公認心理師資格試験 過去問解説 問38 心理状態の観察及び結果の分析「インテーク面接」
- 2021.05.12
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問38】心理状態の観察及び結果の分析「インテーク面接」
問38 インテーク面接におけるアセスメントについて、不適切なものを1つ選べ。
① クライエントの生活における適応状態を確認する。
② 支援を受けることについての動機づけを確認する。
③ クライエントの問題に関連する情報を初回で漏れなく収集する。
④ 客観的な情報収集に努めながら、クライエントの語りを共感的に聴く。
⑤ クライエントの問題の心理的要因だけではなく、生物学的要因や社会的要因についても評価する。
③ クライエントの問題に関連する情報を初回で漏れなく収集する
となります。
第3回公認心理師試験の過去問で「インテーク面接」がキーワードとして出題された問題は3問目となりますね❗️
インテーク面接
インテーク面接とは、「クライエントに対して初めに行われ、クライエントがどのような問題を抱えているかを把握して、それに対してどのような援助が最適であるかを判断するために行う面接」のことをいい、「受理面接」「初回面接」とも呼ばれます。
インテーク面接では、以下のような内容を聴取していきます❗️
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 年齢
- 所属(勤務先や学校など)
- 現住所
- 連絡先
- 主訴
- 既往歴(治療歴)
- 来談経緯
- 家族歴
- 生育歴
インテーク面接でのポイントは以下の通りです🤔
- クライエントから受けるイメージ(=面接者に生じる感情)を得る
- 服装・表情・動作など視覚的な情報を得る
- 聴取にて情報を得る
- 客観的な情報(家族・学校など第三者)を得る
- パーソナリティを把握する:自我、知的能力、現実検討力など、心理検査
- 見立てを立てる:心理的査定と予後を含む見通し
選択肢の解説
① クライエントの生活における適応状態を確認する。
適応とは、環境や状態にあてはめるができているという意味です。
適応状態というときには、環境や自分自身の気持ちと合致した振る舞いが取れているかどうかをさすことが多いです。
適応的な振る舞いが十分に取れずに、本人や周囲にデメリットが生じている状態のことは不適応状態と呼ばれますね。
心理的支援を行うにあたって把握しておくべき重要なファクターのひとつですね❗️
先ほどあげた6つのポイントのなかでは、「聴取にて情報を得る」「客観的な情報」「パーソナリティを把握する」などに関係していますね。
そのため選択肢①「クライエントの生活における適応状態を確認する」は正しいといえ、問題の回答としては不適となります。
② 支援を受けることについての動機づけを確認する。
こちらの選択肢と関係するのは「聴取にて情報を得る」ですね。
インテーク面接のなかで聞く項目のひとつとして、来談動機があります。
以下の記述を見てみましょう。
通常、来談動機という言葉は「心理療法を受けること」に対する動機づけを意味することが多く、治療動機と同義とみなされる。しかし、初回面接前後のクライエントにとって治療の具体的イメージは必ずしも明確でなく、来談動機の意味も今少し広く「治療・相談機関に行くこと」に対する動機づけととらえることもできる。そこには、治療・相談機関やカウンセラーに対する認知にもとづく来談期待が絡んでいる。
つまり、一般的には来談動機=心理療法を受けることへの動機づけを意味しますが、来談したことへの期待も含まれるということです。
来談動機を聞くことは、今後の見通しにとても重要ですね。
そのため、選択肢②「支援を受けることについての動機づけを確認する」は正しいといえ、問題の回答としては不適となります。
③ クライエントの問題に関連する情報を初回で漏れなく収集する。
インテーク面接で聴取すべき情報は多くあり、状況によっては心理検査などもインテークに含まれます。
通常は数回に渡ってインテーク面接を行い、さまざまな情報を収集していくことになりますね。
そのため、選択肢③「クライエントの問題に関連する情報を初回で漏れなく収集する」は正しいといえないため、問題の正答となります。
④ 客観的な情報収集に努めながら、クライエントの語りを共感的に聴く。
インテーク面接は、ただ単に情報を収集すればいいだけではありません。
基本的な態度として、情報を得るための関係性づくりが重要になってきます。
そのためクライエントの語りに対して共感的に聴くことで、クライエントに関心を持っていることを伝えることが必要となりますね。
以上のことから、選択肢④「客観的な情報収集に努めながら、クライエントの語りを共感的に聴く」は正しいといえ、問題の回答としては不適となります。
⑤ クライエントの問題の心理的要因だけではなく、生物学的要因や社会的要因についても評価する。
繰り返しになりますが、インテーク面接では、クライエント自身のストーリーを読み解くために、クライエントから包括的な情報を得て今後の見通しを立てることが目的となります。
包括的な視点を持つためには、心理的要因だけでなく、生物学的要因や社会的要因についても適切に評価し、クライエントにとって必要な支援に結びつけることが重要です。
たとえば、心理的要因よりも社会的要因に重点を置く必要があると見立てをすれば福祉施設や行政などを紹介する必要がありますし、生物学的要因の影響が強いのであれば医療機関の受診を勧める必要もあるでしょう。
そのため、選択肢⑤「クライエントの問題の心理的要因だけではなく、生物学的要因や社会的要因についても評価する」は正しいといえ、問題の回答としては不適となります。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問38は、インテーク面接に関する問題でした❗️
インテーク面接を実施する際に押さえておくべきポイントは以下の通りです。
- クライエントから受けるイメージ(=面接者に生じる感情)を得る
- 服装・表情・動作など視覚的な情報を得る
- 聴取にて情報を得る
- 客観的な情報(家族・学校など第三者)を得る
- パーソナリティを把握する:自我、知的能力、現実検討力など、心理検査
- 見立てを立てる:心理的査定と予後を含む見通し
このポイントに沿った内容を聴取していくことが重要になります。
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