【若手臨床家向け】実践的な内容を学びたいのであれば専門雑誌を読むのがオススメ!
- 2021.01.11
- 臨床心理士 / 公認心理師
- 若手心理職・大学院生
心理職は研修のみでなく、書籍や論文を自分で見つけて日々自己研鑽を積んでいく必要があります。
そのなかで、自分にとって知識のないようなテーマでは、どこから手をつけていくべきか迷うことはよくあるのではないでしょうか。
心理学の専門書って、費用が安いとはいえないし、もともとの知識のないテーマだとどんな本を購入すればいいか迷っちゃう…
今回の記事は、このような感想をお持ちの方におすすめです。
心理学関連の雑誌1冊で特定のテーマに関連する記事が複数読める!
心理学関連の雑誌とは、出版社や各学会が発刊している雑誌で、心理学系の論文をまとめた雑誌になります。
各巻ごとにテーマが設定されており、そのテーマに関連する記事が複数掲載されているのが特徴です。
そのテーマは広く一般的なものから、コアな内容までさまざまです。
代表的な心理学関連の雑誌には以下のものがあります。
- 精神療法(金剛出版)
- 臨床心理学(金剛出版)
- 家族療法研究(金剛出版)
- トラウマティックストレス(金剛出版)
- こころの科学(日本評論社)
- そだちの科学(日本評論社)
- 精神科治療学(星和書店)
- アディクションと家族(アイエイエフ)
- その他各学会が発行する学会誌
心理学関連の雑誌を読むメリットは何か?
心理学系雑誌を読むメリットは?・そのテーマの知識を広く知ることができる
・そのテーマの最新の知見を知ることができる
・そのテーマの専門の先生のことを知るきっかけとなる
知識を広く知ることができる
いかに資格を保持していても、心理職に必要な知識は幅広いため、これまで触れたことのないテーマも少なからず存在していると思います。
新しいテーマを学ぼうとするときに、いきなりピンポイントで学習することが難しい場合も多いです。
そのときに、はじめに専門雑誌を読めば、広く知識を得ることができ、今後どの部分を詳しく掘り下げて学習していけばいいのかという方向性を定めることができるようになります。
最新の知見を知ることができる
発刊する時期に左右される部分もありますが、雑誌が発刊された時期での最新の知見がまとめられています。
興味のあるテーマでは何がスタンダードでトレンドとなっているのかを知ることができるというのもメリットだと思われます。
専門の先生のことを知るきっかけとなる
各記事を執筆している先生方は、その領域における専門家であることも多いです。
そのため、わかりやすい記事や興味をもつ論文を見つけた場合は、著者の先生の名前を覚えておき、あとで検索をかけてみると、その先生の書いた論文や書籍を探すことができます。
Yamashunがよく読むオススメの雑誌(独断)
ここでは数ある雑誌のなかから、Yamashunが良く読んでいる雑誌とそのなかでのオススメを紹介します!
今回紹介する雑誌や巻以外にも良書はたくさんありますので、是非ご自身の興味にあわせて読んでみることをオススメします。
・臨床心理学(金剛出版)
・こころの科学(日本評論社)
・精神科治療学(星和書店)
精神療法(金剛出版)
総合精神療法専門誌!日常臨床に直結した特集と症例研究,文献紹介などで構成される豊富な誌面は,初学者からベテランまで幅広い支持を得ている。
「精神療法」は、公認心理師現任者講習のテキストも出版している金剛出版さん刊行の雑誌になります。
精神療法(心理療法)に関連する記事が多く、詳細な実践報告などが含まれていることが特徴です。
増刊号の特集も内容が濃いためオススメの雑誌となります。
臨床心理学(金剛出版)
心理臨床家の専門誌!毎号ベテラン執筆陣によるタイムリーな特集を企画。臨床心理学の第一人者による連続講座・連載コーナー・最新知見の紹介なども充実。投稿も随時受け付ける。
「臨床心理学」は「精神療法」と同じく、金剛出版さん刊行の雑誌になります。隔月発刊の雑誌です。
心理療法に限らず臨床心理学に関わるトピックを特集記事で概観することが可能です。
こころの科学(日本評論社)
人間の心理的側面から科学する!特色は、誌面の半分以上をしめる「特別企画」のボリュームにある。ただその内容については「科学的知見の単なる解説記事でなく、臨床実践にもとづいた具体的な記述」を旨とする。要するに「高度な情報・知識をできるだけわかりやすく」ということである。この方針は今後とも変わらない。
「こころの科学」は、日本評論社さん刊行の雑誌になります。
専門家でなくとも理解しやすいようにわかりやすく書かれているのが特徴です。
精神科治療学(星和書店)
わが国の精神医学のなかで、理論と基礎と臨床実践とを繋ぐ場として、「治療」を中心に見据えた最新の情報を的確に読者に伝えます。研究発表の場としても最適。
「精神科治療学」は星和書店さん刊行の雑誌で、臨床心理学というよりは精神医学に特化した情報が得られる雑誌です。
心理職にとって精神医学的な知識や見方をもっておくことは臨床上でも重要となるので、「精神医学」「精神科治療」の知識や最新の情報を得たい方にオススメです。
オススメ!!
ここでは実際にYamashunが読んだ雑誌のなかで、特に印象に残っているもののみ紹介します!
他にも興味深く、時間と金銭的な余裕があれば、読みたい特集はたくさんありますので、是非調べてみてください。
精神療法第46巻第4号 脳科学と精神療法
精神療法(心理療法)の作用機序を脳科学の観点から検討していくのが最新の精神医学的な研究のメインストリームとなりつつありますが、それだけでなく脳科学の知見を精神療法に応用していく研究も盛んに行われるようになってきています。そのような脳科学と精神療法に関する知見が多数記載されている巻になります。
脳の用語を理解できていないと少々難しいですが、心理と脳基盤の関係性に関心のある方には興味深い内容となっています。
特に、浅利知輝先生の「ロールシャッハのfMRI」は、ロールシャッハテストによるパーソナリティの把握が脳機能も絡めて納得のいく説明がされており、眼から鱗が落ちた感じでした。
精神科治療学 Vol.29 No.5 2014年 05月号〈特集〉トラウマという視点から見た精神科臨床
少々古い巻となっていますが、トラウマの観点から様々な疾患の症状を説明している特集になっています。
雑誌に出てくる「複雑性PTSD」や「発達性トラウマ障害」といった概念が、当時院生であった自分にははじめて聞く言葉で、 夢中になって調べたことを思い出します。
トラウマの特集は、もう少し新しい巻でも出ているようです。
精神科治療学 Vol.35 No.6 2020年6月号〈特集〉トラウマ臨床の新しい動向と広がり
この記事のまとめ
この記事では、若手臨床家に向けて実践的な学習のための道標になる存在として、心理学関連の専門雑誌を紹介してきました!
心理の世界は領域が幅広いため、はじめて足を踏み入れる領域に関して、専門雑誌の関係する特集を読んでみると
・最新の知見を知ることができる
・専門の先生についてわかる
というメリットがありオススメです。
そのうえで、得た知識を自分の中の道標として、さらなる研鑽の方向づけをしていくことが大切かと思われますが、、
第一歩として、専門雑誌を読んでみるのはいかがでしょうか。
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