第3回公認心理師試験・午後問100は、教育場面におけるパフォーマンス評価で、パフォーマンスの質を判断するための評価指標を問う問題です。
正答は①「ルーブリック」です。
ポイントは、パフォーマンス評価そのものと、そこで用いる評価基準・評価指標を区別することです。
問100の正答は①「ルーブリック」
選択肢は次の5つです。
- ① ルーブリック
- ② ポートフォリオ
- ③ テスト・リテラシー
- ④ ドキュメンテーション
- ⑤ カリキュラム・マネジメント
正答は① ルーブリックです。
ルーブリックとは
ルーブリックは、学習者のパフォーマンスの質を評価するために用いる評価基準・評価指標です。
文部科学省の資料では、ルーブリックについて、パフォーマンスの質の違いを数段階で捉える尺度と、それぞれのレベルのパフォーマンスの特徴を説明する記述語から構成されるものと説明されています。
例えば、プレゼンテーションを評価するときに、
| 評価観点 | 高い達成 | 標準的な達成 | 改善が必要 |
|---|---|---|---|
| 内容の論理性 | 根拠と結論が明確につながっている | おおむね筋道が通っている | 根拠と結論のつながりが不明確 |
| 説明の分かりやすさ | 要点が整理され、聞き手に伝わる | 主要な内容は伝わる | 要点が分かりにくい |
といった形で、「どのようなパフォーマンスなら、どのレベルに相当するか」を示します。
このように、評価者がパフォーマンスの質を判断するための基準を示すものがルーブリックです。
「パフォーマンス評価=ルーブリック」ではない
ここは試験対策上、丁寧に区別しておきたい点です。
パフォーマンス評価は、学習者が知識や技能を実際の課題でどのように活用するかを、発表、作品、実演、課題解決などのパフォーマンスを通して評価する考え方・方法です。
一方、ルーブリックは、そのパフォーマンスの質をどのような観点・水準で評価するかを示す評価基準の一つです。
したがって、
- パフォーマンス課題:何を行ってもらうか
- ルーブリック:その出来栄えを何を基準に、どの水準として評価するか
と整理すると分かりやすくなります。
② ポートフォリオが誤りの理由
ポートフォリオは、学習者の作品、レポート、記録、振り返りなどを継続的に蓄積し、学習の過程や成果を捉えるために活用するものです。
ポートフォリオ自体も学習評価に利用できます。そのため、「評価とは関係がない」と考えるのは適切ではありません。
しかし、本問が問うのはパフォーマンスの質を判断するための「評価指標」です。
学習成果の証拠を蓄積するポートフォリオと、パフォーマンスを段階的な基準で評価するルーブリックでは役割が異なるため、②は正答ではありません。
③ テスト・リテラシーが誤りの理由
テスト・リテラシーは、テストについて適切に理解し、作成・実施・解釈・活用するための知識や能力に関わる概念です。
これは、学習者のパフォーマンスの質を段階別に示す評価基準そのものではありません。
したがって、本問の「パフォーマンス評価のための評価指標」には該当しません。
④ ドキュメンテーションが誤りの理由
ドキュメンテーションは、学習や活動の様子、発言、作品、写真などを記録し、その過程を可視化して振り返りや共有に活用する方法です。
これも教育実践や評価に関連することがありますが、パフォーマンスの質を複数の水準で判定するための評価基準そのものではありません。
したがって④は正答ではありません。
⑤ カリキュラム・マネジメントが誤りの理由
カリキュラム・マネジメントは、学校の教育目標の実現に向けて、教育課程を組織的に編成・実施・評価し、改善していく考え方です。
学校全体の教育課程を継続的に改善する仕組みに関する概念であり、個々の学習者のパフォーマンスの質を評価するための指標ではありません。
したがって⑤は正答ではありません。
5つの選択肢を比較する
| 用語 | 主な役割 | 本問の「評価指標」か |
|---|---|---|
| ルーブリック | パフォーマンスの質を観点・水準・記述語で示す | 〇 |
| ポートフォリオ | 学習の過程や成果の証拠を蓄積する | × |
| テスト・リテラシー | テストを理解・作成・解釈・活用する知識や能力 | × |
| ドキュメンテーション | 学習・活動の過程を記録・可視化する | × |
| カリキュラム・マネジメント | 教育課程を組織的に編成・実施・評価・改善する | × |
試験対策:「何を集めるか」と「何を基準に評価するか」を分ける
この問題では、似た教育評価用語を役割で分けると判断しやすくなります。
- ポートフォリオ:学習成果や過程の証拠を集める
- ドキュメンテーション:学習や活動の過程を記録・可視化する
- ルーブリック:パフォーマンスの質を評価する基準を示す
つまり、「何を蓄積・記録するか」と「どの基準で出来栄えを評価するか」を区別することが重要です。
現在の文部科学省資料でもルーブリックは評価基準として説明されている
文部科学省の近年の学習評価に関する資料でも、作品やパフォーマンスの質の違いを捉えるための評価基準としてルーブリックを用いるという説明が確認できます。
したがって、第3回試験の本問を現在の教育評価の用語整理から確認しても、① ルーブリックという理解は変わりません。
まとめ
- 第3回公認心理師試験・午後問100の正答は①「ルーブリック」
- ルーブリックは、パフォーマンスの質を評価するための評価基準・評価指標
- 尺度となる複数の水準と、それぞれの水準を説明する記述語から構成される
- パフォーマンス評価そのものとルーブリックは同義ではない
- ポートフォリオは学習成果や過程の証拠を蓄積するもので、評価にも利用できるが、本問の「評価指標」そのものではない
- ドキュメンテーションやカリキュラム・マネジメントも教育評価に関係し得るが、パフォーマンスの出来栄えを判定する評価基準ではない



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