそのまま提示されている時点で、新版K式を選べます。
覚え方|K式の3領域を一つの流れで結ぶ
暗記するときは、「身体を動かす〈姿勢・運動〉→物を理解して扱う〈認知・適応〉→言葉や人とのやり取り〈言語・社会〉」という流れで並べると覚えやすくなります。略号ではP-M、C-A、L-Sです。選択肢にこの3領域がそのまま提示された場合は、他の検査の細部を検討する前に新版K式を第一候補にできます。
参考資料
- 一般財団法人 日本心理研修センター|第6回公認心理師試験 午前問題
- 一般財団法人 日本心理研修センター|第6回公認心理師試験 正答
- 国立特別支援教育総合研究所|発達の状態をみる主な検査とその特徴
- 同志社大学 心理学部|新版K式発達検査
- 日本文化科学社|WPPSI-III知能検査
- 千葉テストセンター|S-M社会生活能力検査 第3版
この記事の背景
心理検査は名前だけではなく、「誰を対象に」「何を」「どの構造で」評価するのかをセットで理解すると、選択肢を見分けやすくなります。実際のアセスメントでは、検査結果を行動観察や生活情報などと統合して解釈します。

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