公認心理師資格試験 過去問解説 第4回 午後 問84|反対色過程と色の残効

第4回公認心理師試験 午後問84 反対色過程と色の残効の解説図 公認心理師試験

第4回公認心理師試験・午後問84は、色覚の反対色過程〈opponent-process〉と関連する現象を見分ける問題です。正答は ② 色の残効の生起 です。

色覚では、L・M・Sの3種類の錐体の反応を基礎とする三色説だけでなく、その後の神経処理で赤―緑、青―黄などの反対方向の信号として色を処理する仕組みも重要です。反対色過程をイメージしやすい代表例が、ある色をしばらく見続けた後に補色側の色が見える負の残像・色の残効です。

この問題では、「中心窩」「桿体」「色の恒常性」「二色型色覚」など、すべて色覚に関連する語が並ぶため、単に“目や色に関係する用語”を選ぶのではなく、反対色過程を直接説明する現象はどれかを考える必要があります。

問題

問題の要旨: 色覚の反対色過程と最も直接的に関連する現象を、中心窩、色の残効、桿体細胞、色の恒常性、二色型色覚の中から1つ選びます。

  1. 中心窩の存在
  2. 色の残効の生起
  3. 桿体細胞の存在
  4. 色の恒常性の成立
  5. 二色型色覚者の存在

※公式問題の内容を学習用に整理しています。正答は ② 色の残効の生起 です。

正答は②|色の残効の生起

ある色を一定時間見続けた後、白色や灰色の面へ視線を移すと、もとの色とは反対側にある色が見えることがあります。

たとえば、

  • 赤を見続けた後に緑系の残像が見える
  • 緑を見続けた後に赤系の残像が見える
  • 青を見続けた後に黄系の残像が見える
  • 黄を見続けた後に青系の残像が見える

といった現象です。

こうした負の残像は、反対色過程を理解する代表的な手掛かりです。

色の信号は単に「赤」「緑」「青」が独立して伝わるだけではなく、その後の視覚系では一方の方向の活動が高まると、反対方向の活動が抑制されるような拮抗的処理が行われます。

そのため、ある色への順応が続いた後に無彩色へ切り替えると、反対方向の信号が相対的に強く感じられ、補色側の残像が知覚されます。

反対色過程とは

反対色説は、E. Heringによって提唱された色覚理論として知られています。

古典的には、

  • 赤 ― 緑
  • 青 ― 黄
  • 白 ― 黒

という反対の組が想定されます。

現代の視覚科学では、この考え方は「三色説か反対色説か、どちらか一方だけが正しい」という関係ではなく、色覚処理の異なる段階を説明する相補的な考え方として理解すると分かりやすくなります。

網膜の錐体段階ではL・M・S錐体の反応が重要で、その後、網膜神経節細胞や外側膝状体などの段階で錐体からの入力が比較され、反対色的な信号へ変換されます。

試験では細かな神経回路まで暗記するよりも、

三色説=錐体の3種類の反応
反対色過程=赤―緑、青―黄などの拮抗処理

と整理すると判断しやすくなります。

三色説との違い

Young–Helmholtzの三色説では、色覚は3種類の錐体の活動の組合せによって説明されます。

代表的には、

  • L錐体:比較的長波長側に感度をもつ
  • M錐体:中波長側に感度をもつ
  • S錐体:短波長側に感度をもつ

という3種類です。

ここで注意したいのは、L錐体を単純に「赤受容器」、M錐体を「緑受容器」、S錐体を「青受容器」と一対一対応で覚えすぎないことです。実際の色知覚は、それぞれの錐体の活動比や、その後の神経処理によって成立します。

反対色過程は、この錐体から得られた情報をさらに比較・統合する段階を説明します。

つまり、

入口では3種類の錐体
その後の処理では反対色チャンネル

という二段階で理解すると整理しやすくなります。

なぜ「色の残効」が反対色過程と結びつくのか

赤い刺激を長時間見続けたとします。

その間、赤―緑の反対色チャンネルのうち赤側の反応が長く続きます。そこから白い面へ視線を移すと、白色光には広い波長成分が含まれますが、直前まで強く反応していた側が順応しているため、相対的に反対側の信号が目立ちます。

その結果、もとの赤とは反対側にある緑系の残像が見えます。

試験では、

補色の残像 → 順応 → 反対色過程

という連想を作っておくと強いです。

① 中心窩の存在が違う理由

中心窩は網膜の中心部にある領域で、視力が最も高い部位です。

中心窩には錐体が高密度に分布し、細かな形や色を識別するうえで重要です。

したがって中心窩は色覚と無関係ではありません。

しかし、本問は「反対色過程と関連するもの」を問っています。

中心窩の存在そのものは、赤―緑や青―黄という拮抗的な色処理を説明する現象ではありません。

中心窩=高い空間解像度・錐体が密集
反対色過程=色信号の拮抗的処理

と分けます。

③ 桿体細胞の存在が違う理由

桿体は、暗い環境での明暗の検出に重要な視細胞です。

一方、明るい環境での色覚には主として錐体が関わります。

そのため、「色覚」という語だけを見て桿体を選ぶのは不適切です。

公認心理師試験では、桿体と錐体の対比は頻出です。

桿体

  • 暗所視
  • 明暗への感度が高い
  • 色の識別は中心的役割ではない

錐体

  • 明所視
  • 色覚
  • 高い視力
  • 中心窩に高密度

という基本を押さえます。

④ 色の恒常性が違う理由

色の恒常性とは、照明条件が変わって網膜へ届く光の波長分布が変化しても、物体の色を比較的一定して知覚する性質です。

たとえば、昼光と室内照明では物体から目に入る光は異なります。それでも「白い紙は白」「赤いりんごは赤」と比較的安定して知覚できます。

色の恒常性も重要な色知覚現象ですが、負の残像のように反対色過程を直接示す代表例ではありません。

試験では、

残像 → 反対色過程
照明が変わっても同じ色に見える → 色の恒常性

と区別します。

⑤ 二色型色覚者の存在が違う理由

二色型色覚は、色覚を担う錐体系のうち一つの機能が欠如・大きく異なる場合などに用いられる分類です。

先天的な色覚の違いを説明するときに、錐体や視物質の機能との関連が重要になります。

一方、本問の反対色過程は、色信号が神経系でどのように拮抗的に処理されるかという話です。

二色型色覚の存在は色覚理論と関係しますが、「反対色過程を示す代表的現象」として最も直接的なのは②の色の残効です。

「残像」と「残効」はどう考えるか

日常語では「残像」という表現が分かりやすいですが、知覚心理学では、刺激を取り去った後にも知覚上の影響が残る現象を広く残効〈aftereffect〉として扱います。

色の場合、一定の色刺激へ順応した後に色知覚が反対方向へ偏る現象が、色の残効として問題になります。

試験対策では、

長く見た刺激の影響が、その後の知覚に残る=残効

とまず捉え、その代表例として色残効を理解します。

第6回問8「色覚多様性」とつなげる

色覚領域では、第6回午前問8で「色覚多様性」が問われています。

そこでは、

  • 色覚には後天的変化もある
  • 色覚には主として錐体が関与する
  • 先天性の赤緑系色覚特性は男性に多い

といった基礎が重要でした。

今回の問84は、そこから一段進んで、錐体が受け取った色信号が、その後どのように処理されるかという内容です。

色覚を、

  1. 光が網膜へ入る
  2. 錐体が波長情報へ反応する
  3. 神経系で反対色的に比較される
  4. 色として知覚される

という流れで整理すると、複数の過去問をつなげて覚えられます。

試験での見分け方

色覚の問題では、次の対応を素早く思い出します。

  • 赤・緑・青/L・M・S錐体 → 三色説
  • 赤―緑、青―黄 → 反対色過程
  • 補色の残像 → 反対色過程
  • 暗所視 → 桿体
  • 高視力・色覚・中心窩 → 錐体
  • 照明が変わっても同じ色に見える → 色の恒常性

本問では「反対色過程」という語が出た時点で、補色・残像・残効を探すのが最短ルートです。

まとめ

第4回公認心理師試験・午後問84の正答は ② 色の残効の生起 です。

反対色過程では、色の情報が赤―緑、青―黄などの拮抗的なチャンネルで処理されます。ある色へ順応した後に補色側の残像が見える現象は、この仕組みを理解する代表例です。

試験では、

反対色過程 → 補色 → 色の残効

という対応を確実にしておきましょう。

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参考資料

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第4回公認心理師試験 午後問題・正答
  • MIT OpenCourseWare|Introduction to Psychology:Color Vision
  • Oxford University Press|Sensation and Perception:Negative Color Afterimages

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