公認心理師資格試験 過去問解説 問19 社会的再適応評価尺度

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第5回公認心理師試験・午前問19は、HolmesとRaheの社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale:SRRS)について問う問題です。

正答は③「配偶者の死」です。

この問題ではLCU〈Life Change Unit〉の順位を知っていることに加えて、LCUが何を表しているのかを理解しておくと整理しやすくなります。

問19の正答は③「配偶者の死」

問題は、Holmesらの社会的再適応評価尺度において、LCU得点が最も高く設定されているライフイベントを1つ選ぶという内容です。

  • ① 親友の死
  • ② 近親者の死
  • ③ 配偶者の死
  • ④ 本人の怪我や病気
  • ⑤ 経済状態の大きな変化

正答は③ 配偶者の死です。

社会的再適応評価尺度(SRRS)とは

SRRSは、T. H. HolmesとR. H. Raheが1967年に報告した、生活上の出来事によって必要となる社会的再適応の大きさを数量化する尺度です。

原版では43のライフイベントにそれぞれLife Change Unit(LCU)という重みが割り当てられています。

ここで重要なのは、LCUを単純な「つらさの点数」や「嫌な出来事ランキング」と考えないことです。LCUは、出来事の望ましさ・望ましくなさだけではなく、その出来事に適応するために生活上どの程度の変化が必要になるかを表す指標として作られました。

そのため、結婚のような一般に肯定的に捉えられる出来事もSRRSに含まれます。

5つの選択肢のLCUを比較する

選択肢 原版SRRSのLCU 順位
① 親友の死 37 5つの中で最も低い
② 近親者の死 63 2番目に高い
③ 配偶者の死 100 最も高い
④ 本人の怪我や病気 53 3番目に高い
⑤ 経済状態の大きな変化 38 4番目に高い

したがって、この5つの中でLCUが最も高いのは配偶者の死の100です。

① 親友の死が誤りの理由

親友の死に対応する原版SRRSのLCUは37です。

重要なライフイベントですが、本問の5つの選択肢では最も低い値です。

② 近親者の死が誤りの理由

近親者の死に対応するLCUは63です。

高い値ではありますが、配偶者の死の100には及びません。

「身近な人の死」という意味の近さから③と混同しないよう、試験対策では配偶者の死=100を基準として覚えておくと整理しやすくなります。

③ 配偶者の死が正しい理由

配偶者の死は原版SRRSで100 LCUと設定され、43項目の中で最上位に位置づけられています。

したがって、本問の正答は③です。

④ 本人の怪我や病気が誤りの理由

本人の怪我や病気に対応するLCUは53です。

健康状態の大きな変化を伴う出来事ですが、近親者の死の63や配偶者の死の100より低く設定されています。

⑤ 経済状態の大きな変化が誤りの理由

経済状態の大きな変化に対応するLCUは38です。

親友の死の37に近い値ですが、本問で最も高いものではありません。

試験対策:まず上位の代表値を押さえる

SRRSの43項目すべてを一度に暗記するより、まず上位の代表的な出来事を押さえておくと効率的です。

  • 配偶者の死:100
  • 離婚:73
  • 別居:65
  • 近親者の死:63
  • 本人の怪我や病気:53
  • 結婚:50

特に配偶者の死=100は、SRRSを問う試験問題で基準になりやすい値です。

LCUは「出来事のつらさ」を直接測る点数ではない

SRRSを理解するときには、LCUが個人の主観的な苦痛をそのまま表す点数ではないことに注意が必要です。

原版SRRSでは、さまざまなライフイベントについて、通常の生活へ再適応するために必要と考えられる変化の大きさが評価されました。

したがって、同じ出来事を経験しても、実際の心理的影響は人によって異なります。個人の状況、意味づけ、社会的支援、文化的背景などを無視してLCUだけで心理状態を判断することはできません。

現在の研究では原版SRRSの時代性にも注意する

HolmesとRaheの原版SRRSは1967年に作成された尺度です。

2023年には、原版の項目や表現には時代に合わなくなった部分やバイアスの問題があるとして、SRRSを更新・現代化する研究も報告されています。

この研究では新しい標準値や表現が検討されていますが、ライフイベントの相対的な順位には原版と広く共通する傾向も確認されています。

したがって、公認心理師試験では設問がHolmesらのSRRSを指定しているため原版のLCUを用いて回答する一方、実際の研究や臨床で原版の数値をそのまま普遍的な基準として扱うこととは分けて考える必要があります。

SRRSは診断尺度ではない

SRRSは生活上の変化を数量化する研究上の尺度として発展したもので、特定の精神疾患を診断するための検査ではありません。

また、LCUの合計だけから「この人は必ず病気になる」と個人レベルで決定的に予測することもできません。

試験対策では、尺度の目的・LCUの意味・代表的な順位をセットで理解しておくことが重要です。

まとめ

  • 第5回公認心理師試験・午前問19の正答は③「配偶者の死」
  • 配偶者の死は原版SRRSで100 LCUと最も高い
  • 近親者の死は63、本人の怪我や病気は53、経済状態の大きな変化は38、親友の死は37
  • LCUは単純な「つらさ」ではなく、社会的再適応に必要な変化の大きさを表す
  • SRRSは診断尺度ではなく、個人の病気を決定的に予測するものでもない
  • 原版は1967年の尺度であり、現在は時代性や文化的妥当性を踏まえて扱う必要がある

参考資料

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