公認理師資格試験 過去問解説 問154 事例問題 「スクールカウンセラーの対応」

公認理師資格試験 過去問解説 問154 事例問題 「スクールカウンセラーの対応」

第3回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。

第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

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問153 

中学校の担任教師A。Aは、同じ部活動の女子中学生3名について、スクールカウンセラーBに、次のように相談した。3名は、1か月ほど前から教室に入ることができずに会議室で勉強しており、Aが学習指導をしながら話を聞いていた。先日、生徒たちの表情も良いため、教室に入ることを提案すると、3名は「教室は難しいが、放課後の部活動なら見学したい」と言った。早速、Aが学年教師の会議で報告したところ、他の教師から「授業に参加できない生徒が部活動を見学するのは問題があるのではないか」との意見が出された。

この場合のBの対応として、適切なものを2つ選べ。

① 部活の顧問と話し合う。

② Aに援助チームの構築を提案する。

③ Bが学年教師の会議に参加して話し合う。

④ 学年教師の会議の意見に従うようA に助言する。

⑤ Aがコーディネーターとして機能するように助言する。

出典:第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
正答は ② Aに援助チームの構築を提案する, ③ Bが学年教師の会議に参加して話し合う

選択肢の解説

①部活の顧問と話し合う

今回の選択肢で登場するのは、担任教師A、スクールカウンセラーB、会議にて異を唱えた教師となります。

Aは学年教師の会議にて、3名の生徒の「教室は難しいが、放課後に部活動の見学をしたい」という主張を伝えたところ、コンセンサスが得られない状況になりました。

このようにコンセンサスが得られていない状況で、部活の顧問と先に話しあって今後の方向性を進めていくのは、「チーム学校」の理念に反するばかりか、担任教師AやスクールカウンセラーBと他の教師たちとの関係性の悪化につながる可能性があります。

そのため、選択肢①「部活の顧問と話し合う」は順序的に不適切となります。

②Aに援助チームの構築を提案する

「3名の生徒が教室での授業参加ができない状況が1か月間続いている」という膠着した状態が継続していますが、現状対応を主で行っているのは担任教師Aのみとなっています。

このような膠着した状態が長く続くケースでは、方針の決定やAの負担を減らす意味合いも込めて、複数の教員による援助チームを構築して対応することが望ましいといえます。

方針に関してもA個人の意見よりも、チームでの意見の方がコンセンサスを得られやすいことも考えられますね。

よって、選択肢②「Aに援助チームの構築を提案する」は適切な選択肢といえます。

③Bが学年教師の会議に参加して話し合う

公認心理師Bが学年の会議に出席して、心理職としての専門的な観点から、意見を述べていくことはスクールカウンセラーとしての重要な仕事のひとつとなります。

よって、選択肢③「Bが学年教師の会議に参加して話し合う」も適切な選択肢といえます。

④学年教師の会議の意見に従うようA に助言する

今回の事例では、「3名の生徒が教室での授業参加ができない状況が1か月間続いている」という膠着した状態が継続していることが示されています。

この膠着したなかで、担任教師が生徒たちと関係性を構築して、ようやく出てきた「教室は難しいが、放課後の部活動なら見学したい」という変化の発言を見逃してしまうことは得策とはいえません。

したがって、選択肢④「学年教師の会議の意見に従うようA に助言する」は不適切といえます。正しくは、学年教師全体のコンセンサスを得るために発言していく必要がありますね。

⑤Aがコーディネーターとして機能するように助言する

コーディネーターとは簡単に説明すると、「勤務日数の少ないスクールカウンセラーと他の教師をつなぐ役割の教師」を指します。

スクールカウンセラーとしての専門的な意見と教師としての専門的な意見の橋渡しになることが求められているといえます。

今回の事例問題では、担任教師Aは生徒の対応をしている当事者であり、スクールカウンセラーの方針と他の教師の考え方が一致していないというよりは、教員間での意見の不一致が生じています。

このような状況でAがコーディネーターとして機能しても状況の改善には繋がりません。

よって、選択肢⑤「Aがコーディネーターとして機能するように助言する」は不適切となります。