公認理師資格試験 過去問解説 問32 「成年後見制度」について
- 2023.08.30
- 公認心理師(第4回)
- 第4回公認心理師試験, 関連法律
第4回公認心理師試験の過去問や正答は以下のサイトで入手可能です。
【令和3年10月29日14時】第4回公認心理師試験(令和3年9月19日実施)合格発表|講習・試験・登録|一般財団法人 日本心理研修センター 公認心理試験
公認心理師資格試験の過去問をしっかりと振り返ることで「自分に必要な知識は何か」を知るための手がかりとしてくださいね!
【公認心理資格試験】試験勉強の仕方。ブループリントに記載されている出題割合で勉強の範囲を狭めない方がいい理由について解説します!
【問32】「成年後見制度」について
問32 精神障害などにより 財産管理などの重要な判断を行う能力が十分ではない人々の権利を守り支援する制度を何と言うか、正しいものを一つ選べ。
① 医療観察制度② 介護保険制度
③ 成年後見制度
④ 障害者扶養共済制度
⑤ 生活福祉資金貸付制度
正答は ③
③ 成年後見制度
選択肢の解説
①医療観察制度
医療観察制度は、心神喪失または心神耗弱の状態で、殺人・放火などの重大な他害行為を行なった人の社会復帰を促進することを目的とした処遇のための制度です。
法的根拠は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」、通称「医療観察法」にあります。
詳細は厚生労働省の「心神喪失者等医療観察法」が詳しいので、ぜひご参照ください。
よって、選択肢①「医療観察制度」は問題文の記述と合致せず、不適当な選択肢となります。
②介護保険制度
介護保険制度とは2000年に成立した制度で、介護が必要な方にその費用を給付してくれる公的な保険です。
第1号被保険者(65歳以上) | 第2号被保険者(40歳から64歳) | |
対象者 | 65歳以上の方 | 40 歳以上 65 歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などの医療保険加入者 |
受給要件 | ・要介護状態 ・要支援状態 | ・要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定。 |
保険料の徴収方法 | ・市町村と特別区が徴収 (原則、年金からの天引き) ・65 歳になった月から徴収開始 | ・医療保険料と一体的に徴収 ・40 歳になった月から徴収開始 |
詳細は以下の記事をご参照ください。
③成年後見制度
成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などによって、意思能力が低い状態がある程度長い状態続いている場合に、本人の判断を他の人が補うことによって意思決定を支援する制度のひとつです。
支援の対象となるのは、大きく分けると「財産の管理(預貯金など)」「協議をするとき」「契約をするとき」となっています。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つの制度があります。
- 法定後見制度:家庭裁判所が成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を選任し、権限が法律で定められている。本人が締結した契約を取り消すことができる。
- 任意後見制度:本人が十分な判断能力があるときに、あらかじめ任意後見人の選出や委任する事務の内容を決めておき、本人の判断能力が不十分になったときに任意後見人が代理で事務を行う。本人が締結した契約は取り消すことができない。
押さえておいた方が良い大きな違いは、本人の判断能力があるときに選出するか、判断能力関係なく家庭裁判所が選出するかの違いと、本人が締結した契約を取り消すことができるか否か、といった点になります。
また、3段階の支援があるので押さえておきましょう。
- 後見:日常生活以外の法律行為全般を後見人が行う。日常生活以外の契約であれば、通販であったとしても、後見人が本人の締結した契約を取り消すことができる。
- 保佐:重要な行為として法律で定められた法律行為(不動産の売却や借金をする行為等)を保佐人の同意なく行うことができなくなる。重要な行為に関しては、本人が締結した契約を取り消すことができる。
- 補助:予め定められた特定の法律行為についてのみ、補助人が支援を行う。
以上のことから、「精神障害などにより 財産管理などの重要な判断を行う能力が十分ではない人々の権利を守り支援する制度」という問題文に合致するため、成年後見制度が本問題の正答となります。
④障害者扶養共済制度
「障害者扶養共済制度」は、障害のある方を育てている保護者が毎月掛金を納めることで、保護者が亡くなった時などに、障害のある方に対し、一定額の年金を一生涯支給するというものです。
出典:障害者扶養共済制度|厚生労働省
障害者扶養共済制度は、このように、障害のある方の将来に対して保護者が抱く不安を軽減することを目的とする任意加入の制度となっています。
都道府県や指定都市が実施しています。
具体的には、保護者が死亡あるいは重度の障害になった場合に、毎月1口2万円の年金が生涯にわたって受給されるというものです。
掛金の減免や免除などもある制度となっています。
⑤生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度に関しては、全国福祉協議会のWebページの記載がわかりやすいです。
「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。
出典:生活福祉資金|全国社会福祉協議会
本貸付制度は、都道府県社会福祉協議会を実施主体として、県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となって実施しています。低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯等世帯単位に、それぞれの世帯の状況と必要に合わせた資金、たとえば、就職に必要な知識・技術等の習得や高校、大学等への就学のための資金、介護サービス利用のための資金貸付け等を行います。
対象となる世帯は、以下の通りです。
- 低所得世帯:市町村民税非課税程度
- 障害者世帯:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付
- 高齢者世帯:65歳以上の高齢者の属する世帯
貸付資金の種類には、「総合支援金」「福祉資金」「教育支援金」「不動産担保型生活資金」という種類があります。
また、このような通常貸付に加えて、新型コロナウイルス感染症時など緊急時に行われる特例貸付という制度もあるのであわせて知っておきましょう。
-
前の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問31 「医療法で規定されている医療提供施設」について 2023.08.28
-
次の記事
公認理師資格試験 過去問解説 問33 「時間外労働」について 2023.09.01
コメントを書く