公認心理師資格試験 過去問解説 第5回 午前 問46|母子保健法と母子健康手帳

公認心理師過去問第5回46 公認心理師試験

第5回公認心理師試験・午前問46は、母子保健法で規定されている制度を、労働法、予防接種制度、医療保険制度と区別できるかを問う法律問題です。正答は③ 母子健康手帳の交付です。

この問題は4つの選択肢がすべて妊娠・出産・子育てに関係しているため、内容だけでなくどの法律が根拠になっているかを整理しておく必要があります。母子健康手帳は、妊娠の届出と連続して母子保健法に規定されています。

実際の問題文

問46 母子保健法で規定されている内容として、正しいものを1つ選べ。

① 産前産後の休業
② 乳幼児の予防接種
③ 母子健康手帳の交付
④ 出産育児一時金の支給

問題文の読み解き

設問のポイントは、「妊娠・出産・育児に関係する制度」を選ぶことではなく、母子保健法そのものに規定されているものを選ぶことです。①〜④はいずれも母子に関連しますが、法的根拠が異なります。

母子保健法では、母性ならびに乳児・幼児の健康保持と増進を目的として、保健指導、健康診査、訪問指導、妊娠の届出、母子健康手帳、産後ケアなどが規定されています。本問では、第15条の妊娠の届出と、第16条の母子健康手帳が直接関係します。

正答:③ 母子健康手帳の交付

正答は③です。母子保健法第16条では、市町村が、妊娠の届出をした者に対して母子健康手帳を交付しなければならないことが規定されています。

また、その直前の第15条では、妊娠した者が、定められた事項について速やかに市町村長へ妊娠の届出をするよう規定されています。試験対策としては、「妊娠の届出=第15条」→「母子健康手帳の交付=第16条」という流れで覚えると整理しやすくなります。

母子保健法は何を扱う法律か

母子保健法は、母性ならびに乳児・幼児の健康の保持・増進を図ることを目的とする法律です。現行法の総則では、妊産婦、乳児、幼児などの定義を置き、市町村を中心に母子保健事業を実施する枠組みが定められています。

試験で押さえたい主な内容には、保健指導、新生児の訪問指導、1歳6か月児・3歳児の健康診査、妊娠の届出、母子健康手帳、妊産婦の訪問指導、産後ケア、低体重児の届出、未熟児の訪問指導、養育医療などがあります。

一方で、妊娠・出産に関連する制度であっても、労働者の休業、予防接種、医療保険給付は別の法体系に位置づけられます。ここが本問の中心です。

第15条と第16条をセットで理解する

第15条:妊娠の届出

妊娠した者は、内閣府令で定める事項について、速やかに市町村長へ妊娠の届出をするようにしなければならないと規定されています。

第16条:母子健康手帳

市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならないと規定されています。また、妊産婦や乳幼児が健康診査・保健指導を受けた際には、必要事項の記載を受ける仕組みも定められています。

したがって、母子健康手帳は単なる「妊婦向けの情報冊子」ではなく、母子保健法に根拠を持つ公的な手帳です。

各選択肢の考え方

① 産前産後の休業

誤りです。産前産後休業は、労働者の就業と休業に関する制度であり、労働基準法の領域です。母性保護に関係する制度なので母子保健法と混同しやすいですが、母子保健法が直接規定する制度ではありません。

② 乳幼児の予防接種

誤りです。乳幼児期には複数の定期予防接種がありますが、その法的枠組みは予防接種法を中心に整理されます。母子健康手帳に予防接種歴を記録することがあるため関連は深いものの、「予防接種そのものの法的根拠」と「母子健康手帳への記録」は分けて理解します。

③ 母子健康手帳の交付

正答です。母子保健法第16条に規定されています。市町村が妊娠の届出をした者に交付します。

④ 出産育児一時金の支給

誤りです。出産育児一時金は、健康保険等の医療保険制度に基づく給付です。出産に関する経済的支援ではありますが、母子保健法による保健事業ではありません。

試験での見分け方:制度の「目的」と「実施主体」を確認する

法律問題では、制度名だけを暗記するより、何のための制度で、誰が実施するのかを考えると見分けやすくなります。

  • 母子健康手帳:母子保健、妊娠届出、市町村
  • 産前産後休業:労働者の就業・母性保護、事業主、労働法
  • 予防接種:感染症予防、公衆衛生、予防接種法
  • 出産育児一時金:医療保険上の給付、健康保険制度

「妊娠・出産に関係するから母子保健法」と考えると誤答しやすくなります。制度の法的な所属を一段深く整理しましょう。

関連知識:母子保健法には健康診査や訪問支援も含まれる

母子保健法では、母子健康手帳だけでなく、市町村による保健指導や健康診査、訪問指導なども重要です。たとえば、1歳6か月児と3歳児の健康診査、新生児の訪問指導、妊産婦の訪問指導、低体重児の届出、未熟児への訪問指導などが規定されています。

近年は、妊娠期から出産後まで切れ目なく支援する観点から、産後ケアやこども家庭センターとの連携なども法制度上重要になっています。公認心理師試験では、古い制度理解のまま固定せず、現行の条文と公式資料を確認することが大切です。

法律問題では「現在の制度」と「試験当時の設問」を分ける

過去問を学ぶときには、試験実施時点の正答を確認すると同時に、現在の法令が改正されていないかも確認する必要があります。本問の正答である母子健康手帳の交付は、現在も母子保健法第16条に規定されています。

一方、法令は改正によって所管、省令名、条番号、関連制度の位置づけが変わることがあります。そのため、実務や最新試験対策では厚生労働省やe-Gov等の公式法令情報を確認する習慣が重要です。

母子保健法の「条文地図」を作る

母子保健法は、単発の制度名を覚えるより、どの時期にどの支援が配置されているかを流れで理解すると整理しやすくなります。妊娠期には妊娠の届出と母子健康手帳、妊産婦への保健指導や健康診査があり、出生後には新生児への訪問指導、乳幼児健康診査、低体重児の届出、未熟児への訪問指導などが続きます。さらに、出産後の母子に対する産後ケアも法制度上位置づけられています。

このように母子保健法は、「妊娠した人に手帳を渡す法律」ではなく、妊娠・出産・乳幼児期を通じた健康支援の基盤となる法律です。母子健康手帳はその中核の一つですが、健康診査や訪問支援などと一体で理解することで、他の法律との区別がしやすくなります。

公認心理師試験で母子保健法が問われる理由

公認心理師は、保健医療、福祉、教育など複数領域で母子に関わる可能性があります。乳幼児健診、発達相談、産後のメンタルヘルス、虐待予防、育児不安などの場面では、母子保健制度と心理支援が接点を持ちます。そのため、心理検査や面接技法だけでなく、支援を支える制度の基本構造を理解しておく必要があります。

実務では、公認心理師が母子健康手帳を「交付する主体」になるわけではありませんが、母子健康手帳に記録された妊娠・出産・乳幼児期の経過が支援上の情報になる場合があります。また、健診や相談を通じて心理的・発達的な課題が見つかった場合には、保健師、医師、助産師、福祉職、教育機関などとの連携が必要になることがあります。

よくある混同①:母子健康手帳と予防接種

母子健康手帳には予防接種の記録欄があります。このため、「予防接種も母子保健法」と誤解しやすいのですが、記録媒体として母子健康手帳が使われることと、予防接種制度そのものの法的根拠は別です。試験では、ある制度が母子健康手帳に記録されるかではなく、どの法律がその制度を規定しているかを問われます。

よくある混同②:母性保護と母子保健

産前産後休業は妊娠・出産した労働者の保護に関する重要な制度ですが、これは労働関係法令の領域です。名称の印象だけで「母子を守る制度だから母子保健法」と判断すると誤答します。母子保健法は主として保健・健康支援の枠組み、産前産後休業は労働者の就業上の権利・保護の枠組みと整理すると区別できます。

よくある混同③:保健サービスと保険給付

出産育児一時金は、出産に伴う経済的負担を軽減するための給付ですが、母子保健法による保健サービスではなく、健康保険等の医療保険制度に基づく給付です。試験では「市町村が行う保健事業」と「保険者が行う金銭給付」を区別する視点が有効です。

現行法を確認するときの注意

母子保健法は改正が重ねられており、現在はこども家庭センターや産後ケアなど、試験実施当時から制度上の表現や周辺規定が変化している部分もあります。過去問の正答を確認する際には試験当時の問題意図を押さえつつ、実務や最新試験対策では現行条文を確認することが必要です。

本問の中心である「妊娠の届出をした者に対する母子健康手帳の交付」は、現在も母子保健法第16条に規定されています。このように、過去問の正答と現在の制度の両方を照合して学ぶと、制度改正に強い理解につながります。

この問題を実務の流れに置き換える

実務では、妊娠の届出をきっかけに、市町村が妊婦と接点を持ち、母子健康手帳の交付や保健情報の提供、必要に応じた相談支援へつなげていきます。母子健康手帳そのものが支援のすべてではなく、妊娠期から乳幼児期まで継続して母子の健康状態を把握し、必要な支援へつなぐ入口の一つと考えると、制度の位置づけが理解しやすくなります。

公認心理師が関わる場面では、産後の抑うつ、育児不安、乳幼児の発達相談、親子関係の困りごとなど、心理的課題が母子保健事業の中で見つかることがあります。その際、母子保健制度の基本を知っていると、どの職種・機関と連携すべきかを考えやすくなります。試験対策でも、単なる法律暗記ではなく、制度が実際の支援のどこに位置するかまで結びつけると記憶が安定します。

まとめ

第5回午前問46の正答は③ 母子健康手帳の交付です。母子保健法では、妊娠の届出に続いて、市町村が母子健康手帳を交付することが規定されています。

①産前産後休業は労働法、②乳幼児の予防接種は予防接種法、④出産育児一時金は医療保険制度の領域です。妊娠・出産・子育てに関する制度を、目的と法的根拠に分けて整理しておきましょう。

参考文献

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