公認心理師資格試験 過去問解説 問75 事例問題:睡眠衛生指導
- 2021.07.29
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 保健医療領域, 第3回公認心理師試験

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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問75】事例問題:睡眠衛生指導
問75 70 歳の女性 A。A は最近、昼間の眠気が強くなったと訴える。夜間の睡眠は0時から6時頃までで変化はなく、毎日朝夕2回 30 分程度の散歩をしている。高血圧のため3年前から服薬しているが、血圧は安定しており、健診でもその他に問題はないと言われている。最近、就床すると、足に虫が這うように感じて眠れないことがある。昼間の眠気はあるが、何かをしていれば紛れる。週3回の編み物教室は楽しくて眠気はない。食欲はあり、塩分摂取に気をつけている。
A への睡眠衛生指導上の助言として、適切なものを2つ選べ。① 散歩は、睡眠に良い効果があるので続けてください。
② 睡眠時間が足りないので早く床に就くようにしてください。
③ 昼間に何かをして眠気が紛れるのであれば心配はいりません。
④ 深く眠るために熱いお風呂に入ってすぐ寝るようにしてください。
⑤ 足の不快感のために眠れないことについては、医師に相談してください。
① 散歩は、睡眠に良い効果があるので続けてください
⑤ 足の不快感のために眠れないことについては、医師に相談してください
となります。
ここで事例Aをまとめてみましょう❗️
70歳 女性
主訴:昼間の眠気が強い、就寝時に足に虫が這うように感じて眠れないことがある
高血圧のため3年前から服薬継続中で、血圧のコントロールは良好。
夜間の睡眠は0時から6時頃までで変化はなく、毎日朝夕2回30分程度の散歩をしている。
睡眠衛生指導
睡眠衛生 Sleep hygiene とは、
質の良い睡眠を得るために推奨される行動・環境の調整技法
出典:睡眠衛生|ウィキペディア
とされます。
つまり、睡眠の質や睡眠の量を改善あるいはより良くしていくための環境の整備や行動を調整することを意味しています。
睡眠衛生指導は、特に不眠症(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)の方を対象として行われることが多いです。
睡眠衛生指導の具体的な内容はさまざまありますが、一例として厚生労働省が公表している『睡眠障害対処 12の指針』があります。
- 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
- 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
- 眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
- 同じ時刻に毎日起床
- 光の利用でよい睡眠
- 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
- 昼寝をするなら、15時前の20〜30分
- 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
- 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
- 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
- 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
- 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
睡眠衛生指導を行うにあたっては、代表的な睡眠障害についての知識を押さえておく必要がありますね。
- 不眠症
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠関連運動障害:レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害
- 中枢性過眠症(ナルコレプシー など)
- 睡眠時随伴症:レム睡眠行動障害
- 概日リズム睡眠・覚醒障害
出典:睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル -保健師・対人援助職向け-
選択肢の解説
① 散歩は、睡眠に良い効果があるので続けてください
国内外の疫学研究(数千人を対象とした質問紙調査)において、運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。とくに睡眠の維持に習慣的な運動の効果があるようです。
出典:快眠と生活習慣|e-ヘルスネット(厚生労働省)
上で引用したように、一般的にも運動は睡眠に良い効果をもたらすことが知られています。
激しい運動は睡眠に対して逆効果となるため、負担が少ない有酸素運動が推奨されています。
散歩は代表的な負担の少ない有酸素運動と考えられます。
また、高血圧症に対しても有効ですね。
公認心理師資格試験 過去問解説 問70 事例問題:高血圧症と認知症
そのため、選択肢①「散歩は、睡眠に良い効果があるので続けてください」は正しい記述となりますね。
② 睡眠時間が足りないので早く床に就くようにしてください
Aは就寝時間は0時と遅めではあるものの、0時〜6時までの計6時間という睡眠時間を確保できています。
60歳以上の平均睡眠時間は6時間弱であるため、Aの睡眠時間は年齢相応だと考えられます。
よって、選択肢②「睡眠時間が足りないので早く床に就くようにしてください」という記述は不適切となります。
③ 昼間に何かをして眠気が紛れるのであれば心配はいりません
確かにAの場合は、夜間帯の睡眠時間が年齢相応に保たれており、かつ、昼間に興味・関心のある活動をしている際は眠気を感じないため、こちらの選択肢は正しいようにも見えます。
しかし、Aの場合は「足に虫が這うように感じて眠れないことがある」とレストレスレッグス症候群を窺わせるような訴えが認められていることから、専門的な医療機関への受診と診察の結果によっては適切な治療が必要です。
そのため、「心配ありません」という記述は不適切でしょう。
よって、選択肢③「昼間に何かをして眠気が紛れるのであれば心配はいりません」は問題の解答として適切ではないと考えられます。
④ 深く眠るために熱いお風呂に入ってすぐ寝るようにしてください
一般的には、熱いお湯に入った直後は、体内の深部体温が上がり、交感神経系が優位になります。
そのため、覚醒度が高くなって、眠気が覚めてしまいます。
一方で、一度上がった深部体温が下がるときに、人は一番眠気を感じやすいことも知られています。
以上から、選択肢④「深く眠るために熱いお風呂に入ってすぐ寝るようにしてください」は、「すぐ」の部分が不適切で、正確には「熱いお風呂に入って、しばらくして身体が冷めてから」が正しくなりますね。
⑤ 足の不快感のために眠れないことについては、医師に相談してください
「足の不快感のために眠れない」という記述は、睡眠関連運動障害であるレストレスレッグス症候群の可能性を示唆する内容と捉えることが妥当でしょう。
レストレスレッグス症候群 restless legs syndrome とは❓
レストレスレッグス症候群(従来はむずむず脚症候群と呼ばれていました)は、夕方から深夜にかけて、下肢を中心として、「ムズムズする」「痛がゆい」「じっとしていると非常に不快」といった異常な感覚が出現してくる病気です。足を動かすとこの異常感覚はすぐに消えるのですが、じっとしていると再び出現してきます。
出典:レストレスレッグス症候群/むずむず脚症候群|e-ヘルスネット(厚生労働省)
レストレスレッグス症候群では、一般的には睡眠薬はあまり効果がなく、パーキンソン病薬が有効な場合が多いようで、専門の医療機関で医師の診察や検査、治療を受けることが必要となってきます。
抗精神病薬の副作用として生じることもありますが、その場合でも医療機関(精神科)への受診が必要です。
そのため、選択肢⑤「足の不快感のために眠れないことについては、医師に相談してください」は正しい記述といえますね。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問75は、事例問題:睡眠衛生指導に関する問題でした❗️
睡眠障害のなかでも不眠症(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)の際に、睡眠衛生指導が重要となってきます。
また、関連する睡眠障害についても押さえておきましょう❗️
- 不眠症
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠関連運動障害:レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害
- 中枢性過眠症(ナルコレプシー など)
- 睡眠時随伴症:レム睡眠行動障害
- 概日リズム睡眠・覚醒障害
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