公認心理師資格試験 過去問解説 問20 保健医療分野に関する法律・制度「介護保険制度」
- 2021.04.06
- 公認心理師(第3回) 資格試験
- 保健医療領域, 第3回公認心理師試験
第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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【問20】保健医療分野に関する法律・制度「介護保険」
問20 介護保険が適用されるサービスとして、正しいものを1つ選べ。
① 配食サービス
② 精神科訪問看護
③ 介護ベッドの購入
④ 住宅型有料老人ホーム
⑤ 通所リハビリテーション
⑤ 通所リハビリテーション
となります。
介護保険制度
介護保険制度に関して、以下の資料を参考に解説していきます❗️
介護保険制度とは、簡単に説明すると、「介護を必要とする方に支払われる保険料」です。
40歳以上になると介護保険に加入することが義務づけられ、保険料を支払うことになります。
保険料を受け取るためには、手続きや審査があります。
導入までの考え方については以下の部分が参考になります。
介護保険制度の導入の基本的な考え方
【背景】
○ 高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズはますます増大。
○ 一方、核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化
○ 従来の老人福祉・老人医療制度による対応には限界
⇩
高齢者の介護を社会全体で支える仕組み(介護保険)を創設
1977年 介護保険法成立、 2000年 介護保険法施行
【基本的な考え方】
○ 自立支援・・・単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする。
○ 利用者本位・・・利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度
○ 社会保険方式・・・給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用
介護保険の被保険者
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
---|---|---|
対象者 | 65歳以上の方 | 40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などの医療保険加入者 |
受給要件 | ・要介護状態
・要支援状態 |
・要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病※)による場合に限定 |
保険料の徴収方法 | ・市町村と特別区が徴収
(原則、年金からの天引き) ・65歳になった月から徴収開始 |
・医療保険料と一体的に徴収
・40歳になった月から徴収開始 |
特定疾病・がん(末期)
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靭帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性 症およびパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および 糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険の被保険者は、
「②第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方で、特定疾病により要介護(要支援)状態と認定を受けた場合」
に分けられます。
どちらにしても、被保険者が介護保険を申請してから、「認定調査・医師の意見書⇨審査・判定」を経て認定を受ける必要があります。
介護サービス
審査の結果、要介護1〜5と認定された場合には、介護サービスを利用することができます。
- 在宅:居宅介護支援事業者と契約して、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、利用するサービスを決める
- 施設:希望する施設に直接申し込む
また、要支援1・2と認定された場合には、介護予防サービスを利用することが可能です。
介護サービス利用までの流れに関しては、介護保険とは|介護保険制度の概要|厚生労働省がわかりやすいです。
利用できる介護サービスは以下のような種類があります。
主な介護サービス・訪問介護
・訪問看護
・福祉用具のレンタル
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・特定施設入居者生活介護
・特別養護老人ホーム(*原則、要介護3以上)
これを見ると、選択肢「⑤通所リハビリテーション」は介護保険が適用される主な介護サービスに含まれているため、選択肢は適当といえますね。
残りの選択肢について見ていきましょう
まずは、介護保険適用外となるサービスに関して見ていきましょう。
介護保険適用外となるサービスとしては、日常的な家事の範囲を超えている行為や、行わなくても日常生活を送るうえで支障が出ない行為などです。
つまり、介護保険の適用となるサービスは、あくまで「日常的な生活を送る上で最低限必要な行為」「本人の自立支援のための行為」に限定されるわけですね。
配食サービス
① 配食サービス
一般的には介護保険には配食サービスは含まれません。
なぜならば、配食サービスは生活の援助にあたるため、本人の自立を支援する目的とは異なりますので、一般的には民間の会社が行っています。
一方で、自治体によっては配食事業を行ったり、補助金を出しているところもあります。
また、訪問介護サービスでは、日常的な料理の補助や同居家族がいない場合に弁当を購入してきてくれるなどの行為は保険内に含まれます。
今回の問題では、あくまで一般的な介護保険の話を問うているため、選択肢は不適当となります。
精神科訪問看護と介護保険
② 精神科訪問看護
要介護度が高くなり、医療的なケアや健康管理が必要となった方向けのサービスとして、訪問看護サービスがあります。
訪問看護は、一般的には医療保険ではなく、介護保険が適用されます。
一方で、2014年の診療報酬改定により、精神疾患の方を対象として精神科医師による精神科訪問看護指示書によって実施される訪問看護、つまり精神科訪問看護は、介護保険が適用される方であっても医療保険が優先されることとなっています。
ちなみに、認知症の方は精神科訪問看護に含まれず、介護保険適用の訪問看護が適用となります。
この問題では、介護保険適用内のサービスに関して問うているため、「精神科訪問看護は医療保険適用」ということで回答としては不適となります。
福祉用具貸与と特定福祉用具購入
③ 介護ベッドの購入
介護サービスの中に、「福祉用具貸与」と「特定福祉用具購入」があります。
どちらも対象となるのは、要介護1以上と認定された方となります。
福祉用具貸与では、購入すると高額な費用がかかる福祉用具である介護ベッド・車椅子・スロープ・歩行器など合計13品目のレンタルが可能となります(*限度額があるため、必要な物品を限度額内でレンタルします)。
こちらのサイトが参考になります❗️
特定福祉用具購入は、レンタルに適さないような福祉用具であるポータブルトイレや入浴補助用具などを購入する際に、介護保険が適用されるというものです。
介護ベッドは「福祉用具貸与」に含まれるので、購入ではなくレンタルが正しくなります。
有料老人ホーム
④ 住宅型有料老人ホーム
老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、老人の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活の安定のために必要な措置として設けられている制度
有料老人ホームは「老人が入居していること」かつ「以下のサービスのいずれか(または複数)を提供していること」が必要となります。
- 食事の提供
- 介護(入浴・排泄・食事)の提供
- 洗濯・掃除等の家事の供与
- 健康管理
次に、有料老人ホームの種類を見ていきましょう。
- 介護付有料老人ホーム:介護等のサービスがついた有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム:生活支援等のサービスがついた有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム:食事等のサービスがついた有料老人ホーム
「介護付有料老人ホーム」では、当該老人ホーム職員が提供する「一般型特定施設入居者生活介護」と介護サービスが外部に委託されている「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」のいずれかがあります。
どちらの場合であっても、介護サービスを受けながら入居することが可能です。
「住宅型有料老人ホーム」では、基本的な生活支援のサービスがメインとなっています。入所者に介護が必要となった場合には、ホームでの生活は継続しながら訪問介護サービスなどを受けることが可能です。
「健康型有料老人ホーム」では、自立して生活が可能な方を対象とする食事などのサービスがメインとなっています。入所者に介護が必要となった場合には、契約を解除して退所する必要があります。
基本的な考え方として、介護保険に基づく介護サービスは介護保険の適用になります。そのため、生活支援のみ行う住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームは介護保険の適用にはなりません。
まとめ
第3回公認心理師資格試験の問20は、保健医療分野に関する法律・制度「介護保険制度」に関する問題でした。
今回の記事で紹介した介護保険制度に関して参考となる資料及びサイトに関するリンクを下に貼っておきます。
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