カウンセラーになるために必要な資格と資格の種類について解説
- 2020.12.24
- 心理学
ストレスやメンタルヘルスに関心があつまる昨今、人の抱える問題や悩みなどに対して相談援助を行う『心理カウンセラー』は人気の職業となっています。
しかし、世の中にはカウンセラーの資格が複数存在するため、目指すべき資格を悩む方も多いことでしょう。いざ目指す資格を決めてから、後悔はしたくないですよね。
『心理カウンセラー』になるためには、どんな資格が必要なんだろう?
実は『心理カウンセラー』になるために、必ず必要な資格はないんだ。
『心理カウンセラー』になるために、資格の取得は必須条件ではないですが、一定水準の専門的教育を受けており、専門知識・技術を取得していることを保証する証明となります。
『心理カウンセラー』になるために資格取得は必須条件ではない!
結論からいうと、『心理カウンセラー』になるために、必須の資格はありません。
資格の有無や種類にかかわらず『心理カウンセラー』になることは可能なのです。
カウンセラーの資格の多くは民間資格であり、国家資格(業務独占資格)ではない
資格には、国の法律に基づいて審査基準を設定している国家資格と、民間団体や個人が独自の審査基準を設定している民間資格があります。
さらに国家資格は、「その資格がなければその業務を行なってはいけない」業務独占資格と「その資格がなければその名前を名乗ってはいけない」名称独占資格にわけられます。
国家資格(業務独占資格・名称独占資格)がないのにその業務を行うことや、その名前を名乗ることは法律上の違反となります。
業務独占資格 | 名称独占資格 |
医師、歯科医師、薬剤師、看護師 など |
公認心理師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士 など |
実は、カウンセラー資格のほとんどは民間資格であり、業務内容や名称の使用に関する法的な縛りはありません。
2017年から「公認心理師法」が施行され、心理職の国家資格である公認心理師が誕生しましたが、公認心理師は名称独占資格となっています。
つまり、公認心理師の資格をもっていない人は「心理師」と名乗ることはできませんが、「心理カウンセラー」と名乗ることや「カウンセリング(心理的な支援)」の業務は、法律上では資格の有無に関係なく可能なのです。
資格は一定水準の専門性を保証するもの
じゃあ、資格って意味がないの?
資格の取得に意味がないというわけではありません。
理由は、資格を持っている=一定水準の専門的教育を受けており専門知識・技術を習得していることを保証することになるからです。
また、それぞれの資格を認定している団体に所属することで情報共有や研修の参加が円滑にでき、就職にも有利に働くようになります。
(特定の資格をもっていることを研修参加や就職の条件としていることも多いです。)
これから『心理カウンセラー』を目指す方は、それぞれの資格の専門性や取得までの道のりを理解し、ご自分のニーズにあう『心理カウンセラー』の資格を見つけられるといいでしょう。
資格取得は必須ではないが、一定水準の専門知識・技術を習得した証明していることの証明となり、情報共有・研修参加・就職活動に有利に働く
心理学関連の資格紹介
代表的な心理学関連の資格について、以下の順番で簡単に説明していきます。
- 国家資格
- 大学・大学院・高等教育機関が関わる民間資格
- 「2」以外の日本学術会議に属する心理学関連学会が認定する民間資格
- 民間法人・団体認定の民間資格
国家資格
公認心理師
2017年に施行された『公認心理師法』を根拠とする心理職の国家資格(厚生労働省・文部科学省共管)で、『心理学全般』に関する専門的知識・技術をもって心理的な援助を行います。
国家資格ということもあり、医療・教育・福祉・司法・産業すべての領域での活躍が期待されています。特に、診療報酬算定に関係する医療機関では今後重要視されていく資格となるでしょう。
先ほど説明したように、名称独占資格であるため、資格保有者以外は『心理師』と名乗ることはできません。資格更新の必要はないですが、研鑽を続けることが努力義務とされています。
資格取得までの道のり
6年間の養成期間(①公認心理師養成のためのカリキュラムがある4年制大学卒業+心理系大学院修士過程2年、あるいは、②定められた施設での2年以上の実務経験)を経て、その後に公認心理師試験に合格することが必要となります。
✳︎記事執筆現在(2020年12月)は経過措置期間中であり、必ずしも上記条件に当てはまるとは限りません。
公認心理師について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
心理職の国家資格(名称独占資格)
公認心理師養成カリキュラムのある4年生大学卒業し、①心理系大学院修士課程2年修了、あるいは②定められた施設での2年以上の実務経験を経て、国家試験(公認心理師試験)に合格することが取得できる
すべての領域での活躍が期待されるが、医療機関で働くためには今後必要となってくる
大学・大学院・高等教育機関が関わる民間資格
日本学術会議から「日本学術会議協力学術研究団体」として指定を受けている学会が認定する資格のなかで、大学・大学院や公的機関が養成や任用に関わっている資格をさします。
大学・大学院・高等教育機関が関わるため、民間資格のなかでも特に専門性が高い資格とされています。
臨床心理士
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、『臨床心理学』に関する専門的知識・技術をもって援助(臨床心理面接/心理療法)を行います。
日本臨床心理士資格認定協会のサイトでは以下のように紹介されています。
臨床心理士は、人(クライエント)にかかわり、人(クライエント)に影響を与える専門家です。しかし、医師や教師と異なることは、あくまでもクライエント自身の固有な、いわばクライエントの数だけある、多種多様な価値観を尊重しつつ、その人の自己実現をお手伝いしようとする専門家なのです
1988年から認定が開始された歴史のある資格であり、現在医療・教育・福祉・司法・産業すべての領域で活躍しています。
資格取得までの道のり
養成期間は2年間(臨床心理士指定大学院)ですが、指定大学院を受験するためには、4年制大学を卒業している必要があります(心理系以外の学部や学科でも構いません)。
臨床心理士指定大学院には、第1種指定大学院・第2種指定大学院・専門職大学院の種類があります。
指定大学院・専門職大学院一覧 | 公共財団法人日本臨床心理士資格認定協会
第1種指定大学院・専門職大学院は修了後に、第2種指定大学院では修了後1年の実務経験を経て、臨床心理士資格審査の受験資格が得られます。
それぞれ受験資格の要件を満たした後、臨床心理士資格審査(筆記・面接)で合格することが必要となります。
資格は5年ごとに更新の必要があり、学会や研修への参加など継続して研鑽を積むことが求められます。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
民間資格ではあるが、資格ができてからすべての領域で幅広く活躍している
臨床心理士指定大学院修了した①次の年度(第1種指定大学院・専門職大学院)あるいは②そこから1年の実務経験を経て(第2種指定大学院)、受験資格が得られる
5年ごとに資格の更新の必要がある
臨床発達心理士
一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構(日本発達心理学会、日本教育心理学会、日本コミュニケーション障害学会)が認定する民間資格で、『発達心理学』に関する専門的知識・技術をもって援助を行います。
主に教育・福祉の領域で活躍が期待される資格といえます。資格は5年ごとに更新する必要があります。
資格審査を受けるためにはいくつかの要件があるようです。
- 発達心理学隣接諸科学大学院修士過程在学中または修了後3年未満
- 臨床経験が3年以上ある
- 大学や研究機関で研究職をしている
- 公認心理師資格を取得していること
学校心理士
一般社団法人学校心理士認定運営機構(日本教育心理学会、日本特殊教育学会、日本発達障害学会、 日本発達心理学会、日本LD学会、日本学校心理学会、 日本応用教育心理学会、日本生徒指導学会、 日本学校カウンセリング学会、日本コミュニケーション障害学会、日本学校メンタルヘルス学会)が認定する民間資格で、『学校心理学』に関する専門的知識・技術をもって援助(心理教育的援助)を行います。
学校と冠する資格であり、教育領域に特化して活躍が期待される資格といえます。資格は5年ごとに更新する必要があります。
資格審査を受けるためには以下の要件があるようです。
- 大学院で学校心理学関係の科目の単位を修得し、修士課程・専門職学位課程を修了し、学校心理学に関する専門的実務経験を1年以上有する方 (公認心理師関連の大学院の方は、多くの科目を学校心理士関係の科目に読みかえることができます)
- 教職大学院で指定の5領域について指定の単位を修得し,修士課程を修了し,学校心理学に関する専門的実務経験を1年以上有する方
- 4年制大学卒業で学校心理学に関する専門的実務経験を5年以上有する方(学校職員・相談機関の専門職従事者)
- 大学または大学院で授業を2年以上担当し、学校心理学の8領域に関する研究業績を5編以上有する方
- 公認心理師資格を有する方(学校心理士認定運営機構が開催する講習会に参加することが必要です)
- 学校の管理職または教育行政職として、心理教育的援助サービスに関する指導的な役割を3年以上有する方(申請時において、その職を辞してから5年を経過した方は除きます)
産業カウンセラー
一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、労働者を対象として、『産業心理学』に関する専門的知識・技術をもって援助(メンタルヘルス対策・人間関係開発・キャリア開発)を行います。活躍が期待されるのは産業領域となります。
以下のいずれかの要件を満たすことで、受験資格が得られます。
- 4年制大学学部及び大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する学部又は専攻・課程を卒業すること
- 成年に達した者で、産業カウンセラー養成講座等(協会若しくは協会が他に委託して行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座又は協会がこれと同等以上の水準にあるものとして指定した講座)を修了すること
認定心理士
公益社団法人日本心理学会が認定する民間資格で、大学で『心理学』に関する最小限の標準的な基礎知識と基礎技術を修得したことが証明される資格です。
「認定心理士」は、これまで紹介してきた資格とは異なり、援助技術ではなく、基礎的な心理学の知識をおさめた証明となる資格です。基本的には『心理学』を履修できる大学を卒業すると同時に申請することが可能です。
この他にも一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会が認定する民間資格で、生徒指導など教育相談の専門家である『ガイダンスカウンセラー』という資格もあります。
幅広い分野での活動を目指すのであれば公認心理師資格が望ましい
これまで紹介した公認心理師・臨床心理士・臨床発達心理士・学校心理士・産業カウンセラーは、養成過程や任用にあたって公的な機関が関わることや、学位や修士が必要とされるため、専門性や信頼性(倫理観)などが比較的保障されている資格といわれています。
結局、どの資格を目指すのがいいの?
今から資格取得を目指すのであれば、『公認心理師』がいいかな!
公認心理師と臨床心理士は、医療機関の求人、公務員の中途採用の要件、スクールカウンセラーの要件として必要とされる場合が多く、就職のときに必要となることが多いです。
医療機関で働く公認心理師に必要な診療報酬制度(保険点数)の知識
さらに、臨床発達心理士と学校心理士の受験資格要件に「『公認心理師』資格+特定の講習」が追加されていることや、細かい専門分野にわかれた上位資格が検討されているなど、今後「公認心理師」資格は他の心理関連資格のベースとなる資格として運用されていくことが予想されます。
公認心理師資格は、今後『心理カウンセラー』として幅広く活動していくためには保持しておくべき資格である
日本学術会議に属する学会認定の民間資格
大学・大学院などの教育機関が関わるわけではありませんが、日本学術会議に所属している専門的な学会が認定している資格のことをさします。
ここではいくつかの資格を名前のみあげます。
- 日本カウンセリング学会認定カウンセラー:一般社団法人日本カウンセリング学会
- 認定医療心理士:一般社団法人日本心身医学会
- メンタルケア心理士:メンタルケア学術学会と一般財団法人生涯学習開発財団
- 認定行動療法士/専門行動療法士:一般社団法人日本認知・行動療法学会
- EMDR臨床家資格:日本EMDR学会
これらの資格のなかには、特定の分野の専門知識・技術の保証のみではなく、特定の心理療法の専門的知識・技術に特化した資格もあります。
民間法人・団体認定の民間資格
日本学術団体から指定を受けていない団体(非公的学会)、またはその他の団体が独自発行する資格をさします。各発行団体と提携した資格スクールなどが、セミナーや通信教育・在宅教育などの資格講座を商品展開していることが多いです。
- プロフェッショナル心理カウンセラー:一般社団法人全国心理業連合会
- EAPメンタルヘルスカウンセラー®:特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会(EMCA®)
- 特別支援教育士:一般社団法人特別支援教育士資格認定協
- コーチング心理士®:一般社団法人コーチング心理学協会
などさまざまあります。
民間法人・団体認定の民間資格の多くが特定の講座を受講することで資格が得られるようになります。
この記事のまとめ
この記事では、『心理カウンセラー』に必要な資格や、資格の種類についてまとめました。
- 『心理カウンセラー』になるために、資格の取得は必須条件ではないですが、一定水準の専門的教育を受けており、専門知識・技術を取得していることを保証する証明となります。
- 心理関連の資格は、「1. 国家資格」「2. 大学・大学院・高等教育機関が関わる民間資格」「3. 2以外の日本学術会議に属する心理学関連学会が認定する民間資格」「4. 民間法人・団体認定の民間資格」と大きく分類することができます。
- 資格の種類ごとに、寄りどころとなる学問的基盤(〇〇心理学)が異なるため、専門知識・技術や活躍する領域に違いがうまれます。
- 養成過程や任用に公的な機関が関わるという点で「国家資格」と「大学・大学院・高等教育機関が関わる民間資格」の2つが特に専門性が高いとされています。なかでも、公認心理師は今後幅広い分野で活躍するために保持しておくべき資格といえます。
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