公認理師資格試験 過去問解説 問35 「アドバンス・ケア・プランニング」について
- 2023.09.06
- 公認心理師(第4回)
- 第4回公認心理師試験
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【問35】「アドバンス・ケア・プランニング」について
問35 医療におけるアドバンス・ケア・プランニング<ACP>について、誤っているものを1つ選べ。
① 話し合いの内容を文章にまとめ、診療録に記載しておく。② 話し合いの構成員の中に、親しい友人が含まれることがある。
③ 患者の意思は変化する可能性があるため、話し合いは繰り返し行われる。
④ 患者の意思が確認できない場合は、担当医療従事者が本人にとって最善の方針を決定する。
⑤ 患者と多職種の医療・介護従事者、家族等の信頼できる者と今後の医療・ケアについて十分な話し合いを行うプロセスである。
正答は ④
④ 患者の意思が確認できない場合は、担当医療従事者が本人にとって最善の方針を決定する
選択肢の解説
アドバンス・ケア・プランニング
アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)とは、年齢・病期に関わらず、将来の健康状態の変化に備えて、医療やケアについての望みを本人・家族・親しい友人・医療ケアチームなどの関係者が理解・共有し合い、本人の意思決定を支援するプロセスのことを意味します。
もともとは、終末期医療において患者さんの約70%が意思決定が不可能な状態にいるということから、事前に意思決定をする必要があるという考え方に端を発します。
しかし、患者さんの病状理解を確かめ、意思決定の確認を単純に行うだけでは、患者・家族満足度、医療コスト含めて改善が得られませんでした。
そこで、患者ー代理決定者ー医療者などの関係者が、意向や価値観について事前にすり合わせをしつつ、プロセスを共有して理解していくことの重要性が認識されることになったようです。
①話し合いの内容を文章にまとめ、診療録に記載しておく
アドバンス・ケア・プランニングでは、話し合いの内容は、本人が信用できる人々と医療ケアチームと共に話し合った後で、記録に残し共有されることが必要とされます。
診療録に記載しておくことで、必要になったときにすぐに参照することができるほか、繰り返し話し合いが行われ内容が更新されていく中で、そのプロセスを捉えることも可能となります。
以上のことから、選択肢①「話し合いの内容を文章にまとめ、診療録に記載しておく」は正しい記述となります。
②話し合いの構成員の中に、親しい友人が含まれることがある
アドバンス・ケア・プランニングでは、本人が信用できる人々と医療ケアチームとの話し合いが行われます。
本人が信用できる人々の中に親しい友人がいれば、親しい友人も含まれることがあります。
よって、選択肢②「話し合いの構成員の中に、親しい友人が含まれることがある」も正しい記述といえます。
③患者の意思は変化する可能性があるため、話し合いは繰り返し行われる
アドバンス・ケア・プランニングは単なる事前の意思確認と取り決めというわけではなく、患者さんの意思の変化や健康状態の変化にあわせて繰り返し行われるものとされます。
話し合いのプロセスの中で、価値観の共有をしていくことが重要です。
よって、こちらの選択肢も適切なものといえます。
④患者の意思が確認できない場合は、担当医療従事者が本人にとって最善の方針を決定する
アドバンス・ケア・プランニングは、患者さんの意思決定プロセスを支援していくものとなります。
意思確認ができない状態に備えて、事前に患者さんの代わりに意思決定を行う信用できる人々を選定していくこともACPのひとつとなっています。
よって、選択肢④「患者の意思が確認できない場合は、担当医療従事者が本人にとって最善の方針を決定する」はアドバンス・ケア・プランニング以前のスタンダードであるため、不適切とわかります。
⑤患者と多職種の医療・介護従事者、家族等の信頼できる者と今後の医療・ケアについて十分な話し合いを行うプロセスである
こちらの記述は、アドバンス・ケア・プランニングの定義についてですが、こちらもすでに確認した定義と合致しているため、正しい記述といえますね。
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