公認心理師資格試験 過去問解説 問23 福祉に関する心理学「社会的養護」
- 2021.04.17
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 福祉領域, 第3回公認心理師試験

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【問23】社会的養護 家族再統合
問23 児童の社会的養護における家族再統合について、最も適切なものを1つ選べ。
① 家庭復帰が困難な子どもは対象ではない。
② 児童福祉施設は、家族再統合には積極的に関与しない。
③ 家庭裁判所は、申立てがあった場合、直接保護者に適切な治療や支援を受けることを命令できる。
④ 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるように支援する。
⑤ 施設や里親などにおける子どもの生活が不安定になるため、分離中の実親との交流は、原則として控える。
④ 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるように支援する。
となります。
問23は「社会的養護」のなかでも、「家族再統合」がキーワードの問題となります。
社会的養護
社会的養護とは、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。
社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。出典:厚生労働省|社会的養護
社会的養護を簡単に説明すると、「何らかの理由で保護者のいない児童や保護者から適切な養育を受けることができない児童を公的な責任のもとに社会全体でサポートして支援を行っていく」ということになります。
大きく、「家庭養護」と「施設養護」にわけられます。
家庭養護
- 里親
- ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)
施設養護
- 乳児院
- 児童養護施設
- 情緒障害児短期治療施設
- 児童自立支援施設
- 母子生活支援施設
- 自立援助ホーム
- 児童家庭支援センター
厚生労働省の資料を見ると、対象となる児童は約4万5000人おり、
過去10年で、里親委託児童数は約2倍、児童養護施設の入所児童数は約2割減、乳児院が約1割減となっている
と、「家庭養護含めた家庭での養育」が優先されている流れがわかります。
実際に平成28年(2016年)の児童福祉法の改正では、里親等への委託の推進に向けた取り組みが明示されています。
社会的養護に関して詳しく学んでおくには、
を確認しておくのがいいでしょう。
選択肢の解説
親子関係再構築支援
平成28年の児童福祉法の改正によって、「親子関係再構築支援」の重要性が示され、“施設、里親、市町村、児童相談所などの関係機関等が連携して行うべき”と明記されています。
親子関係再構築を「子どもと親がその相互の肯定的なつながりを主体的に回復すること」と定義します。親子関係再構築支援は、子どもの健全な成長発達を保障するために実施され、すべての子ども達が「生まれて きてよかった」、「自分は大事な存在」との気持ちを抱けるようになることを目指します
親子関係再構築支援では、「さまざまな背景から発達の問題や心身の問題、トラウマ的な問題を抱えた児童の回復と成長を促すための支援を行いながら、現実の親との交流を通して親子関係を再び取り戻すことや、自分に対して肯定的な捉え方ができるようにするための支援」が行われます。
ここで選択肢に戻ります。
④ 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるように支援する。
こちらは親子関係再構築の理念に則った文言ですので、選択肢④「子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるように支援する」は回答として正しいといえます。
子どもが自分のルーツを知ったうえで、
生まれてきたことを子どもが肯定的に受け止められるよう、子どもの気持ちに寄り添い、支援すること
も親子関係再構築において重要とされています。
① 家庭復帰が困難な子どもは対象ではない。
選択肢①「家庭復帰が困難な子どもは対象ではない」は、親に対して抱くイメージや自分のルーツ自体を扱いながら、自分自身に対して肯定的なイメージを持てるようにする関わりも親子関係再構築支援に含まれるため、問題の回答として不適切といえます。
② 児童福祉施設は、家族再統合には積極的に関与しない。
選択肢②「児童福祉施設は、家族再統合には積極的に関与しない」は、児童福祉法の改正によって第48条に“施設、里親、市町村、児童相談所などの関係機関等が連携して行うべき”と明記されていることから、児童福祉施設の積極的な関与が必要と考えられるため不適切といえます。
⑤ 施設や里親などにおける子どもの生活が不安定になるため、分離中の実親との交流は、原則として控える。
こちらの選択肢も親子関係再構築支援の理念とは逸れる内容になりますね。
「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の第9条には、
締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、 父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する
出典:児童の権利に関する条約
と明記され、親との面会や交流は子どもの権利とされています。
施設、特に乳児院では、宿泊面会室といって施設内に親子が一緒に宿泊可能な環境が用意されている場合もあります。
また、里親の場合は、
里親委託ケースにおいては、上記の条件がある程度整ったケースについて、子ども・実親それぞれについてのアセスメントを十分行い評価した上で、家庭復帰に向けた支援を積極的に行っていくことが望ましい
出典:里親養育における親子関係調整及び家族再統合支援のあり方に関する調査研究報告書
とあるように、家庭復帰のための条件が整っている場合、十分なアセスメントによる評価を行なった上で、積極的に交流などの支援を行っていくことが望ましいとされています。
以上から、選択肢⑤「施設や里親などにおける子どもの生活が不安定になるため、分離中の実親との交流は、原則として控える」は不適切といえます。
家庭裁判所への申し立て
③ 家庭裁判所は、申立てがあった場合、直接保護者に適切な治療や支援を受けることを命令できる。
社会的養護の今回の問題に関する部分のなかで、家庭裁判所への申し立てが行われるのは以下の場合があります。
- 児童福祉施設等への入所の承認(児童福祉法第28条手続き)
- 入所措置の更新(児童福祉法第28条2項)
- 親権喪失(民法834条)
- 親権停止(民法834条)
- 管理権喪失(民法835条)
上記申し立てが行われた場合、家庭裁判所が審判を開始することになるわけですが、児童福祉法第28条に関連する「入所の承認・入所措置の更新」の際に、「保護者に適切な治療や支援を受けること」を含めた指導をとるべきという旨の勧告を都道府県に行うことがあります。
家庭裁判所は、児童福祉施設への入所等の措置又は措置の期間の更新を承認する審判をする場合において、当該措置の終了後の家庭その他の環境の調整を行うため当該保護者に対し指導措置を採ることが相当であると認めるときは、当該保護者に対し指導措置を採るべき旨を、都道府県等に勧告することができる
そのため、選択肢③「家庭裁判所は、申立てがあった場合、直接保護者に適切な治療や支援を受けることを命令できる」は「直接」ではなく、都道府県に対してそのような指導を行う旨を勧告できるが正しくなります。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問23は、福祉に関する心理学「社会的養護」、親子関係の再統合に関する問題でした。
法律の内容は少し難しい部分がありますが、
に関しては確認しておく必要があります。
キーワード・社会的養護
・児童福祉法
・親子関係再構築支援
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