公認心理師資格試験 過去問解説 問25 教育に関する心理学「教育現場における心理社会的課題と必要な支援」
- 2021.04.21
- 公認心理師(第3回) 臨床心理士 / 公認心理師 資格試験
- スクールカウンセラー, 教育領域, 第3回公認心理師試験
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第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問25】教育に関する心理学「教育現場における心理社会的課題と必要な支援」
問25 学校心理学における心理教育的援助サービスの考え方について、最も適切なものを1つ選べ。
① 心理面接の援助を中心に行う。
② スクールカウンセラーが単独で援助する。
③ スクールカウンセラーに援助を求める子どもを対象とする。
④ 非行をする子どもなど、援助ニーズの高い子どもを対象とする。
⑤ スクールカウンセリング活動は、学校教育の一環として位置づけられる。
⑤ スクールカウンセリング活動は、学校教育の一環として位置づけられる
となります。
学校心理学
学校心理学とは、「学校教育において一人ひとりの子どもが学習面、心理・社会面、進路面、健康面などにおける課題の取り組みの過程で出会う問題状況の解決を援助し、子どもの成長を促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問体系」です。
心理教育的援助サービスの対象はすべての子どもであり、心理教育的援助サービスは教師、スクールカウンセラーなどからなる「チーム学校」が家庭・地域との連携で進めます。
引用した文章にあるように、学校心理学における心理教育的援助サービスは、教師・スクールカウンセラーなど「チーム学校」が地域や保護者と連携して行われるもので、対象はすべての児童・生徒であり、「学習面」「心理・社会面」「進路面」「健康面」といった広い場面でのそれぞれの課題の解決を援助して成長を促進することが大きな目的とされています。
つまり、心理の専門家が行う心理的な相談のみではなく、個々人の発達段階にあわせた「学習」や「進路」における相談も含まれているということですね。
学校心理学を理論的な基盤とする心理職の資格に学校心理士がありますね。
⑤ スクールカウンセリング活動は、学校教育の一環として位置づけられる
スクールカウンセラーが行うスクールカウンセリング活動は、そもそもは児童・生徒の多様化する心の問題の増加を受けて、学校における教育相談体制、なかでも学校内でのカウンセリング機能を充実させるために、専門的な知識や経験を有する専門家を活用する必要が生じてきたことを発端として始まりました。
中学校学習指導要領解説(特別活動編)によれば、「教育相談は、一人一人の生徒の教育上の問題について、本人又はその親などに、その望ましい在り方を助言することである。 その方法としては、1対1の相談活動に限定することなく、すべての教師が生徒に接する あらゆる機会をとらえ、あらゆる教育活動の実践の中に生かし、教育的配慮をすることが 大切である。」とされています。
教育相談は、「個人に焦点を当て、それぞれが学校生活上で抱えるさまざまな問題に対して、それぞれの発達にあわせて援助や環境の調整を行っていく」ことをさしており、生徒指導なども含まれている特別活動として指導要領に記載されている学校教育の一環とされています。
スクールカウンセラー制度が導入されるまでは、教師が学校教育相談として「心理・社会面」も含めた全ての面での相談援助を担っていましたが、指導を行う教師という専門的な立場と支持的に接するカウンセラーという立場での混乱が現場で起きるようになったようです。
こうした背景もあり、教師が行う教育相談とスクールカウンセラーが行うカウンセリングという役割をわけて、お互いの専門性を生かしながら広い意味での教育相談体制の充実化を図っていくこととなりました。
そのため、選択肢⑤「スクールカウンセリング活動は、学校教育の一環として位置づけられる」は、スクールカウンセリングは指導要領の特別活動の中の教育相談に含まれるため正しいといえます。
【参考文献】
残りの選択肢の解説
スクールカウンセラーの業務
① 心理面接の援助を中心に行う。
文部科学省はスクールカウンセラーの主要な業務として以下のものを挙げています。
- 面接相談(カウンセリング) 生徒・保護者・教職員
- 面接相談(コンサルテーション)
- 協議(カンファレンス)
- 研修・講話
- 査定、診断(見立て)、調査
- 予防的対応 ストレスチェック・ストレスマネジメント
- 危機対応、危機管理
個別の「心理面接の援助」のほかにも、見立てを行う「査定」や教職員に対して関わり方などを助言する「コンサルテーション」、問題が生じる前の予防として集団を対象にした「予防的対応」などさまざまな業務があり、状況によってはこれらの援助の方がウエイトが大きくなることもあります。
そのため、選択肢①「心理面接の援助を中心に行う」は不適切ではないかもしれませんが、最も適切とは言い難く、選択肢としては正答ではないということになります。
② スクールカウンセラーが単独で援助する。
先ほど、スクールカウンセリングは教育相談体制の充実化を図る意味合いもあると説明しました。
教育相談や学校心理学に領域では、援助を行うのはスクールカウンセラーのみではなく「チーム学校」であるという視点が重要です。
そのため、選択肢②「スクールカウンセラーが単独で援助する」は不適当といえます。
③ スクールカウンセラーに援助を求める子どもを対象とする。
④ 非行をする子どもなど、援助ニーズの高い子どもを対象とする。
はこちらは学校心理学の定義を思い出していただければ簡単に回答可能です。
何か問題が生じてスクールカウンセラーに援助を求める子どもや援助ニーズの高い子どもに対する援助も勿論重要なのですが、何か問題が生じる前の予防的な対応もスクールカウンセラーの業務として含まれているなど、学校内に所属するすべての子どもが援助の対象となります。
そのため、選択肢③「スクールカウンセラーに援助を求める子どもを対象とする」、選択肢④「非行をする子どもなど、援助ニーズの高い子どもを対象とする」は問題の回答として不適当といえます。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問25は、学校心理学における心理教育的援助サービスに関する問題でした。
心理の専門家、スクールカウンセラーとして学校現場に入る際には、それぞれの専門性や求められている役割を再確認しておくことが重要です。
この記事のまとめ・学校心理学における心理教育的援助サービスは、教師・スクールカウンセラーなど「チーム学校」が地域や保護者と連携して行われるもので、対象はすべての児童・生徒であり、「学習面」「心理・社会面」「進路面」「健康面」といった広い範囲の相談を含む。
・スクールカウンセラーの業務は、「①面接相談(カウンセリング」「②面接相談(コンサルテーション)」「③協議(カンファレンス)」「④研修・講話」「⑤査定、診断(見立て)、調査」「⑥予防的対応」「⑦危機対応、危機管理」などが含まれる。
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