公認理師資格試験 過去問解説 問113 ワーキングメモリ・モデル

公認理師資格試験 過去問解説 問113 ワーキングメモリ・モデル

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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

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問113 A. D. Baddeley のワーキングメモリ・モデルのサブシステムとして、 誤っているものを1つ選べ。

① 感覚貯蔵

② 音韻ループ

③ 中央実行系

④ エピソード・バッファ

⑤ 視空間スケッチパッド

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ①感覚貯蔵

となります。

ワーキングメモリ

ワーキングメモリ(working memory)は短期記憶の概念を発展させたもので、情報の貯蔵ではなく、「会話」「読書」「計算」「推理」など情報処理の際に情報を保持しておく記憶のことを意味します。

つまり、目的に向けて情報を保持しながら認知的な操作を行うシステムといえます。

このワーキングメモリは情報量の制約があるシステムで個人差も大きいとされています。

別名、作動記憶とも呼ばれます。

今回の問題と関連するのは、Baddeley バッデリーHitch ヒッチが1974年に提唱したワーキングメモリのモデルについてです。

  • 音韻ループ (phonological loop)
  • 中央実行系 (central executive)
  • 視空間スケッチパッド (visuospatial sketch pad)

これは簡単に説明すると、聴覚情報の処理を担う「音韻ループ」、視覚情報の処理を担う「視空間スケッチパッド」、その2つをまとめる「中央実行系」という関係性を示したものになります。

中央実行系は、必要ない情報を抑制しつつ、この両者の使い分けの調整も担います。

ワーキングメモリに関しては長年このモデルでしたが、バッデリーは2000年に「エピソード・バッファ(wpisodic buffer)」をモデルに追加しました。

エピソードバッファは、長期記憶から情報を検索する役割があります。つまり、作業中に長期記憶とリンクして過去の関連することを思い出して記憶に留めつつ作業する役割があります。主に文章を書くことに関連しています。

したがって、選択肢②〜⑤の「音韻ループ」「中央実行系」「エピソード・バッファ」「視空間スケッチパッド」はいずれもBaddeleyのワーキングメモリ・モデルのサブシステムとされているので問題文と合致するものとなります。

感覚貯蔵は、記憶の構造に関する「記憶の二重貯蔵モデル」でいう感覚器官から入力された情報を覚えておく感覚貯蔵庫に関連した用語であると考えられます。

まとめ

ワーキングメモリは「目的に向けて情報を保持しながら認知的な操作を行うシステム」である。

Baddeley(1974)は、ワーキングメモリのサブシステムとして

  • 中央実行系:音韻ループ、視空間スケッチパッド、エピソード・バッファの3つの情報の統合や使用する際の調整を行う
  • 音韻ループ:聴覚情報
  • 視空間スケッチパッド:視空間情報
  • エピソード・バッファ:長期記憶から関連する事項を想起する*2000年に追加