公認心理師資格試験 過去問解説 問68 事例問題:身体的疾患の疑い
- 2021.07.14
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 保健医療領域, 産業・組織, 第3回公認心理師試験

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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問68】事例問題:身体的疾患の疑い
問68 32 歳の女性 A、会社員。A は、感情の不安定さを主訴に社内の心理相談室に来室し、公認心理師 B が面接した。職場で良好な適応状況にあったが、2か月前から動悸をしばしば伴うようになった。その後、 異動してきた上司への苛立ちを強く自覚するようになり、ふとしたことで涙が出たり、これまで良好な関係であった同僚とも衝突することがあった。最近では、緊張して発汗することがあり、不安を自覚するよう になった。
B が優先的に行うべき A への対応として、最も適切なものを1つ選べ。① 休職を勧める。
② 瞑想を教える。
③ 認知行動療法を勧める。
④ 医療機関の受診を勧める。
⑤ カウンセリングを導入する。
④ 医療機関の受診を勧める
となります。
本問題の事例に関してまとめてみましょう✔️
32歳 女性 会社員
主訴:感情の不安定さ 場所:社内の心理相談室
2ヵ月ほど前から動悸が出現した。その後、異動してきた上司への苛立ちを強く自覚するようになり、ふとしたことで涙が出たり、同僚と衝突してしまうことも増えた。最近では、緊張・発汗があり不安を自覚するようになった。
この事例のポイントは、公認心理師が相談を受けたのが会社内の相談室であることと、感情の不安定さが生じたきっかけが不明瞭なこと、動悸という身体症状から端を発していることでしょう。
公認心理師の対応全般にいえることですが、身体的/器質的疾患による心身への影響の可能性を常に念頭に置いておく必要があります。
この事例の現時点での情報からは、きっかけが不明瞭にも関わらず「動悸」「苛立ち=些細なことでイライラする」「緊張・発汗」「不安」などの症状が先行しており、症状の結果として職場内での対人関係のトラブルに発展している可能性が読み取れます。
勿論これだけの情報では要領を得にくいですが、各種症状と30代女性であることも踏まえると甲状腺機能亢進症や自律神経失調症などの身体的疾患が背景に隠れている可能性が否定できません。
身体的/器質的疾患によっては、精神疾患と近しい症状を呈することがしばしばあります。
この場合、身体的/器質的な疾患に対する適切な治療が最優先となります❗️
身体的/器質的な疾患による精神的な症状であれば、疾患の治療が進むにつれて安定していく可能性も大いに考えられます。
疾患の治療がうまく進まない場合、ある程度進んだが精神的な影響が残っている場合に、精神科の薬物療法や公認心理師のカウンセリングなどの対応が必要となってきます。
そのため、選択肢④「医療機関の受診を勧める」が現段階では最も適切な選択肢となるでしょう。
公認心理師資格試験 過去問解説 問18 健康・医療に関する心理学「心身症」
選択肢の解説
① 休職を勧める
確かに医療機関に受診したうえで、病名がはっきりとついて、主治医から休職を勧められた場合に、後押しをする対応はあっても良いのかもしれません。
ただし、原因が明確でなく見通しがついていない状況で闇雲に休職を勧めることは、本人の不安を助長させてしまうでしょう。
よって、選択肢①「休職を勧める」は全面的に間違っているわけではありませんが、最も適切とはいえません。
② 瞑想を教える ③認知行動療法を勧める
身体疾患、とくにAが該当する可能性があるような甲状腺機能亢進症や自律神経失調症による心身の調整には「瞑想」や「認知行動療法」が効果がないわけではありません。
そのため、相談に来たAに対して、「瞑想」や「認知行動療法」を教えることは意味がないというわけではないでしょう。
一方で、「瞑想」や「認知行動療法」のみでは器質的/身体的疾患への治療効果は限定的であるため、やはり最優先は医療機関への受診を勧めることとなります。
よって、選択肢②と③は最も適切とはいえません。
⑤ カウンセリングを導入する
こちらの選択肢についても、間違っているというわけではなく、あくまで優先順位の話だと考えられます。
公認心理師のカウンセリングでは、自分のできることを越えている場合は適切な機関へ紹介する(リファー)が必要です。
公認心理師資格試験 過去問解説 問58 公認心理師を養成するための実習
この場合はやはり医療機関への受診が最優先となるでしょう。
よって、選択肢⑤「カウンセリングを導入する」も最も適切とはいえませんね。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問68は、事例問題:身体的疾患の疑いに関する問題でした❗️
この事例問題のようなケースは臨床場面でもいくつか見られており、公認心理師にも器質的/身体的疾患に関する知識が必要とされる由縁となります。
以下のような場合では、器質的疾患や身体疾患の可能性を念頭に置くといいでしょう。
- 症状が生じたきっかけが不明瞭
- 身体症状の要因が強く、その結果として精神的な症状が出ている
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