公認心理師資格試験 過去問解説 問39 知能の構造「Gardnerの多重知能理論」
- 2021.05.16
- 資格試験
- 発達, 第3回公認心理師試験
第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!
【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!
【問39】知能の構造「Gardnerの多重知能理論」
問39 H.Gardnerが多重知能理論で指摘した知能に含まれるものとして、不適切なものを1つ選べ。
① 空間的知能
② 言語的知能
③ 実用的知能
④ 対人的知能
⑤ 論理数学的知能
③ 実用的知能
となります。
多重知能理論
多重知能理論 theory of multiple intelligencesとは❓
アメリカの心理学者であるHoward Gardner ガードナー が1983年に発表された著書のなかで提唱した知能に関する理論で、発表当初は以下の7つの知能が想定されていました。
- 言語的知能 Verbal linguistic intelligence
- 論理・数学的知能 Logical mathematical intelligence
- 音楽的知能 Musical rhythmic and harmonic intelligence
- 空間的知能 Visual spatial intelligence
- 身体・運動的知能 Bodily kinesthetic intelligence
- 対人的知能 Interpersonal intelligence
- 内省的知能 Intrapersonal intelligence
1999年には、追加で「博物的知能」「霊的知能」「実存的知能」の3つの知能が検討されましたが、現在採用されているのは上の7つに「博物的知能 Naturalistic intelligence」を加えた8つの知能とされています。
多重知能理論の特徴として以下の3点が重要です❗️
- 8つの知能はそれぞれ独立しているが、単独で働くことはなく、複数の知能が同時に作用するということ
- 音楽・運動などの芸術領域の能力を含めていること
- 自分や他者に関する個人的知能:「対人的知能」と「内省的知能」を含めていること
【参考文献】
選択肢の解説
問題の選択肢について見ていきますが、この問題の選択肢はすべて多重知能理論で採用あるいは検討された知能が挙げられているため、多重知能理論の基礎的な知識を押さえていれば回答が可能となっています。
本問題では不適切なものを選ばないといけないため、1999年にガードナーが追加で検討された知能ですが現在採用されていない「実存的知能」が正答となりますね❗️
ここでは8つの知能について簡単に解説していきます。
言語的知能
話しをする・文字を書くなど話し言葉・書き言葉両方ともを含めた「言葉の力」そのものや「言葉をうまく利用する力」を表します。
コミュニケーション能力、言葉を利用して学習する力、言語を習得する力なども含まれる知能です。
論理・数学的知能
問題の原因や結果や因果関係などの関係性を論理的に分析したり、数字を操作する力など、「科学的な思考で問題を解決する力」を表します。
単純に計算の力を意味するだけでなく、関係性を分析することで、何らかの課題を解決に結びつける重要な能力といえますね。
音楽的知能
音楽の演奏・作曲・鑑賞などの音楽と関連するスキルや、音のピッチ・リズム・メロディなどの音楽的なパターンを認識したり構成できる力を表します。
「言語的知能」とともに、コミュニケーション面でも重要な能力といえますね。
空間的知能
空間を認識したり処理する能力や視覚的なイメージを操作する力を表します。
色・線・姿・形・距離・場所など、物事を知覚するためにも重要な能力といえますね。
身体・運動的知能
身体の全体や身体の部分を使って、感情・考えなどの自己表現をする能力を表します。
運動能力のみでなく、課題解決のために身体や運動を利用できる力を意味しています。
対人的知能
他者の意図・動機づけ・気分、感情、考えなどを理解して、相互作用を通して問題解決をしていく能力を表します。
表情・声・ジェスチャーなどの非言語的な手がかりを利用できる力もこのなかに含まれますね。
内省的知能
自分自身の気分、感情、考えや長所と短所を含む能力を理解して、うまく活用したりコントロールする能力を表します。
「対人的知能」とあわせて個人的知能のひとつであり、知能検査では測定ができないとされる領域ですね。
博物的知能
身の回りの環境にある物や事柄を区別して分類する能力を表します。
違いや共通点を発見したり、関係性を示すことができる能力も含まれていますね。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問39は、知能の構造「Gardnerの多重知能理論」に関する問題でした❗️
知能といわれると、知能検査がパッと浮かんできますが、知能検査のみではガードナーの提唱した多重知能のうち3つ程度しか測定できないとされています。
知能検査のみでクライエントの特徴を把握した気にならないためにも、ガードナーの多重知能理論の視点は重要でしょう。
【ガードナーの多重知能理論】
- 言語的知能 Verbal linguistic intelligence
- 論理・数学的知能 Logical mathematical intelligence
- 音楽的知能 Musical rhythmic and harmonic intelligence
- 空間的知能 Visual spatial intelligence
- 身体・運動的知能 Bodily kinesthetic intelligence
- 対人的知能 Interpersonal intelligence
- 内省的知能 Intrapersonal intelligence
- 採用されなかった知能:「実存的知能」「霊的知能」
-
前の記事
公認心理師資格試験 過去問解説 問38 心理状態の観察及び結果の分析「インテーク面接」 2021.05.12
-
次の記事
公認心理師資格試験 過去問解説 問40 産業・組織に関する心理学「管理監督者研修」 2021.05.22
コメントを書く