公認理師資格試験 過去問解説 問103 大脳皮質運動関連領域
- 2022.08.25
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 第3回公認心理師試験, 脳・神経の働き

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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問103 大脳皮質運動関連領域の構造と機能について、正しいものを1つ選べ。
① 運動前野は、運動に対する欲求に関わる。
② 補足運動野は、運動の準備や計画に関わる。
③ 一次運動野は、体幹や四肢の平衡の維持に関わる。
④ 一次運動野は、Brodmanの6野に位置している。
⑤ 一次運動野が障害されると、同側の対応する筋に麻痺が生じる。
出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
となります。
大脳皮質運動関連領域
今回の問題では、大脳皮質の運動に関連する領域の機能についてとなっています。
まずは、「運動」に関連する大脳皮質について確認しましょう。
- 一次運動野
- 運動前野
- 補足運動野
他にも「運動」に関連する領域はいくつかあるとされていますが、大脳皮質での運動関連領域としてはこの3つが代表的となります。
おおまかに理解すると、複雑な運動をする際には、運動を準備する「高次運動野」と運動の実行を指令する「一次運動野」が働くこととなります。
高次運動野 = 運動前野・補足運動野 が含まれます。
運動前野は主に視覚などの外界からの情報を検出して適切な運動を準備する機能があり、補足運動野は自発的に運動を計画することに関連があるとされています。
一次運動野は「随意運動(自分の意志で行う運動)」をつかさどる領域で、高次運動野によって計画された運動を実行するために、ニューロンに指令を送るという働きがあります。
また、その他にも、運動を調整するために、大脳基底核や小脳といった領域も関わりがあることは押さえておきましょう。
選択肢の解説

①運動前野は、運動に対する欲求に関わる
運動前野 premotor area は先ほど説明したように、感覚情報に基づく運動や運動の計画・準備、他者の運動内容を理解することに関連しています。
特に視覚情報と結びついた運動を計画・準備する際に、強く働くとされています。
他者の運動内容の理解も、視覚に関連していますよね。
ちなみに、この部分に異常があると、手足の麻痺は起こりませんが、熟練した運動ができなくなります。つまり、これまで学習した運動が困難となるため、文字を書くにも通常の動作をするにも活動がスムーズにはいかなくなります。
問題文にある「運動の欲求」には該当しないため、正解の選択肢とはいえません。
ちなみに、「運動の欲求」の正確な定義は分かりかねますが、基本的に欲求と近いと考えられる意欲や発動性と読み替えるのであれば前頭連合野が担っています。
②補足運動野は、運動の準備や計画に関わる
補足運動野 supplementary motor area は、自発的な運動の開始や抑制、複数の運動を特定の順序で行うといった計画、両手の協調運動などに関連しています。
そのため、補足運動野に異常があると、自発的な運動(自分から進んで手足を動かす)や自発的な発語が障害されます。
また、両手を駆使した動き(紐を結ぶなど)もうまくできなくなります。
よって、問題文にある「運動の準備や計画に関わる」は補足運動野の機能を表した正しい記述と言えますね。
③一次運動野は、体幹や四肢の平衡の維持に関わる
体幹や四肢の平衡の維持に関わる脳の領域は、小脳 cerebellum となっています。
小脳は運動に関しては、姿勢や協調運動の制御などの運動の調節に関わっています。
ちなみに、小脳に異常があると、姿勢の保持ができずによろめく体幹失調や酩酊様歩行、途切れ途切れの話し方となる小脳性構音障害、物を取ろうとする際などに目標物に手足を正しく持っていけない測定障害、複数の動きがうまくできなくなることなどが起こります。
④一次運動野は、Brodmanの6野に位置している
ブロードマン Brodmanの脳地図では、一次運動野は4野、運動前野・補足運動野は6野に位置しています。
よって、選択肢は不適切といえますね。
⑤一次運動野が障害されると、同側の対応する筋に麻痺が生じる
左右の大脳半球は基本的に反対側を支配しており、「運動野」に関しても同様のことがいえます。
そのため、障害された側の「同側」ではなく、「対側」に麻痺が生じることになります。
ちなみに、病変や障害の位置でどこの部位に麻痺が生じるかについては、有名なペンフィールドのホムンクルスの図が示しています。
まとめ
第3回公認心理師資格試験 問103は「大脳皮質の運動関連領域」に関してでした。
脳領域の話は複雑ではありますが、重要事項を押さえておきましょう。

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