公認理師資格試験 過去問解説 問16 脳損傷者に対する神経心理学的アセスメント
- 2022.12.31
- 公認心理師(第4回)
- 第4回公認心理師試験, 脳・神経の働き
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【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験
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【問16】脳損傷者に対する神経心理学的アセスメント
問16 脳損傷者に対する神経心理学的アセスメントで使用される検査の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
① HDS-Rの成績が低下している場合、遂行機能障害が疑われる。② RBMTは、手続き記憶の障害を検討するために用いられる。
③ SLTAには、非言語性の認知検査も含まれる。
④ WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる。
⑤ WCSTは、失認証を評価する検査である。
正答は ④
④ WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる
選択肢の解説
① HDS-Rの成績が低下している場合、遂行機能障害が疑われる
HDS-Rとは、正式名称を改訂長谷川式簡易知能評価スケールといい、長谷川医師によって開発された認知症のスクリーニングが目的の検査となっています。
質問数が少なく短時間で検査が終了(実施時間は10分〜15分)するため、クライエントにも負担が少ない検査といえます。
HDS-Rは「見当識」や「記憶」といった問題を中心に構成されていて、成績が低下している場合は「認知症の疑い」あるいは「認知症の重症度」が高い状態となります。
よって選択肢①「遂行機能障害が疑われる」は不適切といえますね。
②RBMTは、手続き記憶の障害を検討するために用いられる
RBMTは、リバーミード行動記憶検査(Rivermead Behavioral Memory Test)といい、日常的な場面での記憶障害の有無や程度を判定できる検査となっています。
「姓名の記憶」「持ち物の記憶」「約束の記憶」「絵の記憶」「物語の記憶」「顔写真の記憶」「道順の記憶」「用件の記憶」「見当識」で検査が構成されています。
問題文にある手続き記憶とは、技能・手続き・ノウハウなどを保持する記憶であり、検査の内容とは合致しません。
よって選択肢②は不適切といえます。
③SLTAには、非言語性の認知検査も含まれる
SLTAは、標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia)といい、失語症の検査となります。
「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算」などの項目が含まれています。
非言語性の認知検査というのは、言語でなく絵などを用いたり、動作で示して回答を求められるような「言葉があまり関係しない検査」を意味しています。
標準失語症検査では基本的にはすべての項目が言語に関連するものであるため、こちらの選択肢は不適切となります。
④WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる
WAIS-Ⅳの「数唱」は本来は短期記憶を評価する検査ですが、「気が散りやすい」「ぼんやりしていて周囲に注意が向けられない」などの注意障害を評価することが可能です。
数唱自体は色々な神経心理学的検査に含まれています。
よって、選択肢④「WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる」は正しい記述といえます。
⑤WCSTは、失認証を評価する検査である
WCSTはウィスコンシンカードソーティング(Wisconsin Card Sorting Test:WCST)といい、前頭葉機能を評価する検査となっています。
そのため失認症を評価する検査ではありません。
失認症を評価する検査としては、標準高次視知覚検査などが挙げられます。
よって選択肢⑤は不適切といえます。
まとめ
- 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
- リバーミード行動記憶検査(RBMT)
- 標準失語症検査(SLTA)
- ウィスコンシンカードソーティング(WCST)
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