公認心理師資格試験 過去問解説 第6回 午前 問38|精神病床と平均在院日数

公認心理師過去問 第6回38 公認心理師試験

第6回公認心理師試験・午前問38は、日本の医療制度における精神病床の特徴を問う問題です。

正答は② 一般病床に比べて、平均在院日数が長いです。

精神科医療の問題では、疾患知識だけでなく、病床の種類、医療法上の人員配置、入院医療の構造、地域移行といった制度面の理解も問われます。

この問題は、「精神科の患者は長く入院する」というイメージだけで答えるのではなく、一般病床との制度的・統計的な違いを整理しておくことが重要です。

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問題

第6回公認心理師試験・午前 問38

精神病床の特徴について、最も適切なものを1つ選ぶ問題です。

  1. 一般病院には精神病床を設置できない。
  2. 一般病床と比べると、精神病床は平均在院日数が長い。
  3. 一般病床と比べると、人口当たりの精神病床数の方が多い。
  4. 一般病床と比べると、精神病床は病床当たりの医師数が多い。
  5. 精神病床は私的病院より公的病院に多い。

※公式問題の趣旨を保って表記しています。原文は第6回公認心理師試験 午前問題(PDF)で確認できます。

正答

② 一般病床に比べて、平均在院日数が長い

厚生労働省の病院報告では、精神病床と一般病床は区別して平均在院日数が集計されています。

年度によって具体的な日数は変化していますが、精神病床の平均在院日数は一般病床より長いという特徴が一貫して確認されます。

近年は精神科医療でも長期入院から地域生活への移行が重要な政策課題となり、平均在院日数は過去と比べて短縮してきています。しかし、試験で問われている一般病床との比較では、なお精神病床の方が長いと理解するのが適切です。

精神病床とは

精神病床は、精神疾患を有する人を入院させるための病床です。

病床はすべて同じ制度ではありません。

医療制度上は、一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床などに区分され、それぞれ役割や人員配置の基準が異なります。

そのため、国家試験では、「精神科がある病院」と「精神病床」、「精神科病院」と「一般病院に設置された精神病床」を混同しないことが重要です。

精神病床は一般病院にも設置される

選択肢①の「一般病院には設置されない」は誤りです。

精神病床は精神科病院だけに存在するわけではありません。

一般病院の中に精神病床が設けられることもあります。

たとえば、総合病院や大学病院などで、身体疾患の治療と精神科医療を連携して提供する必要がある場合があります。

したがって、

精神病床=精神科単科病院にしかない

と覚えるのは誤りです。

病院や施設の法的位置づけを整理する問題としては、第4回問31|医療法で規定される医療提供施設も関連します。

なぜ精神病床の平均在院日数は長いのか

平均在院日数が長い背景は、一つの理由だけでは説明できません。

精神科入院では、症状の急性期治療だけでなく、生活機能、家族支援、住居、福祉サービス、就労、地域支援体制などが退院後の生活に関係します。

症状が改善しても、退院後の住居や支援体制が整わない場合には、地域生活への移行に時間を要することがあります。

また、日本では歴史的に精神科病床が多く、長期入院が課題とされてきました。

そのため、国の精神保健医療福祉政策では、入院医療だけに依存せず、地域で生活を支える体制への転換が長く重視されています。

ここで注意したいのは、「精神疾患だから長期入院が必要」と単純化しないことです。

疾患の状態だけでなく、医療・福祉・住居・家族・地域資源など複数の条件が関係します。

平均在院日数とは

平均在院日数は、入院患者が平均してどの程度の期間入院しているかを示す指標です。

病院報告では、病床種別ごとに平均在院日数が集計されます。

試験では具体的な年度の数値を暗記するよりも、

精神病床は一般病床より平均在院日数が長い

という相対的な特徴を押さえることが重要です。

年度や統計の定義によって数値は変わるため、「精神病床は必ず○○日」と固定値で覚える必要はありません。

一般病床との違い

一般病床は、精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床として整理されます。

急性期の身体疾患に対する入院医療では、診断、治療、手術、検査、急性期管理などを経て退院するケースが多く、精神病床と比べて平均在院日数は短い傾向があります。

一方、精神病床では、急性期症状だけでなく、退院後の生活基盤や地域支援との接続が課題になることがあります。

制度問題では、疾患知識と医療提供体制の知識を分けて考えると整理しやすくなります。

人口当たり病床数をどう考えるか

選択肢③は、「一般病床に比べて、人口当たりの精神病床数が多い」という趣旨です。

これは誤りです。

日本は国際的に見て精神病床が多いことがしばしば指摘されますが、だからといって、国内の一般病床より精神病床の人口当たり病床数が多いという意味ではありません。

ここは非常に引っかかりやすいポイントです。

「日本は精神病床が多い」 と 「一般病床より精神病床が多い」

は別の命題です。

試験では、比較対象を読み落とさないようにします。

精神病床の医師配置

選択肢④は、「一般病床より病床当たりの医師数が多い」という趣旨です。

これも誤りです。

厚生労働省が示す医療法上の人員配置標準では、一般病床は医師16人の入院患者に対して1人を標準とする一方、一般的な精神病床では入院患者48人に対して医師1人を標準とする区分があります。

大学病院など一部の精神病床では一般病床と同様の基準が適用される場合がありますが、試験の一般的な比較として、「精神病床の方が病床当たり医師数が多い」とは言えません。

したがって④は不適切です。

人員配置は「すべての精神病床で同じ」ではない

ここも細かい注意点です。

精神病床の人員配置基準は、病院の種類によって扱いが異なります。

大学病院等の一定の精神病床では医師16対1などの基準が示され、それ以外では48対1という標準があります。

試験では、細部の例外まで暗記する前に、

一般病床16対1に対し、一般的な精神病床では48対1の標準がある

という方向性を押さえると選択肢④を判断できます。

公的病院と私的病院

選択肢⑤は、「精神病床数は私的病院より公的病院に多い」という趣旨です。

これも適切ではありません。

日本の精神科入院医療は民間の精神科病院が大きな役割を担っており、精神病床は私的な病院にも多数存在します。

したがって、「公的病院の方に精神病床が多い」と一般化することはできません。

国家試験では、公的医療機関という語が出たからといって、「公的=精神医療の中心」と短絡しないことが大切です。

各選択肢の解説

① 一般病院には設置されない

誤りです。

一般病院にも精神病床は設置されます。

精神科病院と精神病床を同一視しないことがポイントです。

② 一般病床に比べて、平均在院日数が長い

正答です。

精神病床は、一般病床と比較して平均在院日数が長いことが、病院報告の統計から確認できます。

③ 一般病床に比べて、人口当たりの病床数が多い

誤りです。

「日本は精神病床が多い」という国際比較上の特徴と、「一般病床より多い」という国内の病床種別比較を混同してはいけません。

④ 一般病床に比べて、病床当たりの医師数が多い

誤りです。

一般的な精神病床では、一般病床より医師配置標準が緩やかな区分があります。

⑤ 病床数は、私的な病院よりも公的な病院に多い

誤りです。

日本では民間の精神科病院が精神科入院医療の大きな部分を担っています。

試験での見分け方

精神病床の制度問題は、次の4つに分けて覚えると整理しやすくなります。

1.どこに設置されるか

精神病床は精神科病院だけでなく一般病院にも設置されます。

2.在院日数

一般病床より長い。

3.人員配置

一般病床より医師配置が手厚いとは限らず、一般的な精神病床では48対1の標準がある。

4.地域移行

日本の精神保健医療福祉政策では、長期入院から地域生活への移行が重要な課題です。

この4点を押さえると、類似問題に対応しやすくなります。

公認心理師に制度理解が必要な理由

公認心理師は、医療機関で心理検査や心理支援だけを行う職種ではありません。

入院患者への支援では、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士などと連携しながら、退院後の生活を見据えた支援に関わることがあります。

そのため、

  • 入院医療と外来医療
  • 精神病床の特徴
  • 診療報酬
  • 地域移行
  • 多職種連携

といった制度理解も重要です。

医療制度と心理職の関係を広げて確認したい場合は、医療機関で働く公認心理師に必要な診療報酬制度の知識も参考になります。

制度問題は「定義・統計・配置基準」を分ける

精神病床の問題では、病床の定義、実際の統計、人員配置基準を混ぜないことが重要です。「どこに設置できるか」は制度上の定義、「在院日数が長いか」は統計、「医師数が多いか」は配置標準の問題です。選択肢が何を比較しているのかを分類すると、制度問題でも暗記量を減らせます。

まとめ

第6回公認心理師試験・午前問38の正答は、② 一般病床に比べて、平均在院日数が長いです。

試験対策では、

  • 精神病床は一般病院にも設置される
  • 平均在院日数は一般病床より長い
  • 「日本は精神病床が多い」と「一般病床より多い」は別
  • 一般的な精神病床では医師配置標準が一般病床より手厚いわけではない
  • 精神病床は民間病院にも多い

という点を整理しておきましょう。

精神科医療政策との関係

精神病床の平均在院日数が長いという知識は、単なる統計暗記ではありません。

日本の精神保健医療福祉政策では、入院中心の医療から、地域生活を支える体制へ移行することが長年の課題となっています。

退院を進めるためには、医療だけでなく、

  • 住まい
  • 相談支援
  • 訪問支援
  • デイケア
  • 就労支援
  • 家族支援
  • 障害福祉サービス
  • 地域の医療機関との連携

などが必要になります。

そのため、平均在院日数を短くすること自体だけが目標なのではなく、退院後に再び生活が破綻しないよう、地域支援体制を整えることが重要です。

「長期入院=本人の病状が重い」とは限らない

精神科の長期入院を考えるとき、本人の症状の重さだけで説明するのは不十分です。

入院が長期化する背景には、住居がない、家族との関係調整が必要、地域サービスが不足している、退院後の支援者が決まっていないなど、社会的・制度的要因が関わる場合があります。

公認心理師が事例を考える際には、症状評価だけでなく、環境、制度、支援資源を含めて考える視点が必要です。

これは、生物心理社会モデルでケースを理解することともつながります。

統計問題での読み方

統計や制度を扱う選択肢では、次のような言葉に注意します。

  • 「必ず」
  • 「すべて」
  • 「一般病院にはない」
  • 「公的病院の方が多い」
  • 「一般病床より多い」

こうした断定表現は、例外や比較対象を確認する必要があります。

本問では、①の「一般病院には設置されない」が典型的です。精神病床は一般病院にも設置されるため、「ない」という断定だけで誤りを見抜けます。

一方、②の平均在院日数は、病院報告で確認できる統計的な特徴であり、最も安定して正しい選択肢です。

過去の数字を丸暗記しすぎない

精神病床の平均在院日数は、政策や医療提供体制の変化によって年々変動します。

古い資料では非常に長い日数が示されており、近年は短縮傾向があります。

そのため、資格試験対策では古い一つの数値を固定的に覚えるより、

「一般病床より長い」 「長期入院から地域移行が政策課題」

という構造を理解する方が有効です。

最新の統計を確認する場合には、厚生労働省の病院報告やe-Statを参照します。

参考文献・出典

  • 一般財団法人 公認心理師試験研修センター.第6回公認心理師試験 午前問題・正答.
  • 厚生労働省.病院報告.
  • e-Stat 政府統計の総合窓口.病院報告「平均在院日数,病床の種類別」.
  • 厚生労働省.病院に関する主な人員の標準.
  • 厚生労働省.地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会資料.

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