第3回公認心理師試験・午後問154は、不登校状態にある中学生への学校内チーム支援について問う事例問題です。
正答は②と③です。
この問題では、担任教師Aが生徒を一人で支え続けるのではなく、援助チームをつくり、スクールカウンセラーBも教職員間の話し合いに参加して、学校全体で支援方針を検討することが重要です。
また、「授業に参加できないなら部活動も認めない」と一律に判断するのではなく、本人たちの状態や希望を踏まえ、どのような学校とのつながり方が今の段階で可能かを検討する必要があります。
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【問154】不登校状態にある生徒へのチーム支援
問154 中学校の担任教師A。Aは、同じ部活動の女子中学生2名について、スクールカウンセラーBに、次のように相談した。2名は、2か月ほど前から教室に入ることができずに会議室で勉強しており、Aが学習指導をしながら話を聞いていた。先日、生徒たちの表情も良いため、教室に入ることを提案すると、2名は「教室は難しいが、放課後の部活動なら見学したい」と言った。早速、Aが学年教師の会議で報告したところ、他の教師から「授業に参加できない生徒が部活動を見学するのは問題があるのではないか」との意見が出された。
この場合のBの対応として、適切なものを2つ選べ。
① 部活の顧問と話し合う。
② Aに援助チームの構築を提案する。
③ Bが学年教師の会議に参加して話し合う。
④ 学年教師の会議の意見に従うようAに助言する。
⑤ Aがコーディネーターとして機能するように助言する。
正答:②・③
第3回公認心理師試験の午後問題冊子と正答は、公認心理師試験研修センターの公式資料で確認できます。
第3回公認心理師試験(令和2年12月20日実施)|公認心理師試験研修センター
②が適切な理由:担任一人の対応から「援助チーム」へ広げる
Aはすでに、2名の生徒に会議室で学習指導を行いながら話を聞いています。しかし、支援方針をめぐって学年内に意見の違いが生じています。
この状況で重要なのは、Aだけに判断と対応を任せるのではなく、必要な教職員やスクールカウンセラー等が参加する援助チームを構築し、情報・見立て・役割・支援方針を共有することです。
文部科学省の『生徒指導提要』でも、生徒指導と教育相談を一体化したチーム支援を重視し、担任、教育相談担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が各専門性を生かして組織的に支援することが示されています。
担任が一人で抱える → 援助チームで支援を共有する
という転換が②のポイントです。
③が適切な理由:B自身が学年教師の会議に参加して話し合う
この事例では、学年教師の中に「授業に参加できない生徒が部活動を見学するのは問題ではないか」という意見があります。
ここでBがAに助言するだけでは、学校内の認識のずれは十分に調整されません。
スクールカウンセラーB自身が学年教師の会議に参加し、
- 2名の現在の状態
- 「教室は難しいが部活動なら見学したい」という本人たちの希望
- 学校との接点をどのように保つか
- 教室復帰だけを唯一の基準にしない支援
- 教職員間で対応をそろえる必要性
について話し合うことは、チーム支援を進める上で適切です。
文部科学省は、不登校支援について、「学校に登校する」という結果のみを目標とせず、児童生徒の社会的自立を目指し、個々の状況に応じた多様な支援を行うことを示しています。
したがって、本人たちが「放課後の部活動なら見学したい」と示した希望も、現在の状態を理解し支援を検討するための重要な情報です。
「授業に出られないなら部活も不可」と一律に決めるのではなく、本人の状態と希望を踏まえてチームで検討する
ことが重要です。
①「部活の顧問と話し合う」だけでは不十分
部活動への見学を検討する以上、顧問との連携が必要になる場面は考えられます。
ただし、この事例で現在起きている課題は、部活動の運営だけではありません。学年教師の間で支援方針そのものに意見の違いがあり、Aが一人で対応を担っている状態です。
そのため、Bの対応としてまず求められるのは、個別に顧問と話すことよりも、援助チームをつくり、学校内の支援方針を組織的に検討することです。
①のような顧問との相談は、チームで方針を検討した後の具体的調整として行われる可能性はありますが、本問の正答ではありません。
④「学年教師の会議の意見に従う」は不適切
④では、BがAに対して、学年教師の会議で出された意見に従うよう助言するとしています。
しかし、会議で多数意見が出たからといって、それをそのまま支援方針にするのは適切ではありません。
重要なのは、本人たちの状態や希望を含めたアセスメントを基に、支援の目的と方法を検討することです。
この事例では、生徒たちは教室への参加は難しいと感じる一方、部活動の見学には関心を示しています。この情報を無視して、教師側の価値判断だけで支援を決めるべきではありません。
⑤「Aをコーディネーターにする」と固定しない
⑤は、Aがコーディネーターとして機能するように助言するとしています。
チーム支援には、関係者をつなぎ、情報を整理し、支援方針を調整するコーディネーション機能が重要です。
ただし、その役割を必ず担任Aが担う必要はありません。
Aはすでに、2名への学習指導・相談対応・学年会議での報告を行っています。ここでさらにA一人に調整役まで集中させるより、学校の教育相談体制に応じて、教育相談担当、生徒指導担当、管理職、SC等を含めて役割を分担することが適切です。
したがって本問では、Aをコーディネーターに固定する⑤ではなく、援助チームそのものを構築する②が選ばれます。
5つの選択肢を整理
| 選択肢 | ポイント | 判定 |
|---|---|---|
| ① 部活顧問と話す | 具体的調整としてはあり得るが、現在の校内支援体制の課題への中心対応ではない | 本問では選ばない |
| ② 援助チームを構築 | 担任一人で抱えず、組織的支援へ移行する | 適切・正答 |
| ③ Bが学年会議に参加 | SCも直接チーム協議に入り、見立て・支援方針を共有する | 適切・正答 |
| ④ 会議の意見に従わせる | 本人の状態や希望より教師側の意見を優先している | 不適切 |
| ⑤ Aをコーディネーターにする | 調整役を担任一人に固定せず、校内体制で役割分担する | 本問では選ばない |
「教室に戻ること」だけを成功基準にしない
不登校支援では、教室復帰や毎日登校だけを唯一の目標にすると、本人が今できていることや、学校との小さな接点を見落とすことがあります。
この事例では、2名はすでに会議室で学習を続け、Aとの関係を保ち、さらに「放課後の部活動なら見学したい」と自分たちの希望を伝えています。
こうした動きを、単に「授業に出ていないのに部活だけ参加する」と評価するのではなく、本人たちがどの条件なら学校とつながりやすいのかを知るための情報として捉えることができます。
もちろん、部活動見学を必ず実施すべきという意味ではありません。本人の状態、部活動の環境、周囲への影響、安全面などを含めて、チームで具体的に検討します。
試験対策ではここまで覚える
- 担任一人で抱えず、援助チームをつくる
- SCは助言だけでなく、必要に応じて教職員の会議に参加する
- 本人の状態・希望を支援方針に反映する
- 「登校できたか」だけを唯一の支援評価にしない
- 教職員間で意見が分かれたときこそ、アセスメントと支援目的を共有する
- コーディネーション機能は必要だが、担任一人に役割を集中させない
問154の中心:担任一人の支援からチーム支援へ。本人の希望を踏まえ、SCも教職員間の協議に参加して支援方針を共有する。
まとめ
第3回公認心理師試験・午後問154の正答は、②と③です。
②は、Aに援助チームの構築を提案し、担任一人で抱えない支援体制へ移行する対応です。
③は、スクールカウンセラーB自身が学年教師の会議に参加し、本人たちの状態・希望・支援の方向性について教職員と話し合う対応です。
不登校支援では、教室への復帰だけを唯一の目標にするのではなく、本人がどのような条件なら学校との接点を持てるのかを把握し、チームで支援を調整することが重要です。


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