公認心理師資格試験 過去問解説 問30 人体の構造と機能及び疾病「甲状腺機能低下症」

公認心理師試験

第3回公認心理師試験の問30は、甲状腺機能低下症でみられる症状を問う問題です。

問題

甲状腺機能低下症にみられる症状について、正しいものを1つ選べ。

① 下痢
② 頻脈
③ 眼球突出
④ 傾眠傾向
⑤ 発汗過多

正答は④ 傾眠傾向です。

甲状腺機能低下症とは

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの作用が必要な水準より低下した状態です。甲状腺ホルモンは全身の代謝や多くの臓器機能に関わるため、低下すると身体全体の働きが緩やかになる方向の症状が現れます。

日本甲状腺学会の診断ガイドライン2024では、代表的な臨床所見として、無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声などが挙げられています。

日本内分泌学会も、甲状腺機能低下症が強くなると傾眠や意識障害をきたし、重症例では粘液水腫性昏睡に至ることがあると説明しています。

したがって、この問題では④ 傾眠傾向が正答です。

原発性と中枢性ではTSHの読み方が違う

試験対策では、「甲状腺機能低下症ならTSHが必ず高い」と覚えないことも重要です。

  • 原発性甲状腺機能低下症:遊離T4低値+TSH高値
  • 中枢性甲状腺機能低下症:遊離T4低値+TSH低値〜基準範囲内

原発性甲状腺機能低下症は甲状腺そのものに原因があり、代表的な原因疾患として慢性甲状腺炎(橋本病)があります。一方、中枢性甲状腺機能低下症は下垂体や視床下部の障害などによって生じます。

各選択肢を整理する

① 下痢

誤りです。甲状腺機能低下症では消化管の働きも低下する方向となり、代表的なのは便秘です。下痢や排便回数の増加は、甲状腺機能亢進症でみられやすい症状です。

② 頻脈

誤りです。甲状腺機能低下症では徐脈がみられることがあります。頻脈や動悸は甲状腺機能亢進症でみられやすい症状です。

③ 眼球突出

誤りです。眼球突出は、とくにバセドウ病に伴う甲状腺眼症でみられる所見です。甲状腺機能低下症を代表する症状ではありません。

④ 傾眠傾向

正しい選択肢です。甲状腺機能低下症では嗜眠・傾眠など、覚醒水準が低下する方向の症状がみられることがあります。

⑤ 発汗過多

誤りです。甲状腺機能亢進症では代謝亢進や暑がり、発汗増加がみられます。甲状腺機能低下症では、むしろ寒がりや皮膚乾燥などが代表的です。

心理職が押さえておきたい点

甲状腺機能低下症では、無気力、疲労感、動作緩慢、記憶力低下など、精神症状・認知症状と重なって見える所見が生じることがあります。

ただし、これらの症状は非特異的です。気分の落ち込みや認知機能低下だけから甲状腺疾患を判断することはできず、診断には甲状腺機能検査などの医学的評価が必要です。

試験対策として覚えること

  • 甲状腺機能低下症 → 代謝や身体機能が低下する方向
  • 代表:寒がり、体重増加、便秘、動作緩慢、嗜眠・傾眠、記憶力低下
  • 原発性:遊離T4低値+TSH高値
  • 中枢性:遊離T4低値+TSH低値〜基準範囲内
  • 頻脈・発汗増加・下痢は甲状腺機能亢進症を考えやすい
  • 眼球突出は特にバセドウ病に伴う甲状腺眼症で重要

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました