公認心理師資格試験 過去問解説 問30 人体の構造と機能及び疾病「甲状腺機能低下症」
- 2021.04.30
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 第3回公認心理師試験

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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問30】人体の構造と機能及び疾病「甲状腺機能低下症」
問30 甲状腺機能低下症にみられる症状について、正しいものを1つ選べ。
① 下痢
② 頻脈
③ 眼球突出
④ 傾眠傾向
⑤ 発汗過多
④ 傾眠傾向
となります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。
甲状腺機能低下症は、「身体の代謝を良くする働きのある血中の甲状腺ホルモンが通常よりも低下した状態」を指します。
血液検査上では、下垂体で分泌されるホルモンである甲状腺ホルモンの産出を調整する「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」の値が高くなります。
最も一般的な原因は自己免疫反応のひとつである「橋本甲状腺炎(橋本病)」とされています。
甲状腺機能低下症の症状には以下のものがあります。
- 疲労感
- 体重の増加
- 便秘
- 寒さに耐えられなくなる
- むくみ
- 皮膚の乾燥
- 喉のかすれ
- 脱毛
- 傾眠
- 月経異常
- 無気力
上の症状にもあるように、甲状腺機能低下症では「やる気が湧かない」など抑うつ症状に類似した症状や、高齢者の場合は「認知症」と区別がつきにくい症状が現れることがあります。
また、摂食障害の低体重状態による飢餓症候群によっても、甲状腺機能に異常を来たし、甲状腺機能低下症につながるなど、精神科疾患と関連性が極めて高いといえます。
粘液水腫性昏睡
④ 傾眠傾向
選択肢に戻りましょう。
上で挙げた甲状腺機能低下症の症状のひとつに「傾眠傾向」というものがあります。
傾眠とは、軽い意識障害のひとつで、軽い刺激で覚醒しますが注意が散漫で、放置しておくとそのまま眠りに落ちてしまう状態のことをいいます。
甲状腺機能低下症が悪化すると、この傾眠や昏睡を含めた意識障害が生じることがあり、この状態は粘液水腫性昏睡と呼ばれます。
粘液水腫性昏睡は生命を脅かす合併症です、呼吸が遅くなり、けいれん発作が起こり、脳への血流が減少します。
以上のことから、選択肢④「傾眠傾向」は甲状腺機能低下症の症状に該当するため、問題の選択肢として正しいということになります。
選択肢の解説
この問題の残りの選択肢である以下の項目
① 下痢
② 頻脈
③ 眼球突出
⑤ 発汗過多
は、すべて同じ甲状腺異常である「甲状腺機能亢進症」の症状に該当します。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。
甲状腺機能亢進症は「身体の代謝を良くする働きのある血中の甲状腺ホルモンが通常よりも多い状態」を指します。
血液検査上では、下垂体で分泌されるホルモンである甲状腺ホルモンの産出を調整する「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」の値が低くなります。
甲状腺機能低下症と反対ですね❗️
最も代表的な原因は自己免疫反応のひとつである「バセドウ病」とされています。
甲状腺機能亢進症の症状には以下のものがあります。
- 心拍数の増加(頻脈)
- 血圧の上昇
- 発汗
- 動悸
- 手指振戦(手のふるえ)
- 体重減少
- 疲労感
- 排便回数の増加(ときに下痢)
- 神経過敏と不安
- 不眠
また、代表的なバセドウ病では、「眼球突出」や「物が複数に見える」などの症状が特徴的です。
上にあるように、甲状腺機能低下症では「気分の落ち込み」などの抑うつ症状も出現しますが、「些細なことでイライラする」「不安・焦燥感」など典型的なうつ病というより不安・焦燥の高いうつ病であったり、躁状態がある双極性障害のような症状、不安障害が出現することがよくあります。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問30は、人体の構造と機能及び疾病「甲状腺機能低下症」に関する問題でした。
甲状腺機能の異常(低下・亢進)と精神症状には関連性が深いため、臨床家としてもクライエントさんの精神症状が「甲状腺の異常」に由来するかどうか見極めるための最低限の知識は必要でしょう。
【甲状腺機能低下】≒ 代謝の低下と関連する症状
- 体重増加
- 寒さ耐性の低下
- 皮膚の乾燥
- 便秘
- 気力の低下
- 疲労感
【甲状腺機能亢進】≒ 代謝の亢進と関連する症状
- 体重減少
- 手指振戦(手のふるえ)
- 動悸や頻脈
- 発汗
- 不眠
- 疲労感
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