公認心理師資格試験 過去問解説 問71 事例問題:自殺のリスク評価
- 2021.07.24
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 教育領域, 第3回公認心理師試験, 自殺予防

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問71】事例問題:自殺のリスク評価
問71 22 歳の男性 A、大学4年生。A は 12月頃、就職活動も卒業研究もうまくいっていないという主訴で学生相談室に来室した。面接では、気分が沈んでいる様子で、ポツリポツリと言葉を絞り出すような話し方であった。「就職活動がうまくいかず、この時期になっても1つも内定が取れていない。卒業研究も手につかず、もうどうしようもない」と思い詰めた表情で語っていた。指導教員からも、日々の様子からとても心配しているという連絡があった。
A の自殺のリスクを評価する際に優先的に行うこととして、不適切なものを1つ選べ。① 絶望感や喪失感などがあるかどうかを確認する。
② 就職活動の方向性が適切であったかどうかを確認する。
③ 現在と過去の自殺の念慮や企図があるかどうかを確認する。
④ 抑うつ状態や睡眠の様子など、精神的・身体的な状況を確認する。
⑤ 就職活動や卒業研究の現状を、家族や友人、指導教員に相談できているかどうかを確認する。
② 就職活動の方向性が適切であったかどうかを確認する
となります。
事例Aについて簡単に確認していきましょう。
A 22歳 男性 大学4年生
就職活動がうまくいっていない、卒業研究が手に付かない
気分が沈んでいる、ポツリポツリと言葉を絞り出すような話し方
今回の問題は大学の学生相談室での自殺リスク評価に関してですね❗️
第3回試験の問3に詳しい解説がありますので是非ご覧くださいね
第3回公認心理師資格試験 過去問解説 問3 自殺予防や自殺のリスク評価
選択肢の解説
【自殺のリスク因子】
- 過去の自殺企図歴(自殺未遂をしたことがある)
- 自傷行為(リストカット、過量服薬)
- アルコール・薬物の乱用
- 精神疾患の存在(うつ病、摂食障害、境界性人格障害、トラウマ関連)
- 慢性疾患、慢性的な疼痛、進行性の疾患
- 孤立感、絶望感
- 支援につながることができていない
- 経済的な破綻
- 自殺に関する情報に曝されること(インターネットやメディアによる報道も含む)
① 絶望感や喪失感などがあるかどうかを確認する
自殺のリスク評価の際には、自殺に繋がるリスク因子を把握していく必要があります。
絶望感は上の表にもあるように自殺のリスク因子に含まれていますね。
また、DSM-5における持続性抑うつ障害の診断基準にも含まれている項目です。
よって、選択肢①「絶望感や喪失感などがあるかどうかを確認する」は適切な記述といえます。
② 就職活動の方向性が適切であったかどうかを確認する
「就職に悩んでいる」という主訴のみであったら、就職活動の方向性に関して一緒に振り返ることは有用となるでしょう。
ただし、Aの現状としては、就職活動がうまくいかないことを契機として、抑うつ気分や思考制止(集中困難)などの抑うつ症状が明らかに出現している状態であると考えられます。
このような状態にあるAに対して、契機となった就職の話題に直面化させることは抑うつ症状を強める可能性があるため適切な対応とは言い難いでしょう。
また、今回の問題では自殺のリスク評価がメインとなっていますので、その点からも不適切といえますね。
以上より、選択肢②「就職活動の方向性が適切であったかどうかを確認する」は不適切な記述といえ、問題の正答となります。
③ 現在と過去の自殺の念慮や企図があるかどうかを確認する
過去の自殺企図歴や自傷行為歴は重大な自殺のリスク因子と考えられています。
また、現在自殺念慮や自殺企図があるならば、緊急性が非常に高いケースとなり、適切な機関への紹介や場合によっては守秘義務の範疇を超えた対応が必要になってきますね。
気分が落ち込んでいるクライエントに対して聞きにくい項目のように感じますが、緊急性の判断のためにも必ず確認する必要があります。
そのため、選択肢③「現在と過去の自殺の念慮や企図があるかどうかを確認する」は適切な記述といえます。
④ 抑うつ状態や睡眠の様子など、精神的・身体的な状況を確認する
慢性的な身体疾患の存在や、精神的な疾患、特にうつ病の可能性がないかどうか確認することも自殺のリスク評価には非常に重要でしょう。
ちなみに、抑うつ症状や関連する身体症状について確認する症状評価としてハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)は非常に有用です。
以上のことから、選択肢④「抑うつ状態や睡眠の様子など、精神的・身体的な状況を確認する」は適切な記述といえます。
⑤ 就職活動や卒業研究の現状を、家族や友人、指導教員に相談できているかどうかを確認する
周囲の人に現状を相談できているかどうかは、自殺の保護因子にも関連する要因ですね。
自殺のリスク評価には、リスク因子のみでなく、自殺を防ぐ要因となる保護因子を確認しておくことが重要です。
自殺の保護因子には以下のようなものがあります。
- 家族やコミュニティの支援に対する強い結びつき
- 自殺を妨げるような個人的・社会的・文化的・宗教的な信条
- 自殺手段へのアクセスの制限
- 支援を求めることができること
そのため、選択肢⑤「就職活動や卒業研究の現状を、家族や友人、指導教員に相談できているかどうかを確認する」は適切な記述といえます。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問71は、事例問題:自殺のリスク評価に関する問題でした❗️
自殺のリスク評価は、医療・教育・福祉・産業などどの領域にも共通する必須知識といえます。
自殺のリスク因子と保護因子に関しては押さえておきましょう。
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