第6回公認心理師試験・午前問52は、個人情報の保護に関する法律〈個人情報保護法〉について、基本的な定義と取扱いルールを問う問題です。
正答は ① 個人の権利利益を保護することを目的としている と ③ 匿名加工情報とは、個人を識別できず元の個人情報を復元できないよう加工したもの の2つです。
この問題では、
- 個人情報
- 音声情報
- 匿名加工情報
- 個人データの保存・消去
- 第三者提供の例外
を区別できるかがポイントです。

問題
個人情報の保護に関する法律〈個人情報保護法〉について、正しいものを2つ選べ。
- 個人の権利利益を保護することを目的としている。
- 個人が特定される音声情報は、個人情報に含まれない。
- 匿名加工情報とは、個人情報を加工して当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。
- 個人情報取扱事業者は、個人データを利用する必要がなくなった後も、当該個人データを保管する義務がある。
- 人の生命の保護のために必要がある場合でも、本人の同意を得ることができなければ個人データを第三者に提供してはならない。
正答は ①と③ です。
正答①|個人情報保護法の目的
個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利利益を保護することを目的としています。
つまり、
「個人情報は一切使ってはいけない」
という法律ではありません。
行政、医療、福祉、教育、研究、事業活動などでは個人情報を利用する必要があります。
そのため、
適切に利用すること
と
本人の権利利益を守ること
を両立させるのが個人情報保護法の基本です。
正答③|匿名加工情報とは
匿名加工情報は、
特定の個人を識別できないよう個人情報を加工し、元の個人情報を復元できないようにした情報
です。
単に、
- 名前を削除した
- IDへ置き換えた
- 一部を黒塗りにした
だけで必ず匿名加工情報になるわけではありません。
法令・規則で定められた加工基準に従い、特定の個人を識別できず、元の個人情報へ復元できない状態にする必要があります。
仮名加工情報との違い
匿名加工情報と混同しやすいのが仮名加工情報です。
仮名加工情報は、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報です。
一方、匿名加工情報は、
- 個人を識別できない
- 元の個人情報を復元できない
という、より強い匿名化が求められます。
試験では、
仮名=照合しなければ分からない
匿名=識別も復元もできない
と整理すると分かりやすくなります。
② 特定される音声は個人情報に含まれない|誤り
個人情報は、氏名や住所だけではありません。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、
- 映像
- 音声
- 評価情報
- 属性情報
なども「個人に関する情報」に含まれ得ます。
通話内容や声から特定の個人を識別できる場合、その音声情報は個人情報に該当します。
さらに、音声から特徴情報を抽出し、本人認証に使えるデータへ変換した場合には、個人識別符号に該当する場合もあります。
したがって②は誤りです。
④ 不要になった個人データを保管する義務がある|誤り
個人情報保護法は、
「利用する必要がなくなったデータをずっと保存しなければならない」
とは定めていません。
むしろ個人情報取扱事業者は、個人データを利用する必要がなくなったときには、遅滞なく消去するよう努めることが求められています。
もちろん、
- 法令上の保存義務
- 診療録など別法令による保存期間
- 第三者提供記録の保存義務
などがある場合は別です。
したがって、「利用する必要がなくなった後も保管する義務がある」という④は誤りです。
⑤ 生命保護でも本人同意なしでは第三者提供できない|誤り
個人データの第三者提供は、原則として本人同意が必要です。
しかし例外があります。
本人の同意を得ることが困難で、
人の生命、身体または財産の保護のために必要な場合
には、本人同意なしで第三者提供できる場合があります。
たとえば、生命に関わる緊急事態で、本人の同意を得ることが現実的に困難な場合です。
したがって⑤は誤りです。
公認心理師の守秘義務との違い
個人情報保護法と、公認心理師法の守秘義務は同じものではありません。
個人情報保護法
個人情報・個人データを事業者等がどのように取得・利用・管理・提供するかを規律します。
公認心理師法の守秘義務
公認心理師が業務上知り得た人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないという職業上の義務です。
両者は重なる場面がありますが、法的な根拠や対象が異なります。
Ig Knowledgeでは第4回問51|個人情報保護や、第6回問1|秘密保持義務の例外でも整理しています。
心理支援で扱う情報は要配慮個人情報を含みやすい
心理支援では、
- 病歴
- 障害
- 健康診断情報
- 犯罪被害
- 信条
など、取扱いに特に配慮が必要な情報を扱うことがあります。
そのため、
- 誰がアクセスできるか
- どこへ保存するか
- メール送信してよいか
- クラウドサービスを利用してよいか
- 共有範囲は適切か
を確認する必要があります。
第三者提供の例外を丸暗記しすぎない
試験では、
「本人同意がなければ絶対に共有できない」
という選択肢が誤りになることがあります。
代表的な例外には、
- 法令に基づく場合
- 人の生命・身体・財産の保護
- 公衆衛生の向上
- 児童の健全育成
- 公的機関の法定事務への協力
などがあります。
ただし、
例外がある=自由に共有できる
ではありません。
必要性と共有範囲を検討し、必要最小限の情報にとどめることが重要です。
匿名加工情報なら何でも自由ではない
匿名加工情報は、本人同意なく第三者提供が可能になる場合があります。
しかし、匿名加工情報を扱う事業者には、
- 加工基準
- 加工方法等情報の安全管理
- 提供項目等の公表
- 匿名加工情報である旨の明示
- 本人を識別するための照合禁止
などのルールがあります。
「匿名化したから制約ゼロ」ではありません。
試験での見分け方
本問では、選択肢の絶対表現に注意します。
- ②「音声は含まれない」→識別可能なら含まれる
- ④「保管する義務がある」→むしろ不要なら消去努力
- ⑤「生命保護でも提供してはならない」→例外あり
したがって①と③が正しいと判断できます。
まとめ
第6回公認心理師試験・午前問52の正答は ①と③ です。
試験では、
個人情報保護法=個人の権利利益を守りながら適正利用する法律
匿名加工情報=識別も復元もできないよう加工
識別可能な音声=個人情報になり得る
不要データ=消去努力
生命・身体の保護=本人同意なしの第三者提供例外あり
と整理しておきましょう。
参考資料
- 一般財団法人 公認心理師試験研修センター|第6回公認心理師試験 午前問題・正答
- 個人情報保護委員会|個人情報保護法ガイドライン(通則編)
- 個人情報保護委員会|匿名加工情報制度について


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