公認理師資格試験 過去問解説 問12 加齢に伴う知覚の老化
- 2022.08.26
- 公認心理師(第4回) 資格試験
- 第4回公認心理師試験, 脳・神経の働き
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【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験
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【問12】知覚の老化
問12 知覚の老化の説明として、正しいものを1つ選べ。
① 温度感覚の閾値が下がる。② 嗅覚の識別機能が低下する。
③ 高音域に先行して低音域の聴取が困難になる。
④ 近方視力が低下する一方、遠方視力は保たれる。
⑤ 明所から暗所への移動後における視覚の順応時間が短くなる。
正答は ②
② 嗅覚の識別機能が低下する
高齢になると、さまざまな「感覚」の低下が生じてきます。
今回の選択肢は、①温度感覚(触覚)、②嗅覚、③聴覚、④視覚、⑤視覚と各感覚器官ごとに分かれているので、加齢に伴う老化に関して、感覚器官ごとに押さえておくのが良いでしょう。
選択肢の解説
①温度感覚の閾値が下がる
加齢に伴い、皮膚表面にある温度受容器の数が著しく減少するといわれています。
この温度受容器の数が減少することによって、温度を感じる感度が鈍くなります。
閾値は「感覚を感じる最小値」という意味合いがあるため、鈍くなる=閾値が上がるということになります。
よって、選択肢は不適切となりますね。
②嗅覚の識別機能が低下する
男性では60歳代くらい、女性では70歳代くらいから、加齢に伴い嗅覚の低下が認められるようになることがわかっています。
この嗅覚の低下は、「臭いを感じにくくなる」と同時に「周囲のさまざまな臭いを識別できなくなる」といった識別機能の低下も含まれています。
嗅覚は他の感覚と異なり、加齢に伴う低下では日常生活に支障をきたさないことも多いとされています。
よって、「嗅覚の識別機能が低下する」は正しい記載といえます。
③高音域に先行して低音域の聴取が困難になる
一般的には40歳を過ぎたあたりから、高音域がら聞こえにくさが生じるといわれています。
その後、加齢に伴い、高音域はさらに聞き取りづらくなり、併せて低音域も聞こえなくなってくるのが一般的です。
よって、選択肢である「高音域に先行して低音域の聴取が困難になる」は、正しくは「低音域に先行して高音域の聴取が困難になる」となり、不適切といえます。
④近方視力が低下する一方、遠方視力は保たれる
視覚の変化に関してですが、一般的には、概ね40歳〜50歳くらいにかけて、遠方視力の低下が生じてきます。
加齢に伴い水晶体の調節機能が衰えることによって生じる近方視力の低下を老眼といいますが、遠いところを見るにはこの調節機能をかなり用いる必要があるため、近方視力の低下よりも先に遠法視力の低下が起こるというわけです。
よって、こちらの選択肢は不適切な記述となりますね。
⑤明所から暗所への移動後における視覚の順応時間が短くなる
選択肢⑤は、順応についての問題です。
明所から暗所への移動後の順応について問うているので、言い換えれば「暗順応」の時間が長くなるという意味になります。
さて、加齢に伴う順応時間の変化についてですが、明順応・暗順応共に長い時間が必要となるように変化することがわかっています。
そのため、こちらの選択肢は部分的には正しいですが、正確には「明所から暗所への移動後」と同時に「暗所から明所への移動後」のいずれも含まれていないといけませんね。
よって選択肢は最も適切とはいえないことになります。
まとめ
第4回公認心理師資格試験の問12は、知覚の老化に関する問題でした!
- 視力:遠法視力→近方視力、明順応・暗順応ともに時間が長くなる
- 嗅覚:臭いを感じる力、臭いを識別する力が共に低下する
- 聴覚:高音域→低音域
- 皮膚感覚:鈍くなる=閾値が上がる
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