公認理師資格試験 過去問解説 問150 事例問題 「ADHD児への対応」

公認理師資格試験 過去問解説 問150 事例問題 「ADHD児への対応」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!

【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!

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問150 

9歳の男児 A、小学3年生。A は、注意欠如多動症/注意欠如多動性障害【AD/HD】と診断され、服薬している。A は、待つことが苦手で順番を守れない。課題が終わった順に担任教師 B に採点をしてもらう際、A は列に並ばず横から入ってしまった。B やクラスメイトから注意されると「どうせ俺なんて」と言ってふさぎ込んだり、かんしゃくを起こしたりするようになった。B は何回も A を指導したが一向に改善せず、対応に困り、公認心理師であるスクールカウンセラー C に相談し た。

C が B にまず伝えることとして、最も適切なものを1つ選べ。

① 学級での環境調整の具体案を伝える。

② A に自分の行動を反省させる必要があると伝える。

③ A がルールを守ることができるようになるまで繰り返し指導する必要があると伝える。

④ A の年齢を考えると、この種の行動は自然に収まるので、特別な対応はせず、見守るのがよいと伝える。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ① 学級での環境調整の具体案を伝える

選択肢の解説

事例の概要

まずは事例を整理してみましょう。

  • 小学校3年生 男児 診断名:注意欠如多動症(ADHD) 服薬加療中
  • 順番を守れず、採点の際に横入りしてしまった →ADHDによる症状
  • 叱責を受けると否定的な発言をしたり、癇癪を起す →二次的な症状
  • 担任教師Bによる指導が繰り返されているが奏功しない

と、このような状態となっています。

ここで重要なポイントは、「担任教師Bによる指導が繰り返されているが奏功しない」という部分になります。

本事例では担任教師による指導が奏功しないばかりか、むしろ気持ちのコントロールという部分で二次的な問題を引き起こしている可能性が考えられます。

この時点で、選択肢②「A に自分の行動を反省させる必要があると伝える」と③「A がルールを守ることができるようになるまで繰り返し指導する必要があると伝える」は不適切といえますね。

いずれも担任教師が既に試していて奏功していない現状がみられることが理由となります。

残りの選択肢は①と④の2つに絞られますが、選択肢④「A の年齢を考えると、この種の行動は自然に収まるので、特別な対応はせず、見守るのがよいと伝える」について考えてみましょう。

確かに、ADHDの多動症状は一般的には加齢と伴い落ち着いてくることが多いという事実があります。

そのため、状況によっては、選択肢④は適切な部分もあります。

しかしながら、本事例には以下の特徴があります。

  1. 担任教師Bやクラスメイトに実害が生じている
  2. 叱責によってA自身に二次的な問題が生じている

このような状況では、経過観察ではなく具体的な対応策を講じる必要があると考えるのがセオリーです。

そのため、選択肢④は不適切な回答となります。

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①学級での環境調整の具体案を伝える

本問題の正答はこちらの環境調整の提案ということになります。

合理的配慮の提供やAの行動を細かく分析して問題行動を減らすための提案が求められますね。

合理的配慮に関する解説は以下の記事へ!

問題行動を分析する際には、機能分析の考え方が重要です。

以下の書籍が非常に参考になります。

二次的な問題についてはこちらの記事も参考になります。