公認理師資格試験 過去問解説 問22 感覚運動学習について
- 2023.02.03
- 公認心理師(第4回)
- 学習及び言語, 第4回公認心理師試験
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【問22】感覚運動学習
問22 感覚運動学習について、最も適切なものを1つ選べ。
① 運動技能学習の効果は、短期的である。② 感覚運動段階は、児童期の特徴である。
③ 感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である。
④ 一定の休憩を入れて運動技能を学習する方法は、分習法である。
⑤ 感覚運動学習においては、課題にかかわらず全習法が効果的である。
正答は ③
③ 感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である
選択肢の解説
①運動技能学習の効果は、短期的である
運動技能学習は、「運動学習」「技能学習」など呼び方はそれぞれですが、一般的には練習や経験を通じて獲得された一連の運動(技能的な行動)とされます。
代表的なものとしては、自転車の運転やタイプライティングなどの学習が挙げられます。
先に挙げた例を思い浮かべてもらえれば納得できると思いますが、運動技能学習には、比較的永続的な運動技能の変化という特徴があります。
つまり、一度学習が獲得されると長期的に効果が継続するとされています。
以上のことから、選択肢①「運動技能学習の効果は、短期的である」は不適切な記述といえます。
②感覚運動段階は、児童期の特徴である
『感覚運動段階』はピアジェの『感覚運動期』であると考えられます。
感覚運動期について心理学辞典をみると、
ピアジェは誕生から1歳半ないし2歳前後までを感覚運動期とよび、認知発達の第一段階であるとした。
出典:心理学辞典|有斐閣
とあります。
1-2歳前後は児童期ではなく、乳幼児期に当てはまるので、児童期の特徴とはいえず不適切となります。
③感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である
感覚運動学習は、
知覚=動作学習、感覚=運動学習ともいうほか、たんに運動学習、技能学習ということもある。環境や具体的刺激状況の知覚に基づいて有機体が身体的動作を“協応“させることによって、個々の反応がまとまりのある知覚=運動系列に統合され、正確さや迅速性、安定性、適合性を獲得すること。
出典:心理学辞典|有斐閣
とあります。
知覚(感覚)に基づいて有機体(人間)が身体的動作(運動)を“協応“させるが感覚運動学習のキーワードになります。
連合(association)という言葉は、心理学では、環境との相互作用(≒経験)によって得られることを意味することが多いため、問題文の意味は、感覚と運動が相互に影響し合うことによって生じる学習と読み解くことができます。
以上のことから、選択肢③「感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である」は感覚運動学習を適切に説明していると考えられるため、こちらが本問題の正答となります。
④一定の休憩を入れて運動技能を学習する方法は、分習法である
分習法とは、
課題をいくつかの部分に分割し、それぞれの部分を小刻みに反復練習し、それから全体を通して練習すること
出典:心理学辞典|有斐閣
とあります。
「一定の休憩を入れる」は分習法の定義には含まれていません。
ちなみに、一定の休憩を入れる=それぞれの練習の間の時間間隔を長く設定して学習する方法は「分散学習」といいます。
よって、こちらの選択肢は不適切であるといえます。
⑤感覚運動学習においては、課題にかかわらず全習法が効果的である
全習法とは、
一連の複雑な技能を習得する際、課題の始めから終わりまで全体を通して反復練習すること
出典:心理学辞典|有斐閣
を意味します。
この全習法の相対する概念が選択肢④の分習法となります。
全習法と分習法に関しては、
両者の優劣は、一般には全習法の方が効率的とみなされているが、学習者の能力、課題の進行段階、課題の種類などによっても異なるという実験も多く報告されている。
出典:心理学辞典|有斐閣
とあるため、課題にかかわらず全習法が効果的とはいえません。
よって選択肢⑤は不適切な記述と考えられます。
まとめ
- 感覚運動学習:知覚(感覚)に基づいて有機体(人間)が身体的動作(運動)を“協応“させる学習を指す
- 全習法:一連の複雑な技能を習得する際、課題の始めから終わりまで全体を通して反復練習すること
- 分習法:課題をいくつかの部分に分割し、それぞれの部分を小刻みに反復練習し、それから全体を通して練習すること
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