公認理師資格試験 過去問解説 問2 自損行為(自殺未遂)の鑑別
- 2021.11.05
- 公認心理師(第4回) 資格試験
- 第4回公認心理師試験, 自殺予防
第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験
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【問2】自損行為の鑑別
問2 身体損傷により病院に搬送された患者で自損行為の可能性が疑われる場合、緊急に確認するべき事項として、優先度の低いものを1つ選べ。
① 自らの意思で行ったかどうかを確認する。
② 致死的な手段を用いたかどうかを確認する。
③ 明確な自殺の意図があったかどうかを確認する。
④ 背景にストレス要因があったかどうかを確認する。
⑤ 明確な致死性の予測があったかどうかを確認する。
④ 背景にストレス要因があったかどうかを確認する
となります。
自損行為
自損行為とは、「自殺企図/未遂」と言い換えることもできる自殺を目的として故意に自分自身に傷害を加える行為のことを意味しています。
身体損傷によって病院に救急搬送された患者さんで、自損行為が疑われる場合は、今後のケア(つまり、身体的治療とあわせて精神的なケアを考えるか否か)の方針を決定するためにも、自損行為であることを見極める必要があります。
自殺未遂者へのガイドラインはいくつかありますが、多くのガイドラインで共通している自殺未遂の鑑別フローチャートがあるので、そちらを見ていきましょう。
このフローチャートを見ると、
- 自らの意志で行った行為である
- 明確な自殺の意図があった
- 致死的な手段を用いた
- 致死性の予測があった
- その行為とは別に自殺念慮が存在
- 遺書等から客観的に確認される
という項目を評価して、自殺未遂か否かを鑑別していくことがスタンダードになっています。
選択肢の解説
今回の問題の選択肢は、実はすべて先程紹介した「自殺未遂の鑑別」のフローチャートの文言が使用されています。
そのため、該当しない項目は選択肢④「背景にストレス要因があったかどうかを確認する」となり、優先度の低いものとなるのでこちらが正答になりますね。
ただし、あくまで救急搬送されている状態での優先度であるため、公認心理師が介入する際には背景のストレス要因などは見過ごしてはいけない部分になりますよ。
① 自らの意思で行ったかどうかを確認する
もっとも最初に確認する項目になります。
身体損傷が、他人から強制された行為、犯罪被害、転倒・事故などによる外傷、先天的な身体疾患などで説明されるものかどうか確認するために必要なプロセスです。
つまり、上記で説明されるのであれば、自損行為には該当しないことになります。
② 致死的な手段を用いたかどうかを確認する
第三者から客観的に見て、致死リスクの高い方法で行われた行為であれば、本人が自殺の意図を明言していない状況であっても、自損行為である可能性が高いと判断できますね。
③ 明確な自殺の意図があったかどうかを確認する
自殺の意図があったか否かを繰り返し尋ねることは非常に重要となります。
実際に明言していなかったとしても、過去に自傷行為や自損行為の既往歴がある場合などは、自殺の意図があった可能性が高くなるため、そのような情報の確認も大切ですね。
⑤ 明確な致死性の予測があったかどうかを確認する
客観的に致死性の高いといえない方法であった場合でも、「死ぬことができる」という予測に基づいて行われた行為であれば自損行為と考えます。
まとめ
第4回公認心理師資格試験の問2は、自損行為の鑑別に関する問題でした❗️
身体損傷で救急搬送され自損行為が疑われる患者さんに対しては、身体的な治療とともに、自損行為(自殺未遂)か否かの鑑別がもっとも優先度の高い事項となります。
【自殺未遂の鑑別フローチャート】
- 自らの意志で行った行為である
- 明確な自殺の意図があった
- 致死的な手段を用いた
- 致死性の予測があった
- その行為とは別に自殺念慮が存在
- 遺書等から客観的に確認される
公認心理師にとっても、自損行為のリスク評価や対応に関する知識は必須領域となりますので、確認しておきましょう!
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