公認心理師資格試験 過去問解説 問96 Clinical Dementia Rating

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第3回公認心理師試験・午後問96は、Clinical Dementia Rating(CDR)に関する問題です。

CDRは、認知症に伴う認知機能・生活機能の変化を複数の領域から評価し、重症度を段階づけるための臨床評価法です。

この問題では、評価領域、評価方法、0.5点の意味、家族などからの情報、見当識の重症度がポイントになります。

【問96】Clinical Dementia Rating(CDR)

問96 Clinical Dementia Rating(CDR)について、正しいものを1つ選べ。

① 介護必要度に関する評価はしない。

② 質問調査による他者評価尺度である。

③ 健常と認知症の境界は、0.5点である。

④ 判定には、家族からの情報は考慮されない。

⑤ 人の見当識障害は、中等度障害と判定される。

出典:一般財団法人 公認心理師試験研修センター「第3回公認心理師試験」

正答:③ 健常と認知症の境界は、0.5点である。

Washington UniversityのKnight Alzheimer Disease Research CenterによるCDRでは、Global CDRは0、0.5、1、2、3で示されます。現在の公式ページでは、0はNormal、0.5はVery Mild Dementia、1はMild Dementia、2はModerate Dementia、3はSevere Dementiaと整理されています。

一方、公式のサンプルScoring Tableでは0.5をQuestionableとする表記もあります。つまり、0.5の呼称は公式資料の表示によって異なります。この過去問では公式正答③を押さえつつ、0.5を独立した診断基準のように固定して理解しないことが重要です。

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CDRの基本

CDRでは、次の6領域について認知・生活機能の状態を評価します。

  • Memory(記憶)
  • Orientation(見当識)
  • Judgment & Problem Solving(判断・問題解決)
  • Community Affairs(社会生活)
  • Home & Hobbies(家庭生活・趣味)
  • Personal Care(身の回りの世話)

評価に必要な情報は、本人だけから得るのではありません。CDRの公式プロトコルでは、本人と、家族などの信頼できる情報提供者(informant / collateral source)への半構造化面接から情報を集め、臨床的判断を加えて各領域を評価します。

選択肢の解説

① 介護必要度に関する評価はしない

→ 不適切です。

CDRは、日本の介護保険制度における要介護認定や「介護必要度」を直接判定する尺度ではありません。一方、CDRの6領域にはPersonal Careが含まれ、認知機能低下に伴う身の回りの自立・援助の程度も評価対象になります。

公式Worksheetでは、着衣、洗面・整容、食事、排泄などについて、本人がどの程度自立しているか、促しや援助を必要とするかといった情報を確認します。

そのため、生活上の介助・自立度に関する情報をまったく評価しないという①は不適切です。

② 質問調査による他者評価尺度である

→ 不適切です。

CDRは、単に家族などが質問紙へ回答するだけの他者評価尺度ではありません。

公式のCDR Assessment Protocolでは、本人と信頼できる情報提供者の双方に半構造化面接を行い、必要な追加質問も行ったうえで、面接情報と臨床的判断から評価します。

したがって、「質問調査による他者評価尺度」とだけ説明する②は不適切です。

③ 健常と認知症の境界は、0.5点である

→ 適切。正答です。

Global CDRは、0=Normalから始まり、その次の段階が0.5です。現在のKnight ADRC公式ページでは0.5をVery Mild Dementiaとし、公式サンプル表ではQuestionableという表記も確認できます。

第3回公認心理師試験の公式正答は③です。試験対策では、Global CDRが0の次に0.5を置く段階評価であることを押さえます。

ただし、0.5の呼称は、現在のKnight ADRC公式ページではVery Mild Dementia、公式サンプルScoring TableではQuestionableと示されています。したがって、「CDR 0.5=単独で認知症を確定する診断閾値」ではありません。CDRは認知・生活機能に基づいて重症度を段階づける臨床評価です。

④ 判定には、家族からの情報は考慮されない

→ 不適切です。

CDRでは、家族などの信頼できる情報提供者から得られる情報が重要です。

Knight ADRCは、本人への面接に加えて、配偶者、子ども、その他の親族、友人などから得られる情報を評価へ組み込むことをCDRの特徴として説明しています。

そのため、「家族からの情報は考慮されない」という④は不適切です。

⑤ 人の見当識障害は、中等度障害と判定される

→ 不適切です。

CDRのOrientation(見当識)では、時間や場所、人についての見当識の程度を段階的に評価します。

公式Scoring Tableでは、Moderate=2のOrientationは、時間関係について重度の困難があり、通常は時間に、しばしば場所にも見当識障害がみられる水準です。これに対してSevere=3のアンカーは、「人についてのみ見当識が保たれている(oriented to person only)」状態です。

したがって、人についての見当識まで障害されている状態を「中等度」とする⑤は、CDR 2の公式アンカーと一致しません。ここでは「人の見当識障害=CDR 3」と単純に一対一対応させて覚えるのではなく、CDR 2と3の見当識アンカーの違いを押さえるのが安全です。

問96で押さえておきたいポイント

  • CDRは6領域:記憶、見当識、判断・問題解決、社会生活、家庭生活・趣味、Personal Care。
  • 評価方法:本人+信頼できる情報提供者への半構造化面接と臨床的判断。
  • 0.5:0と明らかな認知症段階の間に位置する重要な段階。
  • 家族情報:判定に用いられる重要な情報源。
  • 見当識:CDR 2は主に時間・場所の見当識障害、CDR 3では「人についてのみ見当識が保たれる」水準がアンカーになる。

まとめ

第3回公認心理師試験・午後問96の正答は、③「健常と認知症の境界は、0.5点である」です。

CDRは、単純な質問紙ではなく、本人と情報提供者への面接を基に、認知機能だけでなく日常生活・社会生活・Personal Careも含めて総合的に評価する点を押さえておきましょう。

関連する心理検査問題:第3回 問90「MMPI」

関連する評価問題:第3回 問89「知能検査実施の心構え」

参考資料

※ CDR®および関連資料は著作権で保護されています。Knight ADRCは、研究・臨床でCDRを使用する場合にはライセンスが必要であり、Scoring Tableの出版物への転載には出版社の許可が必要と案内しています。本記事では試験問題の理解に必要な範囲のみを要約しています。

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