公認心理師資格試験 過去問解説 問20 職場のメンタルヘルス対策

公認心理師試験
Ig Knowledge 〜イグナレッジ心理ブログ〜

臨床心理士・公認心理師の有資格者が、心理界隈の知識についてまとめるブログです!

こんな人におすすめ

  • 心理学に興味がある人
  • カウンセラーになりたい人
  • 臨床心理士・公認心理師を目指す人
  • 若手臨床家のみなさま

 



noteも応援よろしくお願いします📔

note|Yamashun@心理屋さん



全記事一覧

第5回公認心理師試験・午前問20は、職場のメンタルヘルス対策をCaplanの一次予防・二次予防・三次予防で分類できるかを問う問題です。

正答は②「高ストレス者への医師による面接指導」です。

この問題では、「ストレスチェック=二次予防」と単純に覚えると混乱しやすくなります。厚生労働省はストレスチェック制度全体を主として一次予防の仕組みとして位置づけています。一方、本問が問う高ストレス者を対象にした医師の面接指導は、対象者を早期に把握して適切な対応につなげるという二次予防の機能として整理できます。

問20の正答は②「高ストレス者への医師による面接指導」

問題は、職場におけるメンタルヘルス対策として、G. Caplanの予防モデルに基づく二次予防に該当するものを1つ選ぶという内容です。

  • ① 職場復帰支援プランの作成
  • ② 高ストレス者への医師による面接指導
  • ③ メンタルヘルスケアに関する研修の実施
  • ④ 過重労働対策としての労働時間の上限設定
  • ⑤ 疾病を抱える労働者への治療と仕事の両立支援

正答は② 高ストレス者への医師による面接指導です。

一次予防・二次予防・三次予防を整理する

段階 職場のメンタルヘルス対策での基本的な考え方 代表例
一次予防 メンタルヘルス不調の未然防止 教育研修、セルフケア、職場環境改善、過重労働による健康障害の防止など
二次予防 メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応 相談対応、高ストレス者への個別的な面接指導など
三次予防 発症・休業後の社会復帰や再発・再燃の防止 職場復帰支援、復職後のフォローなど

厚生労働省の職場メンタルヘルス対策でも、一次予防を「未然防止」、二次予防を「早期発見と適切な対応」、三次予防を「職場復帰支援」などとして整理しています。

② 高ストレス者への医師による面接指導が正しい理由

ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定され、面接指導が必要と判断された労働者については、一定の要件の下で医師による面接指導が行われます。

面接指導では、ストレスの状況だけでなく、心身の状態や勤務状況などを確認し、必要に応じて本人への助言や事業者による就業上の措置につなげます。

本問では、すでに「高ストレス者」として把握された人を対象に、早い段階で個別対応につなげる点が、二次予防に該当します。

ただし、高ストレス者であること自体が精神疾患の診断を意味するわけではありません。また、面接指導そのものを精神疾患の診断や治療と同一視するのも適切ではありません。

ストレスチェック制度全体は主として一次予防

ここは試験対策で特に混同しやすい部分です。

厚生労働省は、ストレスチェック制度を、労働者自身のストレスへの気づきや対処を促し、職場環境改善につなげることでメンタルヘルス不調を未然に防止する一次予防を強化する仕組みと位置づけています。

したがって、

  • ストレスチェック制度全体 → 主として一次予防
  • その中で把握された高ストレス者への個別の医師面接 → 早期発見・適切な対応という二次予防の機能

と分けて理解すると、本問の正答と制度全体の位置づけを矛盾なく整理できます。

① 職場復帰支援プランの作成が誤りの理由

職場復帰支援は、すでにメンタルヘルス不調などによって休業した労働者が円滑に職場へ戻り、再発・再燃を防ぎながら就労を継続できるよう支援する取り組みです。

これは三次予防に該当します。

したがって①は二次予防ではありません。

③ メンタルヘルスケアに関する研修の実施が誤りの理由

メンタルヘルスケアに関する教育研修や情報提供は、労働者がストレスへの理解や対処法を身につけたり、管理監督者が早めに対応できる職場づくりを進めたりするための取り組みです。

疾病や不調が生じる前から広く働きかけるため、基本的には一次予防に位置づけられます。

④ 過重労働対策としての労働時間の上限設定が誤りの理由

労働時間の上限設定などによって過重労働そのものを抑えることは、メンタルヘルス不調や健康障害の原因となり得るリスクを発生前から減らす取り組みです。

したがって、これは一次予防に位置づけるのが適切です。

⑤ 疾病を抱える労働者への治療と仕事の両立支援が誤りの理由

この選択肢は、すでに疾病を抱えている労働者を対象としています。

治療を続けながら就労を維持・再開できるよう調整し、機能低下や再発を防ぐ支援は、本問の一次・二次・三次予防の分類では発症後の支援である三次予防側として整理できます。

なお、実際の産業保健では支援内容が複数の予防段階にまたがることもあります。試験では、「発症前か」「早期発見・早期対応か」「発症後の復帰・再発予防か」という主目的で分類すると判断しやすくなります。

試験対策:目的から分類する

一次・二次・三次予防は、具体的な活動名だけを丸暗記するより、何を目的に、どの段階の人へ働きかけているかを見る方が応用しやすくなります。

  • 一次予防:まだ不調が生じていない段階で、発症リスクを下げる
  • 二次予防:不調や高リスク状態を早期に見つけ、適切な対応につなげる
  • 三次予防:発症・休業後の機能回復、職場復帰、再発・再燃防止を支援する

この観点から見ると、本問では高ストレス者への医師による面接指導が最も二次予防に一致します。

まとめ

  • 第5回公認心理師試験・午前問20の正答は②「高ストレス者への医師による面接指導」
  • 一次予防はメンタルヘルス不調の未然防止
  • 二次予防は早期発見と適切な対応
  • 三次予防は職場復帰支援や再発・再燃防止
  • ストレスチェック制度全体は主として一次予防を強化する仕組み
  • その中で高ストレス者を個別に医師面接へつなぐことは、二次予防の機能として整理できる
  • 高ストレス者であること自体は精神疾患の診断を意味しない

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました