公認心理師資格試験 過去問解説 問80 心理学研究法:質問紙法と面接法
- 2021.08.26
- 公認心理師(第3回) 資格試験
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【問80】心理学研究法
問80 心理学の研究法において、質問紙法と比較したときの面接法の特徴として、適切なものを1つ選べ。
① 臨機応変な対応が困難である。
② 回答者に与える心理的圧力が弱い。
③ 回答者の個別の反応を収集しにくい。
④ データの収集に手間と時間がかかる。
⑤ 高齢者や幼い子どもには負担が大きい。
④ データの収集に手間と時間がかかる
となります。
心理学の文脈で行われる研究法には、
- 観察法
- 面接法
- 実験法
- 質問紙調査法(質問紙法)
がありますが、そのなかから質問紙法と面接法に焦点が当てられた問題となりますね。
質問紙法と面接法
質問紙法と面接法のそれぞれのメリットとデメリットを簡単に整理しました。
質問紙法
質問紙法は、あらかじめ設定された項目で調査表を作成して、対象者に回答を求めるという自己報告型の研究方法となります。
メリット
・データ収集時に、一度に多くのデータが収集できる
・研究者側の主観の影響を排除することができる
・回答者のペースで実施が可能
・直接面するわけではないため心理的な圧力が比較的かかりにくい
デメリット
・回答者側の主観の影響に左右される(社会的好ましさの影響など)
・項目が決まっているため回答者個別の反応が得られにくい
・言語能力(識字能力)に依存するため、信頼性・妥当性が確保しにくい
面接法
面接法は、面接者が対象者と対面し、相互コミュニケーションを通して情報を得る研究方法となります。
事前に質問項目や質問の順番が決められている構造化面接と、質問項目は決まっているものの一連の会話の流れで情報を収集していく半構造化面接に大きく大別されます。
メリット
・回答者の言語情報のみでなく、非言語的な情報も得られる
・識字能力に左右されずに評価ができる
・回答者側の主観の影響を排除しやすい
デメリット
・実施に時間や費用がかかるため、一度に多くのデータを収集することが難しい
・研究者側の主観の影響を受けやすい
・直接対面するため、心理的な圧力がかかりやすい
選択肢の解説
本問題では、質問紙法と比較したときの面接法の特徴を回答する必要があります。
つまり、それぞれの選択肢に対して、
のいずれかを当てはめることができれば正当が可能です。
① 臨機応変な対応が困難である
こちらは質問紙法が該当する選択肢ですね。
質問紙法では、あらかじめ項目が定められているため、どの対象者に対しても画一的な対応となり、臨機応変な対応は難しいといえます。
一方で、面接法では、項目が定められていることも多いですが、質問紙法と比べると臨機応変な対応が可能といえます。
② 回答者に与える心理的圧力が弱い
こちらの選択肢も質問紙法に該当する記述ですね。
質問紙法では、研究者と対象者が直接対面して行うわけではないため匿名性が守られています。
そのため、面接法と比べて心理的な圧力が弱いといえます。
③ 回答者の個別の反応を収集しにくい
こちらの選択肢は、選択肢①と関係する部分が大きいですね。
勿論、質問紙法でも自由記述の回答を求める場合は個別の反応を収集することが可能ですが、面接法では言語的な情報に加えて、非言語的な情報も収集することが可能であり、対象者それぞれの個別な反応を広く得ることが可能です。
④ データの収集に手間と時間がかかる
質問紙法の最も大きなメリットとして、一気に多くのデータを収集することが可能なことが挙げられます。
一方で、面接法では研究者と対象者が一対一の環境で直接面接を行うことが一般的であるため、1つのデータを得るために時間や費用が多くかかってしまいます。
よって、選択肢④「データの収集に手間と時間がかかる」は、面接法についての正しい記述であるため、問題の選択肢として適切といえます。
⑤ 高齢者や幼い子どもには負担が大きい
質問紙法のデメリットとして、回答の正確さが対象者の識字能力に依存していることが挙げられます。
また、項目に1つずつ答える作業は、項目数が多くなればなるほど集中力を必要とします。
識字能力の観点や作業に必要な労力を鑑みると、高齢者や幼い子どもには負担が大きいでしょう。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問80は、心理学研究法:質問紙法と面接法に関する問題でした❗️
質問紙法と面接法のメリットとデメリットに関して、しっかりと復習しておきましょう。
質問紙法
メリット
・データ収集時に、一度に多くのデータが収集できる
・研究者側の主観の影響を排除することができる
・回答者のペースで実施が可能
・直接面するわけではないため心理的な圧力が比較的かかりにくい
デメリット
・回答者側の主観の影響に左右される(社会的好ましさの影響など)
・項目が決まっているため回答者個別の反応が得られにくい
・言語能力(識字能力)に依存するため、信頼性・妥当性が確保しにくい
面接法
メリット
・回答者の言語情報のみでなく、非言語的な情報も得られる
・識字能力に左右されずに評価ができる
・回答者側の主観の影響を排除しやすい
デメリット
・実施に時間や費用がかかるため、一度に多くのデータを収集することが難しい
・研究者側の主観の影響を受けやすい
・直接対面するため、心理的な圧力がかかりやすい
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