第4回公認心理師試験・午前問2は、身体損傷で救急搬送された患者について、自損行為の可能性が疑われるときの緊急評価の優先順位を問う問題です。
正答は④「背景にストレス要因があったかどうか」です。
重要なのは、ストレス要因が「重要ではない」という意味ではないことです。設問は「緊急に確認する事項として、優先度が低いもの」を聞いています。まず行為の意図・致死性・自殺意図などを確認し、その後の包括的な心理社会的評価で背景要因を詳しく整理する、という優先順位を押さえます。
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【問2】自損行為が疑われる患者への緊急評価
問2 身体損傷により病院に搬送された患者で自損行為の可能性が疑われる場合、緊急に確認するべき事項として、優先度の低いものを1つ選べ。
① 自らの意思で行ったかどうかを確認する。
② 致死的な手段を用いたかどうかを確認する。
③ 明確な自殺の意図があったかどうかを確認する。
④ 背景にストレス要因があったかどうかを確認する。
⑤ 明確な致死性の予測があったかどうかを確認する。
正答:④ 背景にストレス要因があったかどうか
第4回公認心理師試験の問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式ページで確認できます。
第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|公認心理師試験研修センター
まず押さえるべきこと:これは「緊急時の優先順位」の問題
この設問では、身体損傷を伴って病院へ搬送された直後という緊急場面が設定されています。
実際の臨床では、まず身体状態の安定化と安全確保が最優先です。そのうえで、自損行為が疑われる場合には、行為が意図的だったのか、どの程度の致死性があったのか、本人に自殺の意図があったのかなど、現在の安全性や行為の性質に直結する情報を早い段階で確認する必要があります。
一方、背景にあるストレス要因も、その後の支援方針を考える上では重要です。ただし、この設問では「緊急に確認する」という条件があるため、他の4項目より優先順位が下がります。
①「自らの意思で行ったかどうか」
まず、その身体損傷が本人の意思によって生じた行為なのか、それとも事故など別の経緯なのかを確認する必要があります。
これは、自損行為の可能性を評価する出発点です。
意図的な行為だったのかを確認しなければ、その後の自殺意図やリスクの評価にも進めません。
②「致死的な手段を用いたかどうか」
次に、行為そのものが医学的にどの程度生命を脅かす可能性をもっていたかを確認します。
ここで大切なのは、具体的な方法を暗記することではなく、行為の客観的な致死性・身体的重症度を評価する視点を持つことです。
救急場面では身体的な重症度の把握そのものが重要であり、心理社会的評価と並行して必要な医療対応が行われます。
③「明確な自殺の意図があったかどうか」
同じ自損行為でも、本人が「死ぬこと」をどの程度意図していたかは一様ではありません。
そのため、自殺の意図があったかどうかを直接確認することは重要です。
自殺意図の確認は、行為の意味や現在の安全性を理解するための重要な情報です。ただし、意図の有無だけで機械的にリスクを分類するのではなく、臨床的・心理社会的な情報を組み合わせて評価する必要があります。
⑤「明確な致死性の予測があったかどうか」
②と⑤は似ていますが、視点が異なります。
- ②:行為・手段が客観的にどの程度致死的だったか
- ⑤:本人が、その行為によって死亡する可能性をどの程度予測していたか
つまり、⑤は本人の認識・予測に関する情報です。
客観的な致死性と、本人が予測していた致死性は必ずしも一致しません。その違いを確認することで、行為の意味や自殺意図をより慎重に理解する材料になります。
なぜ④「ストレス要因」が優先度の低い選択肢なのか
背景のストレス要因は、自損行為や自殺関連行動を理解する上で非常に重要です。厚生労働省の自殺対策でも、自殺の背景には健康問題だけでなく、生活上・社会上の複数の要因が関与し得ることを踏まえ、医療と地域支援をつなぐ包括的な対応が重視されています。
また、心理社会的評価では、現在の問題、背景、支援資源、今後の安全確保などを幅広く確認します。
それでも問2では④が正答です。
理由は、「ストレス要因は不要」なのではなく、「救急搬送直後に行為の性質と現在の危険性を確認する4項目と比べれば、詳細な背景探索は後段になる」からです。
この問題で避けたい誤解
誤解1:「ストレス要因は評価しなくてよい」
これは誤りです。
背景要因は、その後の心理社会的評価、支援計画、再発予防を考える上で重要です。設問ではあくまで「緊急に確認する事項の優先順位」が問われています。
誤解2:「致死性だけを見れば自殺リスクが分かる」
これも適切ではありません。
身体的な致死性が低く見える場合でも、そのことだけで将来のリスクを低いと判断することはできません。自殺未遂歴そのものが重要なリスク情報であり、行為後には必要な精神医学的・心理社会的評価と継続的な支援が求められます。
誤解3:「チェック項目だけで将来の自殺を予測できる」
自殺リスクの評価を、単純な点数や少数の項目だけで将来予測に置き換えることはできません。
NICEの自傷ガイドラインでも、リスク評価尺度を将来の自殺や自傷の予測、あるいは治療・退院判断の単独根拠として使用しないことが推奨されています。個別のニーズ、安全性、心理社会的状況を含めた評価が必要です。
5つの選択肢を整理
| 選択肢 | 確認する内容 | 緊急評価での位置づけ |
|---|---|---|
| ① 自らの意思 | 意図的な行為だったか | 優先度が高い |
| ② 行為の致死性 | 客観的な生命危険性・身体的重症度 | 優先度が高い |
| ③ 自殺の意図 | 本人に死ぬ意図があったか | 優先度が高い |
| ④ 背景のストレス要因 | 行為に至る背景・心理社会的要因 | 重要だが、この設問では相対的に低い |
| ⑤ 致死性の予測 | 本人が死亡可能性をどう認識していたか | 優先度が高い |
試験対策ではここまで覚える
第4回午前問2では、次の整理が重要です。
緊急時 → 「意図的行為か」「客観的致死性」「自殺意図」「本人の致死性予測」を先に確認
背景のストレス要因 → 重要だが、詳細な心理社会的評価の中で引き続き確認する
「重要かどうか」ではなく、「今この場面で何を先に確認するか」という優先順位で選択肢を読むことがポイントです。
まとめ
第4回公認心理師試験・午前問2の正答は、④「背景にストレス要因があったかどうか」です。
自損行為が疑われる救急場面では、まず身体状態と安全を確保した上で、行為の意図性、客観的な致死性、自殺の意図、本人が予測していた致死性などを確認します。
背景のストレス要因も重要ですが、この設問では緊急評価としての優先度が問われているため、他の4項目より相対的に低いと判断します。
試験では、④を「不要な情報」と覚えるのではなく、緊急評価と、その後の包括的な心理社会的評価を分けて考えることが重要です。



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