公認理師資格試験 過去問解説 問126 急性ストレス障害について
- 2023.02.06
- 公認心理師(第3回)
- トラウマ, 保健医療領域, 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問126 DSM-5の急性ストレス障害Acute Stress Disorderについて、 正しいものを1つ選べ。
① 主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある。
② 心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃は除外される。
③ 6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発症することがある。
④ 心的外傷的出来事の体験後、2週間以上症状が持続した場合は心的外傷後ストレス障害PTSDに診断を切り替える。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
急性ストレス障害
急性ストレス障害 Acute Stress Disorder は、DSM-5では心的外傷およびストレス因関連障害群に含まれます。
基本的な症状に関しては、心的外傷後ストレス障害 Post Traumatic Stress Disorder:PTSD と類似していますが、C基準の持続期間が大きく異なります。
具体的には、症状の持続は心的外傷への曝露後、3日〜1ヵ月となっています。
まとめると以下のようになります。
心的外傷体験後、急性(3日〜1ヵ月)に、侵入症状・陰性気分・解離症状・回避症状・覚醒症状が出現することが特徴的な疾患
選択肢の解説
①主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある
「周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある」という記述は、解離症状に関するものとなります。
例として、ぼーっとする、他者の視点から自分を見ている(他人事のように感じる)、時間の流れが遅く感じる、などが挙げられています。
この解離症状は、急性ストレス障害の診断基準Bの症状群のひとつに含まれています。
よって、選択肢①「主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある」は正しい記述といえます。
②心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃は除外される
こちらは診断基準Aに関連する内容となります。
A基準は、実際にまたは危うく死ぬ、重症を負う、性的暴力を受ける出来事への曝露についてとなっており、具体的には以下のものが含まれます。
- 直接体験する
- 他人に起こった出来事を直に目撃する
- 近親者・親しい人に起こった出来事を耳にする
- 出来事の細部に繰り返し曝露される(主に仕事に関するもの)
このように、直接体験に限らず、間接的な体験も診断基準に含まれます。
ここで注意が必要なのは、他者に生じた出来事の場合は「直接目撃すること」が診断基準に必要ということです。
以上から、選択肢②「心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃は除外される」は、「直接体験に限られ」「除外」という部分が不適切となります。
③6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発症することがある
心的外傷後ストレス障害の診断基準になりますが、6歳以下の子どもの場合のA基準を見てみましょう。
- 直接体験する
- 他人、特に主な養育者に起こった出来事を直に目撃する
- 親・養育者に起こった出来事を耳にする
心的外傷後ストレス障害や急性ストレス障害では、6歳以下に限らず、直接的な心的外傷体験がなくても発症することがあります。
ただし、その出来事は「死」「暴力」「性被害」などの心的外傷体験である必要があります。
そのため、選択肢③「6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発症することがある」は、「心的外傷体験がなくても」が不適切といえます。
ちなみに、「直接的な心的外傷体験がなくても」との記載であれば、正しい記述となります。
④心的外傷的出来事の体験後、2週間以上症状が持続した場合は心的外傷後ストレス障害PTSDに診断を切り替える
この記事の最初の部分でも確認しましたが、急性ストレス障害の持続期間(診断基準C)は、
曝露後、3日から1ヵ月
となっています。
心的外傷後ストレス障害の持続期間は、1ヵ月以上の症状の持続(診断基準E)です。
そのため、診断が切り替わるのは、心的外傷的出来事の体験後、1ヵ月以上症状が持続した場合となります。
よって、選択肢④「心的外傷的出来事の体験後、2週間以上症状が持続した場合は心的外傷後ストレス障害PTSDに診断を切り替える」は、正しくは「1ヵ月以上」となり、不適切な記述といえます。
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