公認理師資格試験 過去問解説 問13 DSM-5 神経発達症
- 2022.08.28
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【問13】神経発達症
問13 DSM-5の神経発達症群/神経発達障害群に分類される障害として、正しいものを1つ選べ。
① 素行症/素行障害② 脱抑制型対人交流障害
③ 神経性やせ症/神経性無食欲症
④ 解離性同一症/解離性同一性障害
⑤ 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
正答は ⑤
⑤ 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
今回はDSM-5の診断分類に関する問題となっています。
基礎的な知識があれば充分解答可能な問題なので、ぜひ押さえておきましょう。
選択肢の解説
①素行症/素行障害
素行症/素行障害 Conduct Disorder は、他者の人権や社会規範を侵害する行動を繰り返し行う精神疾患です。
DSM-5による診断基準のA基準には、
- 人および動物に対する攻撃性
- 所有物の破壊
- 虚偽性や窃盗
- 重大な規則違反
が含まれています。
また、「向社会的な情動の有無」「後悔・罪悪感の有無」「共感性の有無」などがサブタイプの分類で用いられます。
さて、この素行症ですが、秩序破壊的・衝動制御・素行症群に含まれます。
以下にその他の秩序破壊的・衝動制御・素行症群に該当する疾患を記載しておくので、確認しておきましょう。
- 反抗挑発症/反抗挑戦性生涯
- 間欠爆発症/間欠性爆発性障害
- 反社会性パーソナリティ障害
- 放火症
- 窃盗症
②脱抑制型対人交流障害
脱抑制型対人交流障害 Disinhibited Social Engagement Disorder は、見知らぬ人であっても積極的に交流し、過剰に馴れ馴れしい言動を示す状態です。
診断基準のなかには、C基準に不適切な養育環境が含まれています。
また、一見すると行動様式が注意欠陥多動性障害(ADHD)にも見えるため、ADHDでないことも脱抑制型対人交流障害の基準に含まれます。
この脱抑制型対人交流障害は、心的外傷およびストレス因関連障害群に含まれています。
同様に、「不適切な養育環境」が含まれる反応性愛着障害に関しても押さえておきましょう。
③神経性やせ症/神経性無食欲症
神経性やせ症/神経性無食欲症 Anorexia Nervosa は、体重増加への恐怖とボディイメージの歪みが中核にあり、食行動の異常や体重を減らすための過剰な行動(拒食・過度な運動・下剤乱用)を示す精神疾患となります。
DSM-5の分類上は、食行動障害および摂食障害群に含まれています。
④解離性同一症/解離性同一性障害
解離性同一症/解離性同一性障害 Dissociative Identity Disorder は、いわゆる多重人格が存在し、人格間での個人情報や過去の記憶の想起が困難となることが特徴的な疾患です。
DSM-5のなかでは、解離症群/解離性障害群に含まれます。
多重人格というと、トラウマによる反応という理解が一般的ですが、診断基準上にはトラウマの有無が含まれていないこともポイントです。
⑤発達性協調運動症/発達性協調運動障害
発達性協調運動症/発達性協調運動障害 Developmental Coordination Diorder(DCD)は、ざっくり理解すると、「不器用さ」が特徴的な疾患といえます。
DSM-5による分類では、神経発達症/神経発達障害群のなかの運動症群/運動障害群に含まれています。
ただ不器用ということではなく、その困難さが日常生活に支障を及ぼしていることがポイントです。
他の神経発達症、特に、自閉スペクトラム症と併存することが多い疾患です。
以上のことから、発達性協調運動症/発達性協調運動障害は神経発達症/神経発達障害群に含まれていますので、問題の解答として適切になります。
まとめ
- 素行症/素行障害 → 秩序破壊的・衝動制御・素行症
- 脱抑制型対人交流障害 → 心的外傷およびストレス因関連障害群
- 神経性やせ症/神経性無食欲症 → 食行動障害および摂食障害群
- 解離性同一症/解離性同一性障害 → 解離性障害群
- 発達性協調運動症/発達性協調運動障害 → 神経発達障害群
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