公認理師資格試験 過去問解説 問6 重回帰分析「多重共線性」
- 2023.01.11
- 公認心理師(第5回)
- 心理学統計, 第5回公認心理師試験
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第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
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問6 重回帰分析において、説明変数間の相関の絶対値が大きく、偏回帰係数の推定が不安定となる状態を説明する概念として、正しいものを 1 つ選べ。
① 一致性
② 共通性
③ 独自性
④ 不偏性
⑤ 多重共線性
出典:第5回公認心理師試験(令和4年7月17日実施)|一般社団法人日本心理研修センター
となります。
重回帰分析とは
重回帰分析 multiple regression analysis は、簡単に説明すると「1つの目的変数(従属変数)を複数の説明変数(独立変数)で予測」するための多変量解析で回帰分析の一種となります。
そもそも回帰分析 regression analysisというのは、「説明変数(独立変数)によって目的変数(従属変数)がどれくらい予測や説明ができるか」を目的変数=x、従属変数=yとして、計算式を用いて求めるという解析手法になっています。
具体的には線形関係(一次関数の関係性)があると仮定して、y=ax+bという回帰式を導き出し、回帰式の精度を評価していくことになります。
このときaはxがyに与える影響の程度を示しますが、これを回帰係数と呼びます。
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重回帰分析では、そのxが複数になっているため、計算式が複雑となりますが、根本的な理解の仕方は単回帰分析と同様になります。
正確ではないですがわかりやすくすると、
y=a1 x1 +a2x2・・・+a?x?
説明変数xそれぞれに対して、回帰係数aがそれぞれあるような計算式になります。
このように式を立てると、それぞれの回帰係数はxの取り得る数値によって影響力が変わってしまうという問題が発生します。例えば、あるx1は1-100まで、x2は1-1000まで数値があるとすると、どう頑張ってもx2の方がaが大きくなるので影響力が強くなってしまうというわけです。
そのため、重回帰分析ではそれぞれのxの足並みを揃えるために、標準化(平均0、標準偏差を1)という処理を行い、xの元々の数値による影響を排除します。
標準化された回帰係数のことを「偏回帰係数」と呼びます。
重回帰分析含む回帰分析は主に以下の手順で行われます。
- 回帰式を推定する
- 回帰式の予測精度や説明率を評価する
といったプロセスが行われます。
多重共線性とは
多重共線性 multicollinearity は通称「マルチコ」と呼ばれ、回帰式の予測精度や説明率を評価する際に問題となってくる重回帰分析における重要なキーワードとなります。
この多重共線性というのは、説明変数(x)同士の相関関係が強い場合を示します。
つまり、回帰式に含まれるx同士が似ているという意味になります。
説明変数(x)が似ている=多重共線性が強いと導き出される回帰式の予測精度が低くなってしまうという問題が発生するため、可能な限り避けなければならない事象となっています。
以上のことから、「重回帰分析において、説明変数間の相関の絶対値が大きく、偏回帰係数の推定が不安定となる状態を説明する概念」といった問題文に合致するため、選択肢⑤「多重共線性」が問題の正当となります。
まとめ
- 多重共線性 multicolinearityは、重回帰分析の回帰式を評価する際に重要な概念であり、説明変数(独立変数)同士の相関関係が強い状態のことをいう。
- 多重共線性があっても回帰式の推定ができないというわけではないが、回帰式の目的変数(従属変数)に対する予測精度が不安定となってしまうため避ける必要がある。
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