公認理師資格試験 過去問解説 問21 児童養護施設における入所児童について

公認理師資格試験 過去問解説 問21 児童養護施設における入所児童について

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【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験

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【問21】児童養護施設の入所児童

問21 2018年(平成30年)時点において、児童養護施設における入所児童の特徴や傾向として、正しいものを1つ選べ。
① 入所児童は、年々増加している。

② 家族との交流がある児童は、半数を超える。

③ 被虐待体験を有する入所児童は、半数に満たない。

④ 幼児期に入所し、18歳まで在所する児童が年々増加している。

⑤ 入所児童の大学・短期大学などへの進学率はおおむね60%以上である。

出典:第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)|一般社団法人日本心理研修センター

正答は ②

② 家族との交流がある児童は、半数を超える

選択肢の解説

①入所児童は、年々増加している

以下の資料を見てみましょう。

児童養護施設の入所児童は、平成30年度2月1日現在の厚生労働省の報告では、27026人となっています。

平成8年の時点で26152人であった児童数は徐々に増加し、平成14年〜平成22年の期間は30000万人台を推移し、その後減少傾向にあります。

よって、選択肢①「入所児童は、年々増加している」は不適切な記述といえます。

②家族との交流がある児童は、半数を超える

平成30年度の厚生労働省の報告では、

「交流なし」の割合は、(中略)児童養護施設で19.9%

出典:平成30年度厚労省児童養護施設入所児童等調査概要

となっており、何らかの手段で家族と交流している児童が過半数を超えていることになります。

よって選択肢②「家族との交流がある児童は、半数を超える」は正しい記述となります。

③被虐待体験を有する入所児童は、半数に満たない

平成30年度の厚生労働省の報告によると、

「虐待経験あり」の割合をみると、(中略)児童養護施設で65.6%

出典:平成30年度厚労省児童養護施設入所児童等調査概要

であることから、被虐待経験を有する入所児童は半数を超えていることになります。

よって選択肢③「被虐待体験を有する入所児童は、半数に満たない」は不適切な記述といえます。

④幼児期に入所し、18歳まで在所する児童が年々増加している

平成30年度の厚生労働省の報告によると、児童の入所時の年齢は、2歳が最も多く、児童の在所期間は「1年未満」が最も多いことがわかります。

それに加え、平均在所期間は5.2年であることを考えると、幼児期に入所する児童が多いといえますが、18歳まで在所する児童はそもそも少ないと考えられるため、選択肢からは除外することが妥当であるといえます。

【参考資料】

⑤入所児童の大学・短期大学などへの進学率はおおむね60%以上である

平成30年度の厚生労働省の報告には、進学率そのものは挙げられていませんでしたが、入所児童のうち、大学・短期大学に通っている割合は0.6%であることが示されています。

また、少し古いデータにはなりますが、平成29年12月の厚生労働省の報告によると、児童養護施設在籍児の大学等への進学率は23.3%、退所児の大学等への進学率は10.5%であることが示されています。

以上のことから、入所児童の大学・短期大学などへの進学率がおおむね60%以上であることは考え難く、選択肢からは除外することが妥当であるといえます。

まとめ

  • 入所児童は減少傾向にある
  • 家族との交流がある児童は半数を超える
  • 被虐待体験を有する入所児童は全体の65%程度である
  • 幼児期に入所して18歳まで在所する児童は多いわけではない
  • 入所児童の大学や短期大学への進学率は高くはない