公認理師資格試験 過去問解説 問91 エンパワメント
- 2021.11.11
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問91】エンパワメント
問91 集団や組織、コミュニティにおいて、無力な状態にある人々が自らの中に力があることに気づき、能動的にそれを使い、環境の変化を求めていけるようになることを何というか、最も適切なものを1つ選べ。
① 自己実現
② コーピング
③ 自己効力感
④ コンピテンス
⑤ エンパワメント
⑤ エンパワメント
となります。
エンパワメント
エンパワメント empowerment とは❓
簡単にまとめると、エンパワメントとは、個人や集団が自分の生活や行動をコントロールしている感覚を持ち、主体的に問題解決に臨めるようになることです。
このエンパワメントの視点は、障害者ケアに多く取り入れられています。
エンパワメント概念は、女性や障害者、少数民族、AIDS 患者など社会的弱者として差別されている人々へのソーシャルワーク実践方法として発展し、現在までに様々な定義づけが行われている。
出典: 村上・山本(2014). エンパワメントの概念整理と研究動向ースクールソーシャルワーカーのエンパワメント構築に向けてー, 富山国際大学子ども育成学部紀要, 5, 193-202.
というように、エンパワメントの概念的な定義はいくつかあるようですが、概ね先ほどの理解で良さそうです。
選択肢の解説
① 自己実現
自己実現 self-actualization とは、
個人のなかに存在するあらゆる可能性を自律的に実現し、本来の自分自身に向かうことを指す
出典:心理学辞典|有斐閣
言葉です。
当初はユングにより用いられた用語ですが、ホーナイ Horney 、マズロー Maslow、ロジャーズ Rogers などが各々の理論の中で自己実現について論じています。
以下に定義を簡単にまとめてみました。
- ユング:自己実現(≒個性化)とは、私たちが自分自身になること
- ホーナイ:自己実現とは、各個人の成長の源(=真の自己)の成長過程
- マズロー:自己実現とは、自分の可能性を実現して自分の使命を達成することで、人格の統合を目指すこと
- ロジャーズ:自己実現とは、自己を受容してより大きい自律性や統合性に向けて心理的に成熟していくこと
② コーピング
コーピング copingとは、ストレスに対する対処を意味します。
正確な定義はこちらになります。
特定の環境からの要求(demand)や自分自身の内部において生じた要求によって引き起こされたストレス反応を低減することを目的とした、絶えず変化していく認知的または行動的努力のプロセスを指す
出典:心理学辞典|有斐閣
コーピングは、大きく以下の2つに大別されます。
- 問題焦点型コーピング
- 情動焦点型コーピング
以下のサイトが参考になりますよ❗️
③ 自己効力感
自己効力感 self-efficacy とは❓
自分が行為の主体であると確信していること、自分の行為について自分がきちんと統制しているという信念、自分が外部からの要請にきちんと対応しているという確信
出典:心理学辞典|有斐閣
と定義されています。
バンデューラ Bandura は自己効力感の起源として以下のものを挙げています。
- 熟達:成功体験で自分に対する確固とした信念をつくる
- 社会的なモデリング:自分に類似する他人の努力をモデルにすることで、自分の成功の可能性についての確信が強まる
- 社会的な説得:認められ励ましを受けることで努力が増える
- 自分の生理的な状態:過剰な反応を減らす
公認心理師資格試験 過去問解説 問10 学習及び言語「潜在学習」
④ コンピテンス
コンピテンス competence とは、高い成果を出す人に共通して見られる行動の特性(知識・技能・態度)を意味しており、コンピテンシーを包括する全体的な能力をさしています。
発達心理学において使用される場合、人にすでに備わっている潜在的能力と、環境に能動的に働きかけて自らの「有能さ」を追求しようという動機づけを一体として捉える力動的概念をさす。
出典:心理学辞典|有斐閣
日本ではコンピテンシーと大きな区別なく使用されているようです。
公認心理師資格試験 過去問解説 問35 多職種連携「多職種連携コンピテンシー」
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問91は、エンパワメントに関する問題でした❗️
以下がキーワードになります。
キーワードエンパワメント=個人や集団が自分の生活や行動をコントロールしている感覚を持ち、主体的に問題解決に臨めるようになること
コーピング=ストレスへの対処
自己実現=個人のなかに存在するあらゆる可能性を自律的に実現し、本来の自分自身に向かうこと
自己効力感=自分が行為の主体であると確信していること
コンピテンス=高い成果を出す人に共通して見られる行動の特性(知識・技能・態度)
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